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第六十二話 姉妹

「おはよー、聖音」


「んー……京華ぁ」


一瞬、

どうして京華がいるんだ?

と思ったのは秘密にして。


「そろそろ起きないと」


京華は私の体を、

何度もゆすって起こしてくれた。


「んー……もうちょっとだけ…」


でも寝起きの悪い私は、

寝返りして、

布団に潜った。


「こら、

結構ギリギリの時間なんだから」


そう言って、

しっかり準備を済ましてる京華は、

私に時計を見せた。


時刻は午前7時。


陽流さんが迎えに来るのは7時半。


…まだ大丈夫。


「いっつも適当なんだからっ!!

寝癖くらい直しなよ」


「ん……」


さすがに寝てられなくて、

目を擦りながら起きた。


「シャキッとしなさい、

シャキッと」


こういう所だけはお姉さんってゆーか…


「ほら、座って。

寝癖直してあげるから」


「ありがと…」


京華は私をドレッサーの前に座らせて、

丁寧にブローしてくれた。


「お姉さんがいたら、

こんな感じなのかなぁ……」


「聖音、一人っ子だもんね。

私でいいなら、

いつでもお姉さんしてあげる。

ってか、もう、

聖音は妹みたいなもんだし」


「ほんと?

嬉しーな」


「私はお姉ちゃんいるから、

逆に妹が欲しかったの。

わがままで寝起きの悪い子だけど、

聖音で我慢しとく」


「それ酷くない?」


「はい、出来た!

服はこれとこれね」


クローゼットからぱぱっと取り出して、

ソファに置いた。


適当に出したはずなのに、

ちゃんとコーデされてて、

京華のセンスの良さがよく分かる。


てか、

私のクローゼットの中身を熟知してる?


そんなに頻繁に家に来てるわけじゃないのに。


まぁいいんだけど。


「聖音、ご飯どうするの?

私はテレビ局で簡単に済ませようと思ってるけど」


「あー…じゃあ私もそうしよっかな」


こういう時だけは、

親がいて、

ご飯の用意してくれてるとありがたいって思う。


だけど、

この生活にも慣れないとね。


今はリサイタルでいないけど、

来週には2人共、

ウィーンへ旅立つ。


最後まで一緒に行こうって言ってくれたけど、

私は日本で女優を続けたいから、

ごめんねって言った。


「最後に音緒さんに会いたかったなぁ」


「出発の前日にパーティーがあるから、

私の友人として参加する?」


「え、いいの!?」


「正直私も困ってたんだ。

パパとママの関係の人達の集まりだから、

私の知らない人がほとんどで。

でも娘として出ない訳にもいかないし…

京華がいてくれると、

私もありがたいんだけど」


「そういう事なら…

遠慮なく参加させてもらう」


「やった、決まりっ!!」


その時ちょうど、

インターホンが鳴った。


誰かはもうわかってる。


「陽流さんが来たよ。

京華、出れる?」


私は自分の鞄を持ちながら、

京華に言った。


「もちろん、

準備はとっくに」


そう言って、

リュックを背負った。


「じゃあ今日も1日、

頑張りましょー!!」


「…いきなり元気になったし」


京華は横で、

呆れ顔をしていた。


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