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現在、ゴーレムホース作成中

翌朝の修練を終えたところで、ケーナに相談してみることにする。

「今日は、アインを連れて討伐に行きたいんだけど、いいかな?」

ケーナは少し考えてから。

「うん、おれ1人でクエスト受けるから平気だよ。そろそろ、要領が分かってきたから、いつまでもアインに頼ってばっかりじゃダメだからな。1人でもやれるようなのを受けるよ」

「何だったら、ケーナも一緒に来るか? そんなに難しいことをやる訳じゃないんだ」

「行きたいけど、タケル兄ちゃんの足手まといになるのは嫌だよ、実力が付いてから一緒に連れて行ってよ」

俺が思っている以上にケーナはしっかりした子だ。

「分かった、じゃあアインは連れて行くよ。さあ、飯にしよう」

「うん! おれもう腹ぺこだよ」


俺達が食堂に入ると、シルビアさんが迎えてくれた。

「「シルビアさん、おはようございます」」

俺達2人の声がそろう。

「タケルさん、ケーナちゃんおはようございます。すぐに朝ご飯用意しますね」

「「お願いします」」

俺達が席に座るとすぐに食事が出てきた。ただ、いつものメニューよりスクランブルエッグが1品多く出された。

「いただきます」

「いただきます。今朝は1品多いや! これはなんて言う料理なんだい?」

ケーナが嬉しそうに問いかけると。シルビアさんが。

「オムレツよー、いつも元気なケーナちゃん達にサービス」

え? オムレツ? スクランブルエッグじゃないのか? 

「ありがとーシルビアさん」

さっそくオムレツを食べ始めるケーナ。一口食べると。

「甘くて美味しい。オムレツ美味しいよ」

俺も一口食べる。

「ぐっ、しょっぱい......」

卵の味すら分からないほど、口の中が塩っ辛い。あわてて水を飲む。ケーナを見るともう半分ほど食べ切っていて。今度は。

「しょっ、しょっぱい」

と言ったと思うと、コップの水をごくごくと飲みだした。

「食べる場所で味が違うのかな?」

俺は、最初とは反対の端を食べてみた。

「うん、卵の味だ」

うーん? どういうことだろう。今度は真ん中をつついて食べてみる。ここは甘さと塩辛さが同居している上に卵の殻も入っていた。朝食はシルビアさんが作っているはずで、今までこんなことはなかった。少し考えて俺は気が付いた。この宿は、昼食からは調理のおばさんが来るが朝はシルビアさん達しかいないはずなのだ。シルビアさんの料理はいつ食べても美味しいものだ。すると、この料理を作ったのはシルビアさん以外の人だということになる。それに気が付いた俺は「オムレツ?」を完食する事に専念した。途中でコップの水を何度か飲んだことは許して欲しい。

「ふう、オムレツ美味しかったです」

ケーナは、他の料理を食べながらおそるおそるオムレツを口に運んでいる、ケーナもこのオムレツを作った人がだれか気が付いたらしい。なんとかすべて食べきった。

「シルビアさん、アリアちゃんに美味しいオムレツをありがとうって伝えてください」

「ふふふ、やっぱり分かります? 昨夜アリアがタケルさん達の朝ご飯を作りたいって言い出して、オムレツを1品追加させてもらったんです。あの子が初めて作った料理です。家事全般何でも器用にこなすんですけど、料理だけは全然で」

「うん、オムレツって初めて食べたけど変わった味の食べ物だね。甘いところが好きだなー、おれ」

「ふふふ、今度は、わたしの作ったオムレツも食べてみてねケーナちゃん」

ふと厨房の方を見ると、アリアちゃんが心配そうな顔で、こちらを伺っている。俺はアリアちゃんに小さく頷くと笑いかける。アリアちゃんの顔が嬉しそうにほころんで、厨房の中に消えた。味はともかく俺達のために作ってくれたことが嬉しいよね。

「今度はちゃんと教えてから作らせますから、また、食べてくださいね」

なにも教えずに作らせたのか。チャレンジャーだなシルビアさん。



さて、俺達は冒険者ギルドに来ている。ケーナはFクラスのクエストを探している。俺はと言うと。

「アネモネさん、おはようございます」

「おはようございます、タケルさん。今日はどのクエストを受けるんですか?」

「掲示板見ても分からないので、アドバイスが欲しいんだけど。馬の魔物の討伐か素材採取のクエストないかな? クラスは特にこだわらないんだけど」

「馬の魔物ですか。そうですね、たしかEクラスのクエストにバイコーンの角の採取があったんじゃないかしら?」

「バイコーンですか?」

「2本角の馬のような魔物ですよ。角が薬になるんです。グルガダンの森の比較的浅い場所で見付けることが出来るようです。角と皮を素材として買い取り出来ます」

「魔の森かー。まだ、行ったことないんですよね。浅い場所なら平気かな。ちょっと見てきます」

「はい」

俺は、アネモネさんに言われて掲示板を見に行った。

「あった、これか。バイコーンの角1本から10本までかEクラスの魔物なら行けるか」

依頼用紙を剥がしてアネモネさんのところに持っていった。



ケーナと分かれてアインと一緒に魔の森に向かう。

「俺がバイコーンの解体をするときに、周辺を見張って欲しいんだ。筋肉の付き方とか、骨格の構造とか調べたりしたいんだよ。そっちに集中したいからさ、周り見てられないと思うんだよね」

