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ケーナそんなもの拾ってきちゃいけません

良かったのか、悪かったのか、カーシャが来てくれたおかげで、変な誤解を受けずに済んだ訳だが、換わりにヘタレ認定を受ける事になったようだ。まあ、女の人と付きあった事など無いんだし、今朝はどうしていいかわからずに逃げ出した訳で、ヘタレと言われても反論はできないよな。起き上がり、改めて椅子に座ると。

「カーシャってシルビアさんと知り合いなのか?」

カーシャに向かって尋ねる。

「昔、一緒にパーティを組んでたんだよ。2人とも前衛でね、どっちが魔物に致命傷を与えるか競ったもんさ。あたしの方が力はあったけど、鋭さやいスピードじゃ敵わなかったね」

カーシャが答えると。ガーネットが。

「カーシャさんはな、シルビアさんと一緒にランドドラゴンを倒した事も有るんだそうだ。2人ともドレイクバターズだ。シルビアさんがドレイクバスターズだとは、人は見かけによらないとはこのことだな」

シルビアさんは笑顔で。

「あらあら、昔はどうでも、今は小さな宿屋の女主人ですよー。見かけのとおりです」

「カーシャもドレイクバスターズなのか、だったら冒険者ランクは高いんだろうな。ちなみに俺はCだ」

「ん? あたしはAだよ。タケルはフェンリルバスターなのにそんなランクなのかい? A+やSだって狙えるんじゃないか?」

「Sランクとかどんな化け物の話だよ、だいたい、クエストをそれ程こなしていないんだよ。昨日だって、AMRのテストに行ってたくらいだ。カーシャこそ、今更ブラッドグリズリーの討伐依頼なんてどう言うわけだい? ありゃCクラスの魔物じゃないか」

「あたしはAだけど、シューティングスターはパーティランクCだからねサルビアはC-だし、他の娘達もCやDだからね。丁度いい相手だったのさ。あたしは後ろで指示を出すだけだからね。みんなのランクが上がるまではこんな感じだね。あたしは、シャカリキになってランクを上げるつもりもないしね」

「そう言うことか、うちの他のメンバーはE-とF-だからな、一緒に受けるようなクエストってなかなか無くてさ、パーティで受けたクエストって墓守だけだよ。厳しいクエストだったなあれは」

俺は遠くを見つめる。カーシャが。

「墓守なんて、寒いのと眠いのが辛いだけだろ? 厳しいってどう言うわけだい?」

「タケル兄ちゃんはゴーストが苦手なんだよ」

ケーナが余計なことを言い出した。

「ゴーストなんて、うっとおしいだけで何の害も無いじゃないか」

みんなの視線が俺に向いている。

「ああそうさ、俺はゴーストが怖いんだよ。頭では解ってるんだよ、だけどな気持ちが納得しないんだよ」

と言って席を立ち、ガーネットとケーナに向かって。

「今日はこれから、ケーナの練習だ。ガーネットにも一緒にきて欲しいんで宜しく」

そう言って食堂を出て行こうとすると。カーシャが。

「タケル、可愛いね」

とっても、意地の悪い笑顔で言った。俺は顔が熱くなるのを感じながら。

「可愛い言うな!」

と言って食堂を出た。

「「「「「(キャー)照れてるー」」」」」

背中で声が聞こえた。勝手に言っててくれ。


「というわけで、今説明した通りにやればいいんだ、気楽にやってくれ」

「うん!」

と、元気に返事を返したケーナは荷台からAMRを下ろそうとしてハンドルに手をかけた。

「重量軽減の魔法がかかってないと本当に重いね。軽くしても、長いから使い辛いかな」

「撃つ時に結構反動が有るからな、重くしないといけないって事もあるんだけどな。重量軽減の魔法をかけたままだと反動が大きくなるだろうから、俺はともかくケーナは手で持ったままじゃ使えないと思うぞ」

ガーネットが。

「手に持って使えないとなると、魔物の討伐はどうやるのだ? 弓を使うメンバーが居るパーティの戦い方は参考にならないと言うことか?」

「弓の射程距離はよく分からないけど、昨日は700mくらい離れたところからブラッドグリズリーを一撃だった」

「自分も詳しい訳ではないが、弓とはそれ程離れて使うものではないぞ、それに、ブラッドグリズリーを一撃で倒せるような弓など有るのか? それこそ、アーティファクト級の魔道具になってしまうのではないだろうか?」

「それだったら、あたしたちが戦い方を考えていかなきゃいけないって事?」

「だからガーネットにも来てもらったのさ、こいつの威力を直に見てもらわないと意見も出せないだろ?」

「なるほど、もっともだな」

「じゃあ、俺は的を置いてくるから、2人は準備をしていてくれ、ディフェンダーは着てるんだよな? 上に着てる物は脱いでおいてくれ。でないと万が一の時に大変な事になる。ああ、インカムも付けて物理障壁張っていおてくれよ」

