表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白い獣  作者: 黒狼
1/1

〜あなたは見た事ありますか?〜

美しい動物を見たことはありますか?

私はあります。

幻とも言われる真っ白い獣です。

ただあいつさえいなければと

私は日々思っています。

もしも見なければもっと幸せだったのかもと、、、

私はむかし、美しい動物を見たことがある。

それは、白くて、大きくて、尻尾が長くて、

立たずまいが凛々しくて、、、

あれは幻だったのだろうか。


ある年の寒い寒い冬の雪が吹き荒れている時。

私はある小さな小さな国の女王として産まれた。


親からは可愛がられ、親戚や国民からも可愛がられた。

おじいちゃんやおばあちゃんにとっては初孫で

とても甘やかされた。

この時が一番幸せだったのかもしれない。


隣の部屋で家事をしている召使いにちょっかいをだしては

笑って、遊んで、走り回って。

本当に毎日が楽しくて幸せで、

世界で一番幸せなお姫様だったのかもしれない。


そんなある日、妹が産まれた。

私が4歳の時だ。

名前は「アンナ」で、その翌年にはもう1人の妹が産まれた。

名前は「リーナ」。


その二人はどんどん成長した。


二人は年子という事もあり歳が近く仲が良かった。

それに比べ私は今まで1人で遊んだり召使いにイタズラしたりと

1人でものを考え一人で行動することが多く、

どうやって妹に接したらいいか分からずにいた。


私が10歳になり誕生日パーティーが開かれようとしていた。

この国の風習では5歳、10歳、15歳の誕生日は、特別とされ

ほかの年の誕生日パーティーより盛大に行われる。

次女のアンナも去年盛大なパーティーが行われていた。

三女のレーナだってつい1ヶ月前に5歳のパーティーが

開かれたばかりだ。

私もあれを見て5歳の頃のパーティーのことを

思い出したりした。


今回は私のパーティーなのでアンナやレーナのパーティーより

楽しもうと思っていた。

まぁ15歳になったら成人しちゃうから

実際これが最後の国民みんなが、

誕生日をお祝いしてくれるパーティー。

悲しいけど楽しみでもあった。


お城のもんが開かれ続々と国民やほかの国の貴族や皇族が、

入ってきた。

街も寒い中お店を開け屋台を出し活気に溢れていた。

そんななか不機嫌そうな女の子が二人お城の中にいた。

アンナとレーナだ。

アンナとレーナはまだ1回しかパーティーが開かれていなく

なにか不満らしい。

王様やお后様がそれに召使いまで私のパーティーに

つきっきりというのも気に食わないらしい。

そんななかどんどん人は集まってきて

パーティーもまもなく始まろうとしている。


私は特注してもらった白を基調とした回りにパールのついた

ドリスを着て寒いので狼の毛皮から作った上着を羽織り

寒い廊下を抜け会場まで向かおうとしていた。

その廊下は長く、歩きながらチラッ、チラッ、と

窓から真っ白な外の景色が見える。

外は雪が降っていて風も少し強い。

街側は道も整備され、除雪もされている。

それに太陽がよく当たるので、すぐに雪が溶けてしまうが、

この廊下は山側なので太陽が当たらず、

人も住まないので整備もされていないし除雪もされていない

なので雪が高く降り積もっている。

ボーと窓の外を眺めながら歩いていると

いきなりバッと真横の窓が開き冷たい風が廊下に入ってきた。

急いで横にいた召使いが窓を閉めようとするが、

なかなか閉まらずにいた。

私はその召使いを手伝おうと窓に近づいた。

すごく風が肌を突き刺すように痛い。

召使いも必死だが、このお城は古く、

ガタがついているのかもしれない。

窓の金具が錆びていてなかなか窓が動かない。

半分外に身を出して窓に食らいついているのに

本当に動かない。顔が本当に痛くて目も開けられない。

「もう無理だ。」

諦めて後で修理してもらおうと思い寒くて閉じていた目を

軽く開けたその時、私見てしまった。

美しい動物を。

今でも忘れられない。

見なければよかったと公開する日が来るとも知らずに。



















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