第十三話 裏切り
・・・終わった。
なにもかも。
終わったんだ。
私は・・・優司さんに抱かれた。
抵抗しきれなかった。
憎いよ、優司さんが。
いいお兄さんだったのに。
優しくて、私のピンチを救ってくれた。
それは・・・仮面だったの?
偽りの優しさだったの?
もうわからないよ。
涙が止まらない。
拭いても拭いても、溢れてくる。
でも悪いのは私。
抵抗しきれなかった私。
優司さんはって油断してた私。
信じてついて行った私。
愚かな私。
いいわけなんて出来ない。
だって、この事実は変わらない。
私は優司さんに抱かれた。
裏切ったの、天也のこと。
不可抗力でも。
私は・・・。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
以前の私ならきっと黙ってそばに居続けると思う。
でもね。
天也が好きだから。
本当に大好きで。
愛してるから。
きっと黙ってることが苦しくなる。
だから・・・もうそばにはいられない。
ずっと一緒にいられると思ってた。
ずっと一緒にいたかった。
天也・・・。
天也・・・。
天也・・・。
こんなにも好きなのに。
こんなにも想ってるのに。
私はもう、そばにはいられない。
天也。
私は汚れてしまいました。
でもあなたが好きです。
とっても。
だからそばにいれない。
裏切りの代償はとても大きいんだね。
初めて知ったよ。
でも、知りたくなかった。
こんな気持ち。
私は知りたくなかった。
ずっと天也といたかっただけなのに。
どうして・・・。