「タケル兄ちゃん、大変なことって何さ?」

「まあ、大丈夫だから気にするな。あくまでも保険だ」

「タケル、 この前のままじゃないか。大丈夫なのか? えーと、この前のような事にはならないのだろうな」

赤くなったガーネットは非常に可愛い。

「デザインを変える時間は無かったけど、一応本縫いしてある。残念だが、もうぽろりは見れないよ」

「残念ではない! ......恥ずかしかったのだぞ......」

おれは、ツァイにまたがり例の岩に向かった。ケーナ、上に着た服は障壁では保護出来ないからな、万が一爆発でもしたら、ボロボロになっちまうんだ。

「そうなるとビキニアーマーやスク水アーマーのままよりビジュアル的に大変なことになるだろ?」

ビキニアーマーやスク水アーマーのままよりも、かえってエロい格好になっちまうと思うんだ。

「 別に俺がガーネットのビキニアーマー姿が見たいとか、そういう理由ではないのだよ。アーハハハ」

「ダメな主様、心の声がだだ漏れです」

「え? 独り言言ってた? えーツァイさん、黙っててね?」

「インカムは切ってあるんですか?」

慌てて頭を探るが、まだ装着していなかった。セーフ。


的を設置してみんなのところに戻ってきた。

「さて、ライは一昨日みたいに着弾の状況を確認してくれ、ケーナ準備はいいか? 弾は徹甲弾でいいな」

「了解だ、店長」

「うん、この青いケースだよね?」

ライは走り出し、ケーナは伏せ撃ちの姿勢を取り、徹甲弾のマガジンをAMRに装填すると、レバーを引いて初弾をチャンバーに送り込んだ。ライの連絡を待って、ケーナは引き金を引いた。

「ズガーン」

直ぐにライかられんらくがはいる。

「12時30分の方向に22cmずれた」

へー、初めてにしては、イイ線行ってるんじゃないか?

「以外と音が大きいのだな。不意打ちをかけても1発撃ったら、位置もばれてしまうな、土煙が結構上がるじゃないか」

「土煙は、撃つ前に水でもまいとけば平気だろう。音はどうしようも無いが、2・3発撃ったくらいじゃこっちの位置はばれないんじゃないか?」

「なるほど、でもその姿勢で撃たなくてはいけないとすれば、周りに誰か護衛は必要だな」

俺かアインとフィーアに任せることになるかな。ケーナは、スコープを調整しながら数発撃つと、その後は黙々と的に向かって撃ち続けた。


ケーナは、4つ目のマガジンの途中でもう撃てなくなった。多分魔力切れだろう。小さなファイアーボールとは言っても、回数をこなせばそれなりに魔力は使うようだ。徹甲榴弾的な方はもっと魔力を使うことになるからな、さて、何発撃てるかな? 自分がいくらでも撃てるので、その辺の対策はしていなかったな。

「ケーナ、ご苦労さん。こいつを飲んでおきな」

ケーナにマナポーションを渡しながら。

「筋がいいんだな、的当ての感じじゃ、もう魔物の討伐に使えそうじゃないか」

「あれだけ、中心近くに当たるのなら十分だな。自分とタケルに当たるようなことも無いだろう」

「うーん、もっと練習しないと不安だよ。それから今撃てなくなったのって魔力切れなんだね、ちょっとクラクラするよ」

と言って、ポーションを飲む。

「あ、ポーションって美味しいんだね」

え? ポーションって不味いんじゃないのか? マナポーションだからか? アリシアの作ったやつが特別不味かっただけなのか? 俺たちは普段はリボルバーワンドのハイヒールで怪我の治療をしてしまうので、俺もまだ、ポーションのお世話になったことはない。

「うん、もう大丈夫だよ。タケル兄ちゃん 、ポーションありがとう」

「ポーション飲んだから大丈夫だとは思うけど少し休んでな。今日はこの辺で切り上げよう」

ケーナに声をかけ、AMRを片付けようとした時に、俺の視界の隅に何か動くものが写った。そちらを見ながら目を凝らしたがよく見えないので、みえーるくん2号を取り出し覗いてみる。

「あー、ケーナ君。さっそく実戦のチャンスだ、もう1発だけ撃ってくれ」

「じっせんのちゃんす? え? 実戦!」

「何が見えたのだ?」

「冒険者がビックボアから絶賛逃亡中だ。あいつから逃げ出すってことは新人か?」

「大変だ助けなきゃ」

ケーナが言う。ガーネットを見ると、大きく頷いた。頷き返し。

「俺とツァイがヤツの前に出て注意を引く。ガーネットとライは彼らを誘導して、AMRの射線から逃がしてくれ、当てるわけにはいかないからな。ケーナはここからAMRで狙撃だ。なーに、バッチリ誘導してやるからさっきの調子で頼むぜ、マナポーション飲んだばっかりで悪いが、あと1発だけ頼む。アインとフィーアはケーナの護衛だ、絶対に魔物を近付けるな」

