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ハードモード異世界転生  作者: @ダンジョン
2/2

スケルトンは思った通りの実力でした

気が付くと俺は薄暗い洞窟の中にいた。

こんなところに来た覚えはないから、ここが転生先ということなのだろう。

改めて自分の状況を確認する。


(まじかよ)


俺の体は案の定というべきか、骨になっていた。

いまも声を出そうとしたのに何も言えなかった。


(洞窟で骸骨として転生とか、どんなハードモードだよ)


アンデットとして転生する以上、ある意味街中に転生するほうがよほどハードモードなのだが。

せめてもの救いは、生前と同じ感覚で体が動かせることだ。

これでスライムとかだったら、移動もままならなかったことだろう。

一通り体の感覚を確かめて、分かったことがある。


(体が軽い)


骨だけなので当たり前かもしれないが、関節の可動域も広がったようだ。

そもそも筋肉もないのにどうやって動いているんだという話だが、そこは考えないようにする。

大事なのは今の自分に何ができるかだ。


(あとは、”ステータス”)


目の前に白いウインドウが立ち上がった。

説明も受けていないが、直感的にできると分かったのだ。



個体名:――

種族:スケルトン

レベル:1


HP:17/17

MP:10/10


筋力:2

体力:5

敏捷:1

魔力:10


スキル:頑丈Lv:1、回復魔法Lv:―



自分の能力値が数値で表示される。

ゲームのようだが、シンプルで分かりやすい。

しかし、筋肉もないのに筋力とはこれいかに。

それにしても数値が低い。

比較対象がないから何とも言えないが、これで強いということはないだろう。

この中では魔力が比較的高いことがわかる。

また、スキルに回復魔法があるのは転生特典のことだろう。

頑丈については、種族として初めから持っているものなのだろうか。

骨粗鬆症とかでなくて助かる。


自分の能力を把握したところで、改めて周りを見渡す。

見た感じ変哲もない洞窟だ。

今いるのは突き当りに位置しているらしく、進めるのは一方しかない。

何か落ちていないか探してみるが、すぐに何もないと分かる。


(一応これぐらい持っておくか)


落ちていた適度な大きさの石を持ち上げる。

モンスターがいると分かっている世界で、何も持たないのは不安だったからだ。


(こんな石でも投げれば武器になるだろう)


物を投げるのは人間の最大の武器だとどこかで聞きかじった。

俺は石の感触を確かめるように握りながら、慎重に洞窟を進んだ。


何もない洞窟をひたすら進み続ける。

こんな場所では時間の感覚はすぐに失われた。


(真っ暗なはずなのに周りが見えるのは助かるな)


洞窟には明かりになるようなものは存在せず、生前では目の前も見えないだろうことが感覚で分かる。

アンデットの体は洞窟では便利なようだ。

さらに足を進めると、何やら音が聞こえてきた。

硬いもの同士がぶつかり合うような音とともに、人の声が聞こえる。

俺は音の方向に向かって進んでみた。


(あれは)


進んだ先にいたのは、2人の人間だった。

2人のうちの一人はたいまつを掲げ、もう一人はガイコツと戦っているようだった。

俺の同族のスケルトンだろう。

スケルトンは10体近くいたのが分かるが、今立っているのは2体だけだ。

そしていまその2体が同時に切り伏せられた。


(一撃かよ)


この世界でのスケルトンの弱さを見て愕然とする。

これは見つかったらただでは済まないだろう。

俺はすこし道を引き返し、先に見つけておいた岩の隙間に体を潜り込ませる。


(見つかりませんように)


2人の人間はスケルトンとの戦闘に疲れた様子を見せることもなくこちらに向かって進んでくる。


「それにしてもこのダンジョンにはまともな敵がいないな」

「まだ浅い階層ですから」


2人は慣れた様子で洞窟ダンジョンを進んでいる。

幸い俺に気づくことなく通り過ぎて行った。


(奇襲できそうだな)


一瞬考えてすぐに否定する。

奇襲した程度で勝てるわけがない。


とりあえず戻ってくる様子もないので、先ほどの戦闘跡に進んだ。

そこには12体のスケルトンがバラバラに積み重なっている。

もはや原型をとどめていないのがほとんどだが、頭蓋骨の数で12体いたのだと分かった。


同族とはいえなんの感慨もわかない。

ただ、スケルトンとしての人生のハードさに打ちひしがれていた。


(そういえば)


先ほどステータスを確認した時にやっていなかったことがある。

回復魔法だ。

スケルトンの体では回復魔法が効くのかも分からなかったし、最悪アンデットだからダメージを受けるかもしれないと思って試すことが出来なかったのだ。

ちょうどいいことに、バラバラのスケルトンの中に片足しか損傷していないものがあった。

そのスケルトンは上体をばたばたさせてもがいているが、足を失っては立ち上がることもできないようだ。

先ほどの人間もあの戦力差ではわざわざとどめを刺そうとも思わなかったようだ。


(それじゃあ、”ヒール”)


回復魔法の使い方は直感で分かった。

俺が人間だったら有効活用できたものを。


(おっ)


効き目があったようだ。

回復魔法をかけたスケルトンは、失われていた足が治っていた。


(なかなかの効果じゃないか)


体の欠損を治せるというのはすごいことなのではないだろうか。

まあ、スケルトン相手だし、HPという概念がある世界ではどうなのかわからないが。


(さて、これからどうするかだな)


治したスケルトンは特にこちらに襲い掛かってくるようなことはなく、立ち上がって歩いて行ってしまった。

進んだ先は先ほどの2人と同じ方向だが大丈夫だろうか。


(まあ心配してもしょうがないか)


そこで俺は気になるものを見つけた。

剣だ。

12体のうちのどれかが持っていたのだろう、錆びたり欠けたりと酷い状態ではあるものの武器といえるものが手に入ったのはありがたい。

むしろこんな剣で切り付けられたら傷口が酷いことになるのではないだろうか。

まあスケルトンには関係ないが。


先ほど拾った石と新しく拾った剣を持って俺はさらに洞窟の先へと進んでいった。


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