第四話 幸福と・・・
頭の中が真っ白。
っていうか薔薇色??
なんか働かない。
ついさっき出来た彼氏、
天也の事で頭ン中はいっぱい。
一時間前までは(一時間も話してた!!)
嫌で嫌でしょうがなかったのに、
今はサイコ―って感じ♪
配達ミスした人と、
人使いの荒いママのおかげ。
「ただいまぁ〜。」
いつの間にか家に着いていた。
「あら、帰ってきたの。」
親の言うせりふかァァっ。
今更だけど。
フツーは一時間も帰って来なかったら心配するでしょ?
隣に郵便物届に行っただけなのに。
やっぱうちの親は変わってる。
「やっぱ隣だったよ。」
一応報告。
が、
「何が?まったくおかしな子ね。」
はいぃ?
何言っちゃってんの?
自分が置いてこいっつったんだろーがっ。
「手紙だよ、手紙っ。」
「あぁ〜。そう。
あ、ご飯食べなさいよ?
冷めるから。」
そ、そんだけ?
はぁ・・・。
損した気分。
でもいいの。
今日は許しちゃう。
「私いらない。お腹いっぱいなの。」
天也の事で。
胸がいっぱい。
「ふ〜ん。じゃラップしとくから空いたら食べなさい」
軽い。
なんて軽いの。うちの親。
ま、いいけど。
私は部屋へ行きベットへダイブした。
ばふっという音と包まれる感じは小さい頃から大好き。
だからベットを買うときはこの音と感じの良い物を選ぶ。
「天也・・・大好きだよ。」
全長2mのイルカの抱き枕を、
ぎゅっと抱き締めて呟いたりしてみる。
何も知らない人から見たら、
私も変人、だよね。
そこは認める。
ぐぅぅぅ。ぎゃっ。
そう言えばお腹空いてたァ。
良かった。
誰にも聞かれてない。
セーフ。
「ママー、お腹空いた。」
「勝手に食べなさい。」
・・・そう言うだろなぁって思ってたよ。
「うん。勝手に食べる。」
ニヤリ。勝ったぜ。
「あ、やっぱり、私飲むから付き合いなさい。」
自由だなぁ。
ってゆうかね、私未だ未成年だよ?
飲ます気?
「ハイハイ。」
一応返事する。
「あんたは食べてればいいから。」
がくっ。
「イケるクチでも明日学校でしょ。
また呼び出し食らうの嫌だから。」
じゃあ休み前ならいいの??
あ、そうだ。
私もダメだ。
二日酔いになったらヤバイ。
明日から天也と一緒に行くし。
初日から悪いトコ見せちゃいけない。
多分あの人は、
私の過去の行いなんて知らないだろうから。
知らないなら知らないままでいて欲しい。
消える訳じゃないから、いつかばれる。
でもその日までは、
ただのお嬢様だって思っていて欲しい。
それ位は許してくれるよね、神様。
―チュンチュン。
「聖音っ。起きなさい。
遅刻するわよ。」
ママの声。
私は朝は苦手な方だから、
起こしてもらわないと無理。
ママの声と一緒にやってきたセロリが、
私の顔を舐めた。
「うぅん。おはよう。
セロリ。あ、今何時?」
「7時過ぎよ。
早く起きて、準備しなさい。」
「ふぁい。」
まだちょっと寝ぼけてます。
なんかぼぉーっとする。
しかもなんか緊張する。
だって・・・。
―「行って来まーす。」
元気良く家を出た。
すると門の前に、天也がいた。
昨日の私服とはまた違って、
めちゃくちゃ格好いい♪
「ごめん。待った?」
ヤバっ。
私、思った以上に天也の事好きなのかも。
「今来たトコ・・・つーか、聖音、かわいい。」
「なっ、何言ってんの?!」
照れちゃう・・・じゃなくて、可愛くなんか無いしっ。
「制服が、でしょ。」
ちょっとひねくれてみる。
天也は、
「制服、じゃなくて聖音。」
ってちゃんと訂正してくれる。
そうゆうとこ、好き♪
はい、すいません。
ノロケです。
流してください。
「じゃ、行こ?遅刻しちゃう。」
「おう。行こうぜ。」
そう言って歩き始めた時だった。
「聖音?誰?その人・・・」
声の主は聞き間違えるはずない。ママだった。
「ま、ママ?!」
なんで・・・。
「聖音の様子がおかしかったから、
何かあったんだと思ってたのよ。
それで後つけようって・・・誰なの?」
私がおかしかった?