「「「はい!(ハイ!)」」」

俺の指示にみんなの返事が帰ってきた。

「ツァイ、ライ騎乗モードだ」

「はい、主様」

「ライ、乗せてくれるかい?」

「勿論だ」

最近ガーネットは、ライに騎乗する訓練もしているらしい。

「タケル兄ちゃん、あたしにできるかな?」

「できるさ、俺だって昨日ブラッドグリズリーを仕留めてる。俺よりケーナの方が筋が良さそうだぞ。アイン、フィーア、ケーナを頼むぞ」

そう言うと。

「あいんニオ任セダヨ」

「はい店長、頑張ります」

それを聞いて、俺はガーネットと走り出した。ガーネットが。

「タケル! 自分達が間に合えば、無理にケーナにやらせることはないのではないか?」

「危ない状態なら俺がやるさ、ケーナに重荷を背負わせるつもりは無いからな。あくまでも、あの冒険者を助けられて、俺にビックボアの注意が向いたらって話さ、もちろんそうなるように仕向けるがな」

ガーネットは騎乗はまだ慣れていないようだな。正面を見据えてライを操っている。そんなガーネットは、

着替える余裕もなく飛び出したものだから、ビキニアーマーのままだ。キチンと調整してあるからポロリは期待出来ないが、それでも胸がけしからん程に大きく揺れている。揺れまくっている。向こうのファンタジー系の物語を書いている奴は何を考えているんだ? おおよそ実用的な装備とは言えないだろうに。まあ、俺が作ったディフェンダーバージョンタケル試作2号は、ちゃんとした理由があってああなっている訳だから有りだよな? うん! 有りだ! 実に素晴らしい装備と言えるだろう。などと考えているうちに冒険者達が見えてきた。

「ガーネット! インカムを使え!」

自分でもインカムのスイッチを入れながら指示を出す。

「どうやら、彼らは無事らしい。俺が割り込んで、ビックボアを釣るから誘導よろしく!」

「了解だ」

俺は正面から冒険者達に近づき、一応声をかける。

「応援にきたぞ、助太刀がいるか!?」

「頼む!」

息も絶え絶えだが、返事が帰ってきた。リボルバーワンドに目くらまし用のカートリッジを装填しながら。

「ヤツに目眩ましを仕掛ける。振り向くんじゃねえぞ!」

最後の1人とすれ違い、ビックボアの顔の前で目晦ましを発動させる。目を晦ましているヤツの横を走り抜ける。ヤツは走るのを止め、頭を振って回復させようとしている。俺は、ツァイを旋回させヤツの正面に回り込みながら。

「向こうの仲間が誘導する方に全力で走れ!」

ガーネットも。

「こっちだ! もう少しだ! 走りぬけろ!」

手を振りながら、誘導する。けが人もいるようだが、なんとか全員無事だったようだ。とりあえず生きてるって意味でだが、なんとか間に合ったようだ。ケガをした仲間に手を貸しながら走っている。良い奴らじゃないか。俺とツァイは魔物の正面に回り込み、ヤツが回復するのを待つ。少し待つとヤツは回復し周りを見回して冒険者達が走って行く後ろ姿を見つけたようだが、その時俺は棒手裏剣を1本投げつけ。

「おい! お前の相手は俺だ!」

と叫んだ。ビックボアが怒りのこもった目をして俺に向かって駆けだした。それを確認し。

「ツァイ逃げるぞ、ちゃんとついて来れるように逃げろよ」

「はい、主様」

引き離さないように注意しながら、ケーナのいる方に向かって誘導していく。さて、俺の後ろをついて来るビックボアを俺の正面にいるケーナに狙撃させる為にはどうしたらいいんだろうか? 全く考えて無かったなー、どうしたもんか。ケーナの正面を斜めに走って狙わせる? 見越し射撃って事だな。

「今日初めて銃を撃った人間にそんな事出来っこないよな、無理だな」

ツァイがちょうど良い距離を取りながら走って、俺を狙って撃たせれば、ちょうどヤツに当たる。見越し射撃の応用だ。......当たるかも知れないけど。ケーナに俺達を狙えってのは、ちょっとハードルが高いよなー。

「やっぱり正面から狙わせるしかないか?」

このまま真っ直ぐ走って、ケーナの射撃に合わせて俺達だけ身をかわせば? 俺達が身をかわせば、あいつも追いかけるよな。それじゃ当たらない。あいつだけ正面を向いたまま俺達が逃げる事が出来ればいいんだが。

