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和やかな食事?

異文化交流?

「なんだ、そんなことか『シルビアの宿』が満室だった時に悩めばいいだろ」

「そうだな、スナフさんの言う通りだ」

「ヒース達が来るまでにはまだ時間があるだろうから、部屋を取っちまえよ」

女性2人とヒースさんは一度宿に戻って着替えてくるそうだ。アシャさんのローブは肩が破れてしまったし血の跡も付いてるんだから、着替えたいはずだ。

「そうしよう。バトロスさん達はどこに宿を取ってるんだい?」

「俺たちはギルドの近くにある『旅人の止り木亭』を常宿にしてる。ここは飯は美味いんだが、ちょっとギルドから離れてるんでな。たまに飯を食いに来るくらいだ」

「今日のところはここでいいとして、明日からはまた考えるか」

宿に入るとあまり広くないロビーに受付のカウンターと2組のソファーが置いてあり、そして奥が食堂になっているようだ。カウンターには女の子が1人いてこちらを見ると。

「いらっしゃいバトロスさん。お食事ですね」

と、声を掛けてきた。

「おうアリア、俺たちは飯だが、こいつは泊まりだ、部屋は空いてるかい?」

アリアちゃんは、14、5才くらいかな?明るい金髪に緑の目身長は155cmくらい。将来はえらい美人になるだろうが、今は可愛らしいさの方が勝っている。深緑色で、すその広がった短じかめのワンピースに胸当ての付いた白いエプロンを付けている......メイド服?ここは、ホワイトブリムを付けてほしいところだが、頭を飾るのはワンピースと同じ色のリボンでした。ただし、その姿は可憐である!

「いらっしゃいませ、お一人ですか?1泊2食付きで600イェンになります」

「あー、とりあえず3泊でお願いしようかな」

「はい、3泊ですね1800イェンになります。こちらのカードにお名前を書いてください」

笑顔が素晴らしい!俺は1800イェンを渡すとカードに名前を書いた。

「タケルさんですね。お部屋は2階の203号になります。朝食は1の鐘から2の鐘の間に注文してください。夕食は7の鐘から8の鐘の間になりますね」

「アリア、今日の晩飯は俺たちの奢りで少し豪勢にしたいんだ」

「そうですか、では80イェンはお返ししますね」

「ありがとう。夕食は80イェンなのかい?」

「はい、朝食はお泊りのお客さんだけなんですが、お昼食と夕食は普通に食堂もしてるんです。夕食の定食が80イェンになります。他のメニューもありますから差額をいただければ変更できますよ。お風呂は7の鐘から9の鐘の間に済ませてください。こちらはお部屋の鍵になります。」

「ありがとう、アリアちゃん。よろしくたのむよ」

俺は鍵を受け取ると部屋に行ってみた。バトロス達はヒース達をロビーで待つとのことだ。

部屋に入ると、6畳ほどでベット、テーブル、椅子そしてタンスとシンプルだが落ち着いた感じの部屋だ。

「ここは風呂があるのか、アリステアには風呂の習慣が無かったからな、特別に風呂が好きってわけじゃないけど少し楽しみだなー、俺も日本人ってことかな」

特に荷物もないので俺はそのまま部屋を出てロビーに下りた。

すると、アシャさんたちも合流していた。

「待たせたかな?」

「いいえ、私たちも今ついたところです」

「お腹すいちゃったよ、早く食べよ」

ヴァイオラは、水色の短めのチュニックにスリムな黒い7分丈のズボンをはいて短めのブーツ。活動的な感じがヴァイオラに良く似合う。

アシャさんは、白い長めのチュニックにひざ下丈の若草色のスカート足元は編上げのサンダル。こちらもムチャクチャ似合ってる!美人はなにを着ても美人だと思うがアシャさんのおしとやかなイメージにぴったりだ。

しばらくアシャさんに見とれていると。

「ほら見とれてないで飯だ飯だ!」

スナフに襟を引っ張られて食堂に入った。え?男たちの格好?......普通だ。以上!


