表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

夜のティースタンド・スイーツ(社会人百合。同棲中)

作者: 飛鳥井作太


 休み前の金曜日。夜十時過ぎ。

 莉奈と美那の家では、お楽しみがある。

 彼女たちのテーブル……テレビ前を陣取る楕円のローテーブルが、甘く彩られる。

 三段のアフターヌーンティースタンド。汗をかいた大きな硝子ポット。色とりどりのジャムの瓶。

 スタンドには、下からサンドウィッチ、スコーン、クッキー、ロールケーキ、マカロンが載せられていた。

「用意出来た?」

「出来た!」

「それじゃ」

「ま」

「「始めますか!!」」

 お風呂も入って、お気に入りの寝巻に着替えた二人が、いそいそと座る。

 アイスティーをなみなみ注いだグラスを手にして、

「まずは……カンパーイ!!」

「かんぱーい!」

 乾杯。

 チンッとグラスがぶつかる軽い音。

 深夜のお茶会が、始まった。

「んー……んまっ。このアイスティーうま!」

「ふっふっふ。アイスティーにすると美味しいって評判の茶葉をちゃーんと手順通りに入れたからね~」

 美那が自慢げに胸を張る。莉奈が、ぱちぱちと拍手した。

「にしても」

「うん」

「相変わらず、コンビニスイーツやスーパースイーツでも様になるもんだね」

「ねー」

 サンドウィッチは、近所のスーパー手作りの美味しいハムサンドとたまごサンド、スコーンやクッキー、ロールケーキなどもすべて某コンビニブランドの商品だ。

 それでも、袋から出して、ティースタンドに飾ればなかなか様になる。

 二人がこのことに気が付いたのは数ヶ月前。そこから時おり、休み前に優雅な時間を過ごすべく、ティースタンドを引っ張り出してのお茶会を催していた。

「明日っから連休だ!!」

「さぁて、何をしよっかねー」

「そうだなぁ」

 莉奈が、スコーンにりんごジャムを塗りながら首を傾げる。

「……ちょっと、贅沢してみる?」

「贅沢?」

 美那は、ゆずジャムをスコーンに付けている。

「この深夜のお茶会……ランクアップしてみる、とか」

「ま、まさか!!」

「ケーキ屋さんの本格スイーツ……一種類か二種類、混ぜてみない?」

「天才か……?」

 ごくり。美那の咽喉が動いた。

「ね、ねえねえ、こないだテレビで和菓子のアフターヌーンティーってのやってたんだけど……」

「き、近所の庄田屋さんのおはぎとか……じょ、上生菓子、とか?」

「「ふ、ふおぉぉぉおぉぉぉ……」」

 二人の雄たけび(小声)が部屋に響く。

「滾ってきましたな」

「滾ってきましたね」

 ガッシ、と固く手と手を握り合う。

「思い切り贅沢」

「しちゃいますかー!」

 そもそも、この週末のプチ贅沢だって普段がんばっている自分たちへのご褒美だ。

 ならば大型連休には、さらにご褒美の大型アップデートをしたって構わないではないか。

 二人は決意も新たに、グラスを取り合い、

「「かんぱーい!!」」

 またぶつけ合った。

 チンっと軽やかな音が、彼女たちの倖せな連休を祝福していた。


 END.


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