「まあ、失敗しても最終的に俺が始末すればいいんだし、......やってみるか」

適当は距離に近付いたところで、ケーナに連絡を取る。

「ケーナ、聞えるか?」

「うん、聞えてるし、タケル兄ちゃんの事も見えるよ」

「よし、そろそろ、さっき的当てしてた距離になる。今は俺達がヤツの目の前にいる。合図したら避けるからな、あいつが少しだけ真っ直ぐ走るような避け方をするからな、そこを狙い撃て。なーに、ガーネットの誘導で例の冒険者たちは射線からずれてるはずだし、俺ならこいつの首を刈る事なんか簡単なんだ。失敗とか気にせず気軽にやれ」

「こちらも冒険者は射線から外れたぞ、ケーナ思いっきりやってしまえ」

「うん!」

「じゃあツァイ、俺が3数えたら飛び上がれ、ビックボアの背中を蹴り斜め後方に向けて飛び降りろ、そのまま走って逃げ出せ。俺達が急に逃げれば方向転換するために一度停止するか、速度を緩めるはずだ。ケーナはそこを狙え。行くぞ! 1......2.......3!」

ツァイがやや後ろ気味に上に飛び上がった、さらにビックボアの背中を蹴りつつ方向転換をする。着地しそのまま走り出す。俺が後ろを振り返ると、急に速度を落としたヤツは、足の力が抜けたように崩れ落ちながら、前に向かって倒れた。その後すぐ。

「ズガーーン」

銃声が聞こえた。ツァイの速度を落とし旋回しながら。

「ケーナ、ナイス!」

「ケーナやったのか? 凄いじゃないか」

「へへへ、本当? 倒れたのは見えたけど、討伐できたんだね?」

「ああ、見事なもんだ」

ビックボアの額には大きな穴が空いている。ケーナに向けてツァイを走らせながら。

「ケーナ、今から迎えに行くぞ、こいつを馬車に積んじまおう」

「こちらも、合流する。冒険者達が礼を言いたいそうだ」

ケーナの所に行き、荷物を積み込みケーナを乗せてビックボアのところまで戻る。

「これをあたしが? 凄いねあのAMR? F-ランクのあたしが、ビックボア倒せちゃった」

「まあ、AMRは誰でも使える武器だけど、いつ誰がやっても同じ結果が出せるとは限らない。今日のケーナは上手に出来たってことさ。アインもフィーアもご苦労さん」

「へへへ」

「軽イモンダヨ、ハハハ」

「あたしとお姉ちゃんは、ケーナちゃんを眺めてただけですけどね」

嬉しそうに笑うケーナの頭をグリグリ撫でているところに、ガーネット達がやって来た。

「ケーナ大したものじゃないか」

「あ、ガーネット姉ちゃんご苦労様、タケル兄ちゃんに言われたとおりにやっただけなんだよ」

冒険者の1人が。

「あんたたちのおかげで助かったよ、ありがとう」

と頭を下げた。続いて残りのみんなも。

「「「「「ありがとうございました!」」」」」

と頭を下げた。

「いや、たまたま助けられる状況だっただけだ。けが人がいるな。回復するからちょっと待っててくれ」

俺がリボルバーワンドを抜きカートリッジをハイヒールに合わせると。

「タケル兄ちゃん、あたしもやるよ」

「マナポーションを飲んだって言っても、一度は魔力切れをおこしたんだ休んでな、俺がやるから」

自分のリボルバーワンドを抜こうとするケーナを止めながら、冒険者達にハイヒールをかける。冒険者の1人が。

「ビックボアを仕留めたあんたが、回復魔法も使えるのか、本当に凄いな。あっ、俺はトーラス、パーティ光りの剣のリーダーをしている」

「俺はタケル、ファミーユってパーティのリーダーをしてる。ただし、ビックボアを倒したのこっちのケーナだ」

「え? こんな子供が? しかも回復魔法まで使えるんだろ? 多才なんだな」

と言いながら、ケーナを見る。ケーナは自分の姿に改めて気が付いたようで、顔を赤くしながら。

「ちょ、ちょっと上に着てくるね!」

と言って小走りに馬車に向かった。それを見たガーネットは。何でも無い風を装いつつも頬を赤らめ。

「自分も何か羽織ってくる。少し冷えるな」

平然と歩いているように見せたいようだが、少し震えていないか? 大変可愛い反応だな。などと考えていると。トーラスが。

「タケルのパーティって3人なのか?」

「ああそうだ」

すると、急に小声になって。

「あれほど美人でスタイルも良い女の人にあんな格好をさせるなんて、あの人はタケルの彼女なのか? 羨ましすぎるぞ!」

すると、他のメンバーも大きく何度も頷き、同意をしめす。中の1人は更に。

「確かに、お前らの言いたい事もわからなくもない。しかし、何と言ってもケーナちゃんだ! あんな美少女にあんな格好をさせるとは、許せん! タケルとの関係は? まさか! まさか! 彼女じゃあないんだろうな?」