「さーてなににする?」

と、ヴァイオラが俺に向かって聞いてくるが。

「俺に聞かれても田舎もんだからまったく分からないぞ。ここの名物やお薦めを適当に持ってきて欲しい」

「それもそうか、ほーいシルビアさーん」

ヴァイオラが厨房に向かって声を掛ける。

「はーい、ただいまー」

と、返事をして現れたのは、アリアちゃんのお姉さんかな?2人はそっくりだ。

アリアちゃんが将来美人になるってことを証明するような、とんでもない美女が現れたアシャさんとどっちがと言われれば、俺はアシャさんに軍配をあげるだろうが、アシャさんより少し年上な感じで色っぽさではアシャさんをしのいでいる。髪の色と眼の色はアリアちゃんと同じく明るい金髪と緑色の目だ。ダイナマイトなボディーをすその長い細身の青いワンピースが飾っている。

「あら、蒼穹の翼のみなさんいらっしゃい。そちらの方は初めてですね」

「あ、きょきょ今日からお世話になりますタケルでしゅ!よ、よろしくお願いします!」

俺は、思わず立ち上がるとシルビアさんに挨拶した。かなりテンパッているので噛んだ。アシャさんが冷たい目で見ている。ほかの4人は温かい目だ。シルビアさんは....ホンワカした目だ。

「あらら、ご丁寧にありがとうございます。この宿の主人のシルビアです。こちらこそ、よろしくお願いしますね。ところで、ご注文はお決まりですか?」

ヴァイオラが。

「今日は、タケルと知り合った記念に食事会なんだよ―、ナルルムのメロールと、スーヌークのキルル、それにモーロウルのポポル、あとはシルビアさんのお薦めを6人前にあたしたちはエール。タケル飲み物どうする?」

「え?あ、酒は飲めないんで、甘くない果実水を」

「じゃーそれをお願い」

ヴァイオラはシルビアさんにウインクした。

シルビアさんはにっこりほほ笑むと。

「はい、では少々おまちください」

といって厨房に入って行った。

えーーと?俺は考え込んでしまった..............................................ナルルム?メロール?スーヌーク?キルル?モーロウル?ポポル?.....なんじゃそりゃーーー!日本語が通じると思っていたのに??俺は必死に思考を巡らせた。

まてまて、ここは異世界だしアリステアでもない、固有名詞は聞いたこともないものであってもしかたがない。ナルルムとスーヌークとモーロウルは....。

「たぶん食材に違いない。これは、見たことも聞いたこともない物である可能性が高い。ひょっとするとこの地方の特産品かも知れん。だがしかし、メロールにキルルそしてポポルこちらは文脈からして調理法だと思われる。俺が知っている調理法と言えば、煮る、蒸す、焼く、炒める、和える.......後は生か?生は調理法なのか?刺身は生だな!...はっ、まさか生きている物にソースを掛けた物がそのまま出てくるなんてことは?家事スキルLV1の俺だ、これ以上の調理法なんか浮かんでこない。つまり、ここガーゼルの街はよほど食文化が発達しているってことなんだろう。」

俺は真剣に考え込んだ。今まで生きてきた17年間で食事に対しこれほど真剣に考えたことなどないほどにだ。

「いやいや、ただでさえ俺は今、猛烈な空腹状態だ!たとえどんな物が出てこようとも、あの美しいシルビアさんが出してくれる物なら食えるはずだ!砂利だろうと岩塩だろうと胃に穴が開くほど辛かろうとも!何だ、簡単じゃないか俺には怖い物など無いじゃないか!何をそんなに悩んでいる。出されたものをひたすら食うこれが食事じゃないか!!」