見てもないくせに。
こんな時だけ・・・。
黙り込む私をよそに天也は口を開いた。
「あ、俺、隣に越してきた、
朝日奈天也っていいます。
聖音とは・・・。」
「昨日から付きあってんの。
もういいでしょ。
遅刻するから。」
時間もあったし、
自分の口で言いたくなって、
はっきりと言った。
「そうゆうことです。」
天也は私の言葉に肯定した。
「アンタ、昨日会ったばっかでしょう?!
どういうつもりか、
はっきり言いなさい。」
んーもうっ。
耐えられそうにないわ。
「いい加減にしてよっ。
ママにはカンケーないッ。
付き合うくらいいいでしょ!?
天也を責めないでっ。」
「・・・俺、昨日初めて会った訳じゃありません。」
えぇ?!
どうゆう事??
「俺が初めて聖音を見たの、
こっちに転校の事で色々あって、
引っ越してくる前に一度、
下見ついでに来たんですよ。
その時にすっごい可愛い子を見ました。
可愛いって言うより綺麗って言った方があってるな。
制服着てなかったら、
同い年としか思えない。
凛としてて、
話し掛けちゃいけないような雰囲気を持ってた子。」
「それが、私?」
私、そんな雰囲気持ってるの?
「うん。
でもその子が隣に住んでて、
まさか尋ねてくるなんて思ってもいなかったよ。」
確かに。
「知らなかった。
私はてっきり初対面だって・・・。」
そうだよ。
一目ボレだし。
「だけど一目ボレは、事実だから。
聖音の事、マジですっげぇ好きだ。
聖音は?」
そんなの・・・。
「・・・当たり前な事聞かないで。
じゃなきゃママにこんなに抵抗しないよッ!
天也、大好き!!」
・・・言っちゃった。
言っちゃったぁ。
でも気持ちいいー。
なんかすっきり。
そしてママは、
「そう・・・。
じゃ天也さん、
うちのバカ娘をよろしくっ。」
だって。
がくっ。
そんなにあっさり?
じゃあ最初っから口出さないでよねっ。
「たっ、天也ッ。やばいよっ。遅刻・・・」
携帯は8時30分をさしている。
聖プリンシアの始業時間はこの辺では一番遅い、
45分からだけど、多分15分では間に合わない。
四葉も一緒だったと思う。
遅刻覚悟だし。
ってゆうか、
私は今まで自由にやって来てるし、
遅刻しても平気で何も言われなくなってるし、
いいんだけどね。
天也はそうゆう訳にはいかないでしょ。
天也は私みたいなのとは人種が違うんだから。
「天也、先行っていいよ?
天也の足なら間に合うだろうしね。」
私はいいから。
「聖音、早く行くぞ。まじで遅刻だぜ?」
どうして?
「た、天也っ。
遅れちゃうよ?
私、足遅いから・・・」
「一緒に行くっつったろ。
ンな事気にしねぇよ。
つーか、
歩くスピードの速い女なんて、
めったにいねぇ。」
天也・・・。
ごめん。そうだね。
「遅刻したっていいし。
俺、バスケ馬鹿になれなかったから、
違うトコで馬鹿しねェとな(笑)」
やっぱり優しいんだね、天也は。
私は周りから白い目で見られてきた人間だから、
こんなに優しくしてくれる人はいなかった。
凄く、その優しさがココロにしみる。
「何泣いてんの?
俺、なんか嫌な事した?」
私の目には大粒の涙。
「・・・違ッ!何もしてな・・・」
私の言葉を遮って、
天也は私を抱き締めてくれた。
そしてこう言った。
「聖音、大好きだよ。
大事にすっから。
愛想尽かさないでくれよ。」
大きな体なのに妙に優しくて。
私の涙腺は決壊。
涙が止まらなくて。
こんなに思ってもらうの、初めてで。
ママやパパからもこんなに思われたことない気がする。
―結局、2人揃って、大遅刻。
私は泣きすぎて目が真っ赤で、
いつも以上に近寄りがたかったのは事実。
天也は、偶然にも、
自習で、遅刻扱いにはならなかったらしい。
羨ましいっ。
―私は幸せいっぱいで、
これから起こる事を微塵にも思ってなくて。
ただひたすら、幸せを噛み締めていたんだ―。