「ああ、ガーネットは彼女じゃないよ、それにケーナは妹だ。しかしな、あんな格好とは言うがな、あの服の防御力はフルプレートメールなんか相手にならないんだぞ。ちゃんとした理由があってのデザインなんだ! と、力説させてもらおう!」

「服のことなんか、どうでもいい。タケル、お兄さんと呼ばせてくれ!」

「ふざけるな、ケーナと付き合いたければ、俺を倒す事だな。おい、剣に手を掛けるな」

「タケル、どうすればあんな女性とパーティが組めるんだ? 羨ましすぎるぞ」

「んー、やっぱり人徳? だから、剣から手を離せ」

トーラスはあらためて。

「それにしても、あの格好はけしからんな。タケルにだけ見せているとか許されんだろう」

「あれは、あくまでも試作品だからな。しかたなく着てくれてるってところだな。まあ、今だけってことだな」

「尚更羨ましすぎる」

「何をコソコソと話しているのだ?」

ガーネットが戻って来た。

「ん? ああ、俺と同じくらいの年の冒険者なんて知り合いにいなかったからな。親睦を深めていたところだ」

「そうそう、ひそひそと話す事でより一層仲間意識が深まるんですよ」

「そう言うものか?」

「何だか、秘密を共有しているような気分になるだろ? そう言うことさ」

ガーネットに続いてケーナも戻ってきたので、ビックボアの扱いについて話し合うことにする。光の剣はFランクの冒険者パーティだそうで、ビックボアの討伐依頼を受けた訳ではなく、薬草採取の依頼を受けて森まで来ていたそうだ。冬を迎えようとしているこの時期は、薬草が見つかる場所も森の中に入る事が必要なために結構な稼ぎになるそうで、ランクの低いパーティには良いクエストだそうだ。

「森に深く入っちまったおかげで、ビックボアに追い回される事になったって訳さ。薬草採取も結構こなした後だったからな、ちょいと少な目だが、そこそこの稼ぎにはなった。何と言っても、全員生き残れたからな 」

トーラスが言う。

「こいつはどうなるんだ?」

俺が聞くと。光の剣のメンバーで、さっきケーナを美少女と言っていた男が。

「ケーナたんが仕留め魔物だ、ファミーユの物、いや、ケーナたんの物に決まってるじゃないか!」

「ボイスの言い方はちょっとアレだが、ファミーユの物に決まってるじゃないか。助けてもらっておいて、さらに分け前まで主張するほど腐っちゃいないぞ」

聞くところによると、こんな時に邪魔をされたと言って自分達の物だと言い出す奴らも少なからずいるそうだ。トーラス達は、冒険者になってそれ程たっていないので、収入も少なく楽に暮らしているわけではないそうだが、それはそれ、これはこれだそうだ。


ビックボアは血抜きだけして解体せずに馬車に積み込み街に戻ることにした。また襲われても大変だし、ダ―ロットに解体用の高周波ブレード包丁の使い心地も聞いてみたいしな。トーラス達とは冒険者ギルドで別れた。