「あのー、美しいと言っていただけて大変嬉しいのですが、生きたままとか、岩塩は出しませんよ。お料理をお持ちしましたので冷めないうちにどうぞ」

気がつくと目の前には、ステーキやサラダ、唐揚げや煮物にスープなどのごく普通の料理が並んでいた。

「あれ?メロール?キルル?ポポル?.....??」

すると、蒼穹の翼のみんなだけじゃなく、食堂にいる他の客まで大爆笑した。中には腹を抱えて苦しそうに笑う人や、突っ伏して拳でテーブルを叩く人までいる。

「プププ、タケル面白いリアクションありがとー」

ヴァイオラが涙をぬぐいながら。

「タケル殿の考察はなかなか素晴らしい出来でしたね」

ヒースが頷きながら。

「ここまでとは、タケルやるな!」

スナフが感心したように。

「え??なに?」

話が分からない俺に。

「初めて一緒に食事をする冒険者同士が、緊張をほぐして楽しく食事ができるようにするガーゼルの冒険者の伝統だ」

と、バトロスが説明する。

「わたし結構長くこの宿をやっていますけど、ここまでの物はちょっと覚えがないです」

シルビアさんがにっこり笑顔で。

「えーと伝統?ですか.....シルビアさんに美しいって....?まさか、俺って独り言を言ってたか?」

すると、一人だけ笑っていなかったアシャさんが。

「はい、『たぶん食材に違いない...』ってところからですね」

ほとんど最初からじゃねーか!!

俺は床に両手と両膝を付いてしばらくの間立ち上げれなかった。

食堂中がさらに大きな笑いに包まれた。


「純真な若者をからかって何がたのしいのかねー」

「面白かったからいいじゃないの」

「ヴァイオラも笑われてみればいいんだ」

「美しいシルビアさんが出してくれた料理が食べられるんだからいいじゃありませんか」

「アシャさん.....やめてください....オネガイシマス....」

なんだかアシャさんがそっけない気がする。俺何かやっちまったか。

「いやー、あそこまですばらしい、ガックリなんてもう2度と見れないぜ」

「覚えてろよスナフさん、いつか指差して笑ってやる」

とは言ったものの、確かに楽しい食事の初めとしてはいい線いってるんじゃないかな。

俺たちは楽しくお喋りし食べそして飲んだ。



分かれぎわに、バトロスが金の入った袋を渡してくれた。

「ブラッドグリズリーの素材代だ、そこそこになったぞ」

「本当に俺がもらってもいいのかい?」

「もらうんじゃなくて最初からタケルのもんだ、今日は本当に命拾いした。ありがとよ」

「じゃーまたねーーー」

ヴァイオラが大きく手を振る。

「クエスト頑張ってください」

ヒースが言うと。

「.......では」

アシャさん。俺何かしたか?食事の間じゅうこんな感じだったゾ?俺、泣いちゃうぞ。

「タケルなら直ぐにランクが上がるだろう。でも俺たちもこのままじゃ終わらない」

と、スナフ。

「タケルにも良い仲間が見つかるように祈ってるぞ」

バトロスだ。

「今日はごちそうさま、無理せずやっていくさ」

蒼穹の翼のみんなとわかれた。



風呂から上がった俺は部屋の椅子に座って、バトロスに渡された金を数えてみた。なんだか、金持ちになった気分だ。

「ほー50000イェンかー。明日は武器屋に行こうかな。棒手裏剣の材料も欲しいな、それに魔道具屋で木片も買いたいな」

木片は魔術師が使う杖を作った時に出る木片だ。安くて魔力の通りもいいからこいつでカードを作っておけば今日のように銀貨を使わなくても記述魔法が使える。1度で砕け散るのは一緒だけどな。

俺は、金を合わせてみようとして転移した時に持っていた巾着をひっくり返した。すると金がこぼれ出した後に。

「アリシアのハンカチだ.....。何にも持って来れなかったわけじゃないんだな」

ハンカチを手に取る。真っ白なハンカチに「アリシア」と刺繍がしてある。

「ハンカチ返せなかったな、いつか返せるときもあるかな」

俺にとっては今日の出来事だが、アリシアにしてみたら10年以上前の出来事になるってことか。

「この世界は15才が成人だから。もう結婚して子供もいるのかな、きっと可愛い子供だな。バーナムおじいちゃんに似なきゃいいな」


「ほっぺにチューしてもらえなかったな.....」

今日は、いろいろあったな、そろそろ寝るか。


そろそろゴーレム出したい。

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