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今日も討伐だ!

翌朝は1の鐘に起こされた。

「さーて、今日はどうしたものか」

昨日は雑貨屋に行っただけで武器屋に行き忘れたんだよなー。

「なんちゃって日本刀だからなーこれ、無理させたら折れちまいそうだし、やっぱり武器屋行こうかな」

初期装備のショートソードをモデリングで日本刀っぽく変形させて使っていたんだけど、材質があまり良い物ではなかったらしくゴブリンを20匹くらい切ったところで刃がつぶれてきて切れ味が落ちてしまった。

再度モデリングで刃を鋭くしてたので問題なく使えてはいたけど、元が元だけに折れてしまうおそれはある。

「根元から折れなきゃその場は何とかできるだろうけど、ゴブリンより硬い魔物は当然いるだろうしな」

「鍛冶スキルがアクティブになってないんだから、買うしかないよなー、手持ちは無いけど当面の目標金額を設定することも必要だよな」

「キャラ設定で付け足した5つのスキルのうち2つしか使えないってのはどう言うことかねー、何か条件を満たさないと使えるようにならないってことか.....、それとも.....やっぱりチュートリアル状態で、新しく取得したスキルとか上げたステータスに慣れろってことかな.....」

「バグ利用で使えないってか?」

そう言えば、ステータスは目いっぱい上げたけど違和感なく戦えたな、筋力とかかなり上げたから刀とかまともに振れないんじゃと思ってたんだけど。

「スキルは、バグを利用する前の状態だったりするのか?ステータスも上がってなくて俺の素の状態ってことなら違和感なくて当り前かもな。」

「自分の状態がわからないんじゃこれ以上考えても無駄だし、飯にしよう」



朝飯を食べてからギルドに紹介された武器屋に来てみたんだけど.....。

「値段はピンキリだなー」

鋳造から鍛造、ブロンズからミスリル?、シンプルな物から装飾過多なものと様々な剣や槍が並んでいるが。

ただ一つ言えることは。

「資金が足りない....」

ゴブリン討伐で稼げるイェンじゃいつになったら買えるんだってことだ。

しばらくこの刀で過ごさなきゃならないってことだよなー。



「ゴブ!!」

今日は、ゴブリン討伐。

こいつらは昨日倒しているからもう慣れたもんだ。1回に当たる集団は3匹から6匹全て秒殺だ、昨日あれだけ討伐したのに一向に減るようすが無い。30匹や40匹が一度に襲ってくるとなるとちょっと厄介かもしれないが、まったく連携を取らずに襲いかかってくるだけだ、6匹くらいならまったく問題ない。

こんなゴブリンでも一般の住民にとっては十分に脅威なんだろう。



「ブヒブヒッ!」

次の日はオーク討伐。

オークは『オーク』って吠えないんだな。

オークは人型だが豚のような頭部で170cm程の身長、ガッチリと言うよりはデップリと太った体型をしている。武器は太く長いい棍棒を振り回しているところから、ただのデブではなく筋力もかなりの物だろう。あんなもんで殴られたら頭は消えちゃうな。このなんちゃって日本刀じゃ下手に受けるだけで折れちまうだろう。

「まっ、当たらなければどうと言うことはない!」

一度言ってみたい言葉のベスト20位には入るな。

オークは3匹で襲ってきた。こいつらも連携も取れずにバラバラに殴りかかってくる。

1匹目が振り下ろすタイミングで棍棒を持つ右手を切りつけた。棍棒はオークの手を離れどこかに飛んで行った。そのまま返し上から袈裟切りに振り下ろす刀を振りぬき.....しまった魔核平気か?。

そのまま2匹目の棍棒をかいくぐりすり抜けざまに下から右腕を切り落した。

「ブヒーーー!」

2匹目をそのまますり抜け3匹目の頭部を真っ二つにした。そのまま股まで切っちゃうと魔核が心配だからな。残る2匹目を振り向いて逆袈裟に切り上げた。

「ふう、人間に近い身長だからゴブリンよりもやりやすいな、ゴブリンは小さいからな」

オークは皮下脂肪が厚く刃に油が付くから集団戦ではちょっと気を付けないといけないか。

「剣術ってのは対人用の技だからなー人型の魔物ならそれほど苦労はしないけど、飛んでくるやつや地面を這うやつ、人型から大きく離れた体型をしている魔物が相手だと慣れが必要になるかもな」

当面は人型の魔物を相手にしていけばいいか。

と言うことは、次はコボルトかな。人型で犬のような頭を持ち身長は150cmくらい。ただし、頭が良く10匹前後の集団で狩りをする。ゴブリンほどではないが結構遭遇率が高く初心者が最初にぶつかる壁ってところだそうで、これを乗り越えられないで死んだり引退したりするやつらはそれなりにいるそうだ。