「こんちわー! ダ―ロットさん。ビックボアの解体よろしく―」

「おう、タケルじゃないか。久しぶりだな。何だビックボアの解体か?もっと硬いやつを持って来いよ」

「あの、解体用の包丁は使えてるみたいだな」

「おう、凄え切れ味だ。今度はちゃんと買うからよ。あと2セット欲しいんだ。それから、刃渡り70cmのも追加してくれ」

刃渡り70cmだって? そいつはもう包丁じゃねえんじゃ? まあいいか。客の注文には応えねえとな。

「わかった、1週間くらい時間をくれ」

「そんなに早く出来るのか? まあ、よろしく頼む。ああ、そうそう幾らだ?」

「あっ、そうだな、150000イェンってところだな」

「ありゃオリハルコン製だろ、そんなに安くていいのか? 一応予算は200000イェンくらいを考えてたんだが」

「そんなに出すつもりだったのか?」

「何を言うんだ、職人の道具ってのは高くて当たり前なんだ。それでも、タケルに無理させちまうかと思ってたくらいなんだがな」

「全く、無理なんかしてないぞ。じゃあ、そう言うことで」

「ああ、頼んだぜ」


「タケル兄ちゃん、凄いね。150000イェンだってさ」

「まあな、でも本業は冒険者だけどな。そうだ、俺たちの武器もオリハルコンにするか?」

「タケルは、オリハルコンになどと簡単に言うがな、剣を使う者にとってオリハルコン製の剣は憧れの武器なんだぞ。普通はそう簡単に手に入るものじゃ無いんだ」

「そうか? じゃあガーネットはいらないのか?」

すると、慌てて。

「いらないとは言ってない! 言ってないぞ!」

「じゃあ、決定ってことで、鋼の剣より重くはなるけど、防具が必要無くなるんだ、問題無いよな 」

「防具はこのままなのか? 人前で使うには恥ずかしいのだが」

「うん、そうだよね、恥かしいよね」

「そんなこと言ったって、2人とも似合ってるじゃないか。少なくとも、ヴァイオラには同じようなのを作るつもりだ」

「アシャのは違うという事か? 特別扱いだな?」

「そうじゃないだろ。アシャさんは後衛なんだから、特別動き易い必要は無いだろ? ヒーラーや魔術師は、

普通はローブを着るもんなんだから、合わせておいた方が分かり易くて良いじゃないか。でも、前衛は機能性重視の方がいいだろ?」

「ふーん、まあいいか。ところで、カーシャの分も作るのか? タケルはあれ程可愛がられているのだ欲しがるんじゃないか」

カーシャかー、大柄だけど、スタイルは抜群だし美人だし。うん、作ろう!

「うーん、どうだろう? 着てくれるかね? まあ、テスターが多い分には助かるけどな」

と、気の無い返事をしてみる。

「作ルツモリニチガイナイネ、マスターハ見境ガナイカラネ」

「なんてこと言うんだ。見境はあるぞ、ただ、守備範囲が広いだけだ、みんなタイプの違う美人なんだ仕方が無いじゃないか!」

「「「「ふーん」」」」

みんなの視線が痛い。



あれから何日かして作業場の解体作業が終わり工房と鍛治部屋は使えるようになった。建て替え作業に入っているので、店は開けていない。俺達の新しい剣とダ―ロットの注文をこなした俺は、次に防具の作成に集中することにした。2人には狩に行っている。

「ヴァイオラは、普通のビキニアーマーでいいよな、ガーネット程大きいわけじゃないしな。試作2号をベースにしてー。うん、ボトムはハイレグにしてやろう、2号はローライズだからな。使い心地のテストと言うことでデザインを変えよう。カーシャは着てくれるとは限らねえけど一応作っとこう」

カーシャのお尻を思い出し。

「かなり鍛えてるんだろうな、全く垂れてなかったもんな。綺麗な形をしてたな、ハイレグでTバックがいいな。トップスはガーネットと同じベアトップにしようかな、こっちもあまり下まで伸ばさなくてもいいよな。胸を支えれれる最低限の長さにしよう。かなり大きいからな、色はー、やっぱり黒かな?」

あの時の光景が目に焼き付いている。うん! 黒しかないな。

「ま、着てくれるかどうかはわかんねえけどな。さて、問題はアシャさんだよな。シルエットはローブっぽい方が良いかな―? うん! 決めた」

さっそく作り始めた。みんなの防具を作りながらアインにテストを頼む。

「アイン、俺のディフェンダーのテストを頼む。お前の剣で全力で切りつけるんだ。高周波ブレードを使って思いっきりやっちゃってくれ。5秒間隔で魔力供給用の魔結晶の魔力が空になるまでやってくれ」

「ハイ、ますたー」

台座に革鎧を据え付けてアインに頼む。俺はヴァイオラ用の試作4号から作り始めるかな。

「色は紺で良いな。ヴァイオラ、自分の分もこれで良いと言ったのはお前だからな。後から言った冗談発言を俺は聞き逃したというわけだ。ふふふふふ」

記述式は全部同じなんだから、魔結晶はサクサクっと終わる。続けて3人分のマネキンも作っちゃおうかな。その時アインが。

「ますたー、終ワッタヨ」

「おー、ご苦労さん。で? 何回斬りつけたんだ?」

「ウン、17回ダッタヨ」

「じゃあ、次は高周波ブレードは発動しないで全力でやってくれ」

俺は、魔力供給用の魔結晶を取り替えながら言った。

「ハイますたー」

「さて、やっぱり思った通りだなー」

それはそうだよな、完璧な防御が永遠に続くなんて事は無いわな。後は、アインの結果待ちかな?


アインには高周波ブレード無し、さらに3分2程度の力で試してもらった。それぞれ26回と51回だったちなみに3分の1では魔力切れはおきなかった。やっぱりそうか、俺は魔結晶を取り替えると。オリハルコン製の新しい刀を構えた。こいつには高周波ブレードと峰打ち機能が付いている。形は刀だが、オリハルコン製の鍛造剣だ日本刀の作り方はしていないから、正確には刀じゃないけどな。高周波ブレードを起動させると、上段に構え。

