第二十話 会いたい
次の日、
私はアルバムをクローゼットの奥から引っ張り出してきた。
真実を聞かされて、
思い出したことがある。
パパは写真を撮るのが好きで、
よく私やママを撮ってくれた。
その写真の中に、
納得がいかないものがあった。
今までは気にしないようにしてたし、
半分忘れてた。
でも今、その答えがわかるかもしれない。
そう思い、表紙をめくる。
アルバムの1ページに貼られた写真。
写っているのは。
多分私。
抱いているのは・・・知らない女の人。
横には優しい顔の男の人。
写真の下にはプーさんの顔の形の紙が貼ってある。
そして綺麗な字でこう書かれている。
【生後3日目 元気で生まれてきてくれてありがとう。】
私を抱いてるのは音緒さんで、
横に立っているのは聖斗さんだったんだ。
今わかったよ。
よく見てなかったし、
二人とも見つめ合ってて横顔だから分からなかった。
それにママとパパの子だって疑いもしなかったから。
この写真は。
私が二人の、
聖斗さんと音緒さんの子であることの証明。
そして微笑みあう二人が、
私を思ってくれていることの証明。
――私は決めたよ。
すぐにパパとママがくつろぐリビングに向かった。
「パパ、ママ。
話があるの。いい?」
突然で少し驚いたみたい。
でも私の目で見当がついたのか、
「座りなさい。」とだけ言った。
「・・・私ね、二人に感謝してるし、
今も大好きだよ。
本当の娘じゃないとしても、
私は二人の娘でいたいの。」
「聖音・・・。」
「だけど、本当のパパ達も私の大切な人。
二人がいなかったら、
私はこの世に生まれてないでしょ?」
「・・・。」
「だから、
本当のパパ達が望むなら会おうと思う。」
そう。私は決めた。
本当の親と会うこと。
会わないで後悔するより、
会って後悔した方がずっといい。
だから私は会いたい。
「そうか・・・。」
「ママは反対?」
「どうしてそんなこと・・・。」
「だって何にも言ってくれないし・・・。」
「反対じゃない。
ただ・・・寂しいだけ。
聖音が大人になったんだなって。」
「ママ・・・。」
「いつか来ることはわかってた。
でも・・・。」
「百合、俺だって平気じゃないよ。
今だって自分から会わないかって言ったのに、
聖音から言われたら・・・。」
「修斗さん。」
「だけど、
聖音はあいつらの宝でもあるから・・・。
約束だから・・・。」
「パパ・・・ママ・・・。」
「聖音、笑顔で会ってこい。
あいつらに会ったからって何も変わらないよ。
誰が何と言おうと俺達はお前の親だ。」
「ありがとう!
パパ、ママ。
私もずっと二人の娘だから!!」
――こうして私は本当のパパとママ、
聖斗さんと音緒さんに会うことになった。
今まで他人と思ってきた人だし、
素顔はわからない。
覚悟決めたたくせに内心ドキドキだった。
それでも、
会いたいと思うようになっていったのは血、なのかな。