「せっかくの情報だし少し作戦でも考えようかな」



「バウバウバウ~!」

翌日はコボルト討伐。

コボルトも『コボ!』とは吠えなかった。

コボルトの集団は12匹4匹ずつの小隊にわかれ3方向から襲ってくる作戦のよだ。

「なかなかやるな!でもこれでどうだ!」

両手に持った木片に魔力を流し左右から襲ってくるやつらに放り投げると正面に向かって走り出す。木片は昨夜のうちにモデリングを使って魔法陣を刻んでおいた。左右でファイアーウォールが発動しコボルト達をひるませている隙に正面の4匹を相手にする。さすがに12匹にのしかかられたら剣を振るどころじゃない。

「でもっ、4匹なら話は別だぞ」

刀の一振りで3匹の喉を一度に切り裂き残る1匹は袈裟切りだ。続いて振り向いて右手にいる方に突っ込んだ。炎の壁に驚きあわてているコボルトはさらに簡単に倒せた。のこりは.....。

「あれ、炎は治まっちまったか?でも、残りが4匹なら結果は大して変わらないかなっと」

残りのコボルトもサクッと倒した。

「記述魔法か結構使えるなー、ソロで戦うには便利だな、効果が無かったら必死で逃げ回るところだ」

木片に刻んだんじゃ1回ごとに燃えちまうのが欠点か。

「金属に刻んでも発動するんだろうけど、燃やしたあと熱くて持てないかもなー、連射するには在庫の管理がキモだな」

「修行で弓や手裏剣を使った時と同じか、面倒だな」

うちの剣術は戦国時代のはるか以前から続くものだそうで、対人戦闘だけじゃなく戦場であらゆる状況下で最大限に戦果を上げるための修行をした。本筋は刀だけど、戦う相手として槍や弓や鉄砲も想定しているため練習相手になるために俺もそれなりに使えるようになってる。戦場で無手になった場合には組打ちもやる。スキルの剣術以外がそこそこのレベルだったのはそう言った理由だろう。



そんなこんなで1週間がすぎた。

「こんちは―」

今日は狩りが終わってから雑貨屋に来ている。

「いらっしゃい、タケルさん今日は何をお求めですか?」

アリシアちゃんが笑顔で接客してくれた。

んー、癒される、この世界は女の子成分が足りないと思うんだよな。

「弱ポーションを3つだね」

すると、アリシアちゃんは

「クエスト中にケガしちゃったんですか?ポーションちゃんと効きましたか?」

と心配顔でたずねてくれた。

「いやいや、この前買ったやつは使ってないけど、10日くらいで効果が弱くなってくるって、ギルドで他の冒険者が話してるのを聞いたからさ、念のためにね」

「そう言えば、説明してなかったですね、ごめんなさい」

すまなそうに謝ってくれた。

「いやいや、アリシアちゃんも当たり前すぎて説明忘れただけでしょ、今のところゴブリンとかオークとかコボルトした討伐してないからね、あのくらいならケガなんてしないさ」