「ヤッ!」

斬りつけた。更に何度も斬りつけ書結晶を確認すると14回で魔力が空になった。

「アレ? ますたーノ方ガ回数ガ少ナイネ」

「まあね。アインの方が力は断然上だが、それだけが剣の威力では無いってことさ」

「店長なんだか嬉しそうですね。ドヤ顔してますよ」

うっ、ばれてる。

「ますたー、大人気ナイゾ」

「うるせ! 男はないつまでも少年の心を持ち続けるものさ」

「店長、カッコ悪いですよ」

フィーアは辛辣だ。

「まあ、それはともかく。障壁を展開するだけじゃ無く、打撃を受けると受けるダメージの大きさによって魔力の消費が増減するって事だ」

ただし、3分の2の力でやった時には倍近くもったと言う事は、ダメージを受けながらも自然回復するって事だよな。アインの3分の2の力だから普通の人間以上のダメージは与えているだろう。しかし、回復量以上のダメージを無防備に受け続ければ、いずれ障壁が消える事は間違いない。

「2個の魔結晶の魔力だからもっともつだろうが、どんなもんだろう? その辺はみんなに相談かな」

「ふぃーあ、ますたーガ誤魔化シタヨ」

「でも、誤魔化しきれていないですね」

「あーあーー、聞こえなーい」

「ヤレヤレ」



「さて、みんなに集まってもらったのは他でも無い、ディフェンダーバージョンタケルの試作品が完成、いい加減名前考えないと長すぎるな」

ケーナが。

「いつもの調子で、まもーるくんで良いじゃないの?」

「それだな!」

「で? バージョンタケルでもまもーるくんでも良いんだけどさ、そいつはなんだい?」

俺が、カーシャの方を見ると。ガーネットが。

「さっきギルドで出くわしてな、アシャとヴァイオラと話していたら出くわしたのだ。面白そうだからと言って付いてきてしまった」

「あー、なるほどね」

「お邪魔だったかね?」

「いやいや、カーシャにも声をかけようかとは思っていたんだ、ちょうど良かった」

「ちょうど良かった? そうなんですか?」

アシャさんの声がいつもより低い、俺を見る目つきがきついような気がするのはなぜだ? ......まあ、考えてもわからねえから先に進めるか。

「では、こいつを装備してみてくれ」

皆に袋を手渡した。カーシャが。

「おや、あたしの分も有るのかい?」

「まあね、テスターは多い方が良いかと思ったからな。みんなに協力して欲しい」

みんなが、袋を持って店から工房に入って行った。

「でも、1人しか増えないって事は、タケルの交友関係って狭いね」

工房に入る前に、ヴァイオラが失礼な事を言った。

「悪かったな、そもそもこの街に来てまだそんなに経ってないし。女性の冒険者なんて数があんまり多く無いんだから交友関係が狭いのはしょうがないだろ」

でもみんな美人ばっかりだぜ。まあ、ビキニアーマーだからな、似合う女の人は多く無い。


しばらく待つと。みんなが店に入って来た。

「うんうん、みんな似合ってるじゃないか。素晴らしい!」

ケーナの白スク水アーマーはこの前からの変更は無い。

「タケル兄ちゃん。これ前と同じじゃないか」

ガーネットのビキニアーマーはホルターネックのベアトップにローライズ。

「胸のホールド感は随分良くなっているが、基本的なデザインは変わっていないんだな」

ヴァイオラのビキニアーマーは最初にガーネット用に作った物と同じホルターネックのビキニのトップにハイレグのアンダー、ガントレットにグリーブのデザインも同じ物で、色は青でアクセントに銀色を使っている。

「普通に着れるデザインにしてって言ったよね?」

「本当は着てみたいって言ってたじゃないか」

「それは冗談だって言ったよね」

「そうだったか?」

カーシャのビキニアーマーはトップスがガーネットと同じ、アンダーはハイレグTバックで、色は黒アクセントに金色を使った。

「あたしの分が有るのは嬉しいけど、これはちょっと? お尻が丸だしじゃないか」

「カーシャのお尻って全然垂れたりしてないし、綺麗なんだから良いじゃないか」

「ところで、サイズがピッタリなんだけど? タケルに測ってもらった覚えが無いんだけどね?」

「ふっ、一度さわっているし、あれだけ見せつけられたんだぞ、覚えてるよ」

アシャさんが俺をにらみ付けながら。

「一度さわった? 見せつけられた? タケルさんどう言う事かしら。説明してくれますよね?」

そう言う、アシャさんのまもーるくんは。長袖、ホルターネックでハイレグのレオタードタイプ。鳩尾の当たりに魔結晶を付けた、ハーフカップの丈の短いミスリル製のコルセットを外側に付け、腰には両側に魔結晶が付いたミスリル製の幅広のベルトにロングスカート、ベルトに届く深いスリットが入っている。ガントレットは無く手袋だ、足にはグリーブではなく、ロングブーツにオーバーニーソックス、色は白一色だ。俺は力無く笑い。

