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エルフのアルス#4

この世界には

ドラゴンがいる。


力の根源、魔力の源、エネルギーの塊のような存在である。


ある種の神聖を持ったその存在に

あるものは敬い

あるものは畏れ

あるものは力を奪おうと考えている。


そんな特異な存在と、生まれたばかりの私が出会ったのは素晴らしい偶然であり。

運命だと言っても大袈裟ではないのではなかろうか…


ーーーーーーーーーーーーー


私は森で出会ったエルフのアルスに

これまでの過去を話す。

転生者ということ以外は正直に語ることにした。


「まずはオーガの子として産まれるものの

一週間もしないうちに捨てられた。原因はアルスが指摘するとおり

あまりに私のオーガらしからぬ行動のせいだな…」


まぁ…生まれてすぐに異世界の言語…日本語で

喋る赤子を見れば、オーガでなくとも気味悪がるだろうけどさ…



「ただ、幸いにしてオーガという生物は生まれ落ちたときから

肉体的にかなり仕上がった形で出てくるので

親から見放されてもある程度生きることが出来た…」


肉体は本当にすぐに立ち上がることが出来るくらいに仕上がっていた

身長は今の1/3くらいだったけど食事もすぐできそうなくらいだった。

馬や牛みたく、外敵に襲われる可能性があるから

生まれてすぐに行動できるように進化したんだろうと勝手に理解していた。


「え!ちょっと待てよ、いくらなんでもそんなすぐに

なんとかなるもんなのか!?てか肉体はそうだとして

そんな冷静に判断したり、理解したりってありえないだろう?」


言われてみれば…確かにそうだ…

うわー…思えば転生でもしてなきゃ

精神がそんな簡単に追いつく訳ないな…

本当なら親に見放された雛は死しかない…

アルスの奴…やっぱ馬鹿では無いな…


「いや…あれだよ!オーガってそんなもんなんだよ…!

ほ、ほら実際に私はこうやって生きてるじゃん!」


「ああ、そうかぁ~まぁそんなもんなのかもな!」

やっぱ馬鹿だー!



「んでも、結局狩りができるわけでもなく途方に暮れているところを

ドラゴンに拾われたんだ…」


「あーなるほど、ドラゴンに拾われたのか…

って、えええええええええええええ!」


アルスがひっくり返ってビックリしている…

まるでひと昔前のコントみたいな反応だ。

テレビならここでタライが頭上から落ちてくるところだが

尋常じゃない汗をかいている

ガチの反応みたいだな、、、


「はぁぁ!いや!あれだけの力があるんだ!普通じゃないとは思ったがドラゴンかよ!

またトンでもないものが飛び出してきたな!」


「ほぉ…やっぱり、すごいことなのか。」


「すごいどころじゃねーよ!伝説及の生き物じゃねーか!

ましてやそれに育てられたって!すげーことだよ!まじでなんだよ!お前は」


ふーん、すごいというのは伝わったけども

アルス(馬鹿)の言葉じゃ…いまいちどれくらい希少なことなのか分からんな…すげーしか言わない…


「まあ…それから5年くらいそのドラゴンに世話になってなそこで言語、魔法について学んだんだ」


「待ってくれ!あまりにもあっさり言ってるが頭が追い付かない!とても信じられん!」


アルスが頭を抱えている、

相当に異常なことのようだ。

だが、私としては事実だが

証拠を見せろと言われても困るしなぁ

この世界におけるドラゴンの位置づけは分からないが、あまり人にしゃべらない方が良さそうだな。


「まぁ、信じられないなら信じなくていいよ。森の奥からやってきた世間知らずな突然変異種のオーガとでも思ってくれ!」


アルスはまだ納得いかないのか

うーん、と唸っている。


「じゃあ、今度はこっちから質問、アルスはこんな森で何をしてたの?」


「俺は狩人だ、狩人が森で狩りをするのは当たり前だろ。」

「ふーん、そういえば自己紹介の時にエルニット族とか言っていたな?暮らしている集落でもあるのか?」


「ああ!ここから東に向かうとエルフの村がある!」


なぜかアルスが自慢げに言う。

そうか、そうか村か…

この世界に転生してから始めて文明的なところに行けるな。


「よぉし!じゃあアルス!明日村に案内してくれよ!」


「いやいやいや!無理に決まってんだろぅ!村にオーガを引き入れることなんかしたら大変なことになる!」


「うーん、なんとかならないかなぁ…もう正直ひとりで森の中をさまよいながら狩りをして過ごす生活も飽き飽きしてるんだ、可能ならひとりの村人として文化的に生きていたいんだが…」


「いーや!無理だって!やりたいなら一人でやれよ!俺まで巻き込まれるのはいやだね!」

アルスは声を張り上げて私の願望を否定する。

なかなかショックだ、ここでは最低限文化的な生活も保証されない。

安定した生活は努力して得なくてはならない。


「あー…アルス君、君は誇り高きエルフだったよね?」


「んんっ?ああ!勿論だ!」

正直誇り高いかどうかは知らないが

やはり肯定してきたな。


「命の危機を2度も救った私に恩を返す、誇り高いエルフなら、当然!してくれるよな?」


「うぐぅ…ああ…」


私としてはこの世界に来てやっと出会えた

文明人だ、逃すわけにもいかない

柄にもなく強めに説得した。


「ああ…わかったよ、なんとか長に掛け合ってみる、、、ゲンキが安全なオーガだと説明しよう、、」



渋々納得という感じだった。

この時は何故か根拠の無い自信から

なんとなく受け入れて貰えて

やっと生活基盤を確保できるという期待しかもっていなかった。

アルスはというと対照的に不安が全面に出ている。



「では!明日はアルスの村に向かいましょう!お休みなさーい」






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