「ケガがなくてよかったです。コボルトは統率の取れた集団で襲ってくるから初心者は苦労するって聞いたことありますよ、タケルさんって強いんですね」

アリシアちゃんの笑顔可愛いなー。

「アリシアちゃんの作ったポーション持ってるから安心して戦えてるんだよ、気持ちに余裕があるから思い切り戦えてるんだね」

アリシアちゃんは顔を赤くして。

「えっ、あ、ありがとう」

かっ、可愛すぎるだろ!!俺はロリじゃない!ナインダケレド......。

「うちの可愛いアリシアにちょっかい出してるのは、またお前か~~!!」

いつの間に現れたのか、おっさんに後ろから怒鳴られた。

「うわーーーーー!!ちがいますちがいます、そんなこと思ったこともないです!」

「なんだと!アリシアが可愛くないって言うのか!?おまえの目は節穴か!」

また襟を掴まれて頭をガクガク揺らされた。

「アリシアちゃんは可愛いです、今までに見たこともないくらい可愛いです、はい!」

「お前なんかにアリシアはやらん!!!」

おっさんに突き飛ばされて後ろに倒れこんでしまった。

アリシアちゃんがおっさんを止めてくれるかと思ったが。

「そんな~~、見たこともないくらいなんて~~」

アリシアちゃんは目をつむって両手を頬に当て首を振っている最中だ。

それを見たおっさんは。

「うがーーー!」

と吠えて詰め寄ってきたので、俺は。

「ごめんなさいごめんなさい」

と言いながら後ずさりする。

そこで、復活したアリシアちゃんがおっさんを止めて店の奥へと.....。

この前来たときより酷いことになってるな。



「お父さんがごめんなさい」

アリシアちゃんが謝ってくれる。

「気にしてないから平気だよ、でも、男のお客が来るたびにあれじゃ大変なんじゃない?」

「いつもはそんなことは無いんだけど.....」

「お父さんとしては娘に近づく男なんて、悪いやつにしか見えないんだよ、アリシアちゃんのことが心配でしかたないんだね、大事にされてるってことだね」

「最近タケルさんのことばかり話してたせいかな...(ぶつぶつ)」

顔を赤くしてアリシアちゃんがなにかつぶやいている。

「ん?なに?」

たずねてみると。

「いえ、何でもないです!」

「そお?さて、あまりお邪魔しちゃ悪いから「お邪魔なんかじゃないです!」そ、そお?弱ポーション3本ちょうだい」

アリシアちゃんがかぶせてきた。

「あっ、....弱ポーション3本ですね、ありがとうございます」

ポーションを受けとり店を後にした。



翌日冒険者ギルドに行くと、いつもの職員さんに。

「タケルさん、おめでとうございます。今日からGランクに上がりますよ、なかなか早い昇級ですね将来有望ですよ」

と言われた。

「ありがとうございます。でも、昇級って言っても『-』が取れただけですし、有望って言われても」

「登録してすぐに魔物の討伐ができる人は少ないんですよ、街中のおつかいだとここまで早く『-』は取れないってことですよ」

「なるほど、そうかもしれませんね、コボルトなんか集団で戦術っぽいことしかけてきましたからね」

「ちなみに、コボルトはFランクでもパーティーを組んで討伐することを推奨しています。大きな集団だとDランクないとソロでは討伐できないんじゃないでしょうか、そう言う意味でも将来有望ってことです、無理はしないで頑張ってください」

「はい、無理はしてませんよ、するつもりもないです」



そんなこんなで、また数日クエストをこなし今日は(買い物をするために!)武器屋に来ている。

ちなみに、雑貨屋では前回とほとんど同じやりとりがあった。アリシアちゃんには癒される。

「今日は買って行ってくれるみたいだな」

店の店員さんが出てきた。

体はあまり大きくないががっしりした髭面の.....おっさんだ。

「おーあーるぜーっと」

この世界には女の子成分が足りないと思うんだ!

.....街中にはいるんだから、俺のまわりにいないだけなのか!そうなのか?

気を取り直して。

「今日は!金が貯まってきたので、武器と防具を買いに来たよ」

「ガハハハ、お前さんあまり見ない顔だが冒険者だろ?初心者かい?」

「冒険者になって2週間くらいかな今日やっとG+になったところさ」

「ほー、そんなに早くG+かい有望株だな、パティーポジションはどこだ?」

「今のところソロだ、剣はできれば鋼のロングソード、防具は動きを邪魔せず必要な部分を保護できるやつがいいな」

「ソロだとオーク討伐くらいか、それでよく2週間でG+まで上げたな」

「いや、コボルト10匹くらいならそれほどてこずることもないからな」

「ほー、それは本当に有望株だな、鋼のロングソードと胸当てと腰当てと手甲に脛当てで35000イェンってとこだな、中古の防具の方が適度にこなれてて使い勝手はいいと思うが、それなら30000イェンだ、ちょうど体格に合いそうなのがある」

「じゃー防具は中古をもらうよ」

「まいど!中古と言っても俺が整備したやつだから新品に負けていないぞ、むしろ硬さがとれていて使いやすいはずだ、もし新品が欲しいと言ったら怒鳴ってたところだなガハハ」

そこは怒鳴るんじゃなくて説き伏せるところだろ。

「ロングソードはこの中から自分に使いやすいのを選んでくれ、値段はどれも同じだ」

おれは、カウンターに出された3本の中から気にいったバランスの物を1本選んで買った。

「今まで使ってた剣はどうするんだ?必要ないなら買い取るぞ」

「予備にするから買い取りはいらないよ」

「そうかい、手入れはちゃんとしろよ、命が懸ってるんだからな」

「わかったよ、またな」

「おう!あ、そういや名前聞いてなかったな、俺はこの店の店長でダンカンってんだ」

「タケルだ」

「タケル、ころからもよろしくな」

「ああ」



宿に帰って剣はさっそくモデリングで日本刀っぽくしてしまった、あの店に整備には持って行けないな。



「ブヒブヒッ!」.....「ゴブ!」.....「バウバウバウ~!」.....「.....」

.....大トカゲにはぜひ『トカトカトカッ!』って吠えてほしかった。

ゴブリン、オーク、コボルト、沼大トカゲと討伐の種類も増やしてきた、虫系の討伐依頼もあったが、1度ナントカ大カブト虫ってのを討伐したけど、大きいだけでなんであんなに不気味になるんだ、もう行く気がしない。トカゲは低い姿勢で襲ってくるので最初は戸惑った。でもアーススピアで下から土の槍で串刺しした。背中の鱗は硬いが腹側はそこそこ柔らかかった。対人戦闘用の剣術と魔法の併用で今のところ何とかなっている。経験が圧倒的に足りないが、ぼちぼち慣れていかなきゃならない。誰かとPTを組むのが手っ取り早いけど、この世界の常識とか知識が無さ過ぎて誰かと深く付き合うってのはまだ無理だと思う。



ギルドに入って今日で1か月だランクもFになり「-」が取れた。G-からf-までが見習い期間ってことらしい。ギルド職員のハンスさんは異例のスピード昇級だって言ってた。

さーて今日はアリシアちゃんの弱ポーションを買って帰ろうかなー、雑貨屋でアリシアちゃんと話すのが楽しみだ。

「こんにちはー」

声をかけながら店に入っていくと。目の前に厳ついおっさんの顔が超ドアップで迫り。

「アリシア!!!」

「どぅおわ!!」

驚いて飛び下がり尻もちを付いてしまった。



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