「ははは、でも、そのスカートに物理障壁をまとわせるのって大変だったんだぜ。いやー、苦労したよ」

本当に大変だった。ひらひらするスカート用の記述式わざわざ作ったんだからな。

「誤魔化されませんよ」

「デスヨネー」


アシャさんに必死で説明した。カーシャも口添えしてくれた。アシャさんがため息をつきながら。

「はあ、わかりました。もう良いです。それもタケルさんなんですから仕方ないです」

「すみません」

アシャさんに謝ってから。

「ところで、その、まもーるくんだけど。ある程度の強さの攻撃を受け続けると魔力切れをおこす事がわかっている。それでも、テスターしてくれるかな?」

「ある程度とは? 1回や2回の攻撃くらいで魔力切れをおこす訳でも無いんだろ?」

「俺の全力や、アインの全力で20回はもつ。もっと弱い攻撃なら更にもつ。ただし、攻撃が弱かったり、攻撃の間隔が開いていると魔力は回復する事も確認済みだ」

「だったら、よっぽど特殊な状況でないと。例えば魔物に取り囲まれて攻撃を受け続けるなんて事にでもならなきゃいいんだろ? だったら平気なんじゃないかね?」

「うん、カーシャさんの言うとおりだね」

ケーナが言うと。ガーネットが。

「では、デザイン以外の問題はないと言うことだな」

「何てこと言うんだ。デザインだって問題無いじゃないか!」

カーシャが。

「まあ、上に服を着てしまえば良いんだろ?」

ケーナが。

「タケル兄ちゃんが、上に服を着てると大変な事になるって言ってたよ」

みんなの視線が俺に集まる。まるで疑うような目つきだ。

「あー、疑ってるな? 本当だぞ。本当に大変な事になるんだぞ」

「「「「ふーん、大変ねー」」」」

「まもーるくんの防御力は強力だが、上に着ている服は守れない。だから、斬られれば破れる。近くで爆発でも起これば、ボロボロになる。そんな物が纏わりつけば、動きが阻害される。そうなったら困るだろ」

そうなると、そのままよりもエロいビジュアルになっちまうと思うぞ。とは言わない。カーシャが。

「だったら、鎧や厚手の服を着れば良いんじゃないか?」

「それじゃ動きにくくなっちまう。機能性が台無しじゃないか? そう思わないかカーシャ?」

「確かにそうだね。でも、アシャのヤツはあたし達のより大分ましだね? アシャは特別なのかい?」

「アシャさんのは試作5号だ、構想に時間がかかったんだよ。みんなの使用感を聞いて改良した後の完成品には採用出来るはずだ」

カーシャが続けて。

「なるほど、ちょっと無理が有るような気もするけど。まあいい、あたしは協力しようかね、タケルの頼みだし、せっかく作ってくれたんだものね」

みんなも納得してくれた。ただし、完成品が出来たら無料で提供する事になった。くそー、ビキニアーマーの寿命は短い事になりそうだ。



それからしばらくして作業場が完成した、納品された鋼のインゴットでクレーンを作り、ゴーレムギルドからゴーレムを借り受け設置した。そのすぐ後に、アダマンタイトが届いた。まだまだ準備しなくてはならない設備や材料も多いし、設計だって必要になる。しかし、これでロボを作る準備が大分整ってきたと言う事だ。そんな、冬も深まってきたある日のこと。ケーナが店に飛び込んできた。

「タケル兄ちゃん、この子飼ってもいい?」

ケーナが小さな生き物を抱きしめている。俺は初めて見る生き物だ。あえて似ている生き物と言えば、レッサーパンダ? でも、こいつは全身白い毛に覆われている。ガーネットは。

「ケーナ、そいつは何だ? 見た事も無い生き物だな」

え? 俺はともかくガーネットも見たことないのか?

「どこから拾ってきたんだ? 可愛いとは思うが、俺達は冒険者だぞ、クエストによっては、家を長く開ける事もあるかもしれない。そうなったら誰が世話をするんだ?」

「だって、この子ケガしてたんだ! お腹減らしてたんだ! ハイヒールをかけて、ご飯をあげたら嬉しそうに鳴いたんだよ! 帰ろうとしたらケージの中で悲しそうに鳴いたんだ!」

「ケージに入ってたのか? だったらそれは誰かが飼っているんじゃないか?」

「ガーネットの言うとおりだ。ケガをしてたかも知れないが、薬を取りに行ってるだけかも知れない」

「あっ!」

「今頃心配して探し回ってるかも知れないぞ。戻してこい」

「......うん。わかった」

心配そうな表情で頷くケーナに向かって。

「心配なら、毎日様子を見に行ったらいい。腹をすかせているようなら飯を持って行ってやれば良いんじゃないか。もしも、飼い主になにか事情があって世話ができなくなっているようなら、その時また考えれば良いだろ? とりあえず今日の所は戻してこい」

少しだけ明るい表情になったケーナが。

「うん!」

と言って店から出て行った。

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