『リョウカイ』

「2人で討伐に行くのは久しぶりだな。よろしく頼むぞ」

『オマカセダヨ』

「ところで、ケーナ大丈夫だよな? 今日は庭の草むしりの依頼を受けてたみたいだけど」

『ダイジョウブダヨ。チイサイカラチカラシゴトハムズカシイケドネ』

「本当は、今日連れてきちまおうかと思ったんだけどな。アインがいなくて平気かな」

『マスター、カホゴ』

「....自覚は有る」

2人で話しながら歩いていると魔の森が見えてきた。広大な森で深部に入って戻ってきた者はいないそうだ。下手な国より大きな森で、それほど深くに入らない場合でもそれなりの準備が必要だ。でも、今日は浅い部分を探すつもりなので、装備はいつもと変わらない。初心者冒険者セットとリュックに昼飯を持ってきただけだ。水は魔法で出せるからかさばらなくていい。


森に入って30分程になるが、バイコーンは見つからない。代わりにホーンベアを見つけた。こいつはブラッドグリズリーと違って、頭に1本の角が生えている体長2mくらいの熊だ。立ち上がってこちらを威嚇しようとしたところにアインの右のパンチを腹にくらい体を屈めたところに左のアッパーで体を後ろに1回転させて落ちたところに、俺があごから頭に向けて刀を突き刺した。こいつはDクラスの魔物で毛皮と、角が素材として引き取ってもらえる。

「バイコーンを観察することしか考えていなかったからなー、あまり素材が採れても持ち帰れないな。やっぱり馬車欲しいよな」

『モリノナカジャバシャツカエナイヨ』

「ゴーレムホースを馬車から外して荷物を積むだけでもちがうだろ」

ホーンベアの剥ぎ取りを終えた俺達は、バイコーンを探して再び歩き出した。

そして、しばらく森の中を歩いていると、2頭のバイコーンを見つけた。確かにあれは馬だな。ただし、体はサラブレッドよりはるかに大きく額の部分から真っ直ぐな角を2本生やしている。

「アイン、バイコーンだ、やるぞ。おまえは右な」

俺は小声でアインに話しかける。

『オーケー』

俺達は風下に回り込んでからバイコーンに向かって走り出した。俺達に気が付いたバイコーンはこちらに向かって突進してきた。かなりの速度で走ってくる。アインはそのまま突っ込んでいくが、俺は立ち止まり迎え撃つことにする。太刀を抜くと上段に構える。バイコーンは頭を下げ角を真っ直ぐに俺に向けて突っ込んでくる。

「やっ!」

バイコーンの頭に向かって太刀を振り下ろすと、頭を真っ二つにし、そして体をずらす。角に体を引っ掛けることもなくバイコーンは俺の横を通り過ぎていきバッタリと倒れた。アインの様子をうかがうと。暴れるバイコーンを地面に引き倒し首を絞めている。さらに力を込めたようで、頭が変な方向を向いてバイコーンは動きを止めた。

「おつかれアイン。しかしどうやって引き倒したんだ?」

『スレチガウトキニトビツイタ』

「なるほど、そうしたらバランスを崩して倒れたわけだ」

『ウン』

「すげえな....。では、とりあえず解体しますかね。アイン周囲の監視よろしく」

『マカセルトイイヨ』

俺は、アインが倒した方のバイコーンに近づくと太刀を鞘に納め、腰のナイフを抜いた。角を外し、皮を剥いでいく。ここが素材として売れる部分なので丁寧に処理する。それが終わると、筋肉の付き方を観察していく。知力のステータスを上げたことが利いているんだろうな。筋肉の付き方がすぐに理解できるし、記憶する事も簡単な作業だ。それから肉を剥がしていく。バイコーンの肉は肉屋に売ることが出来るらしいのだが。とにかく大きいので持ち帰れるのはそれほどの量じゃない。

「シルビアさんに持って帰って晩飯にしてもらうかな。こっちのは血抜き出来てないから向こうのやつにしよう」

肉や内臓を取り、骨と心臓付近の肉だけになったバイコーンを再び観察していく。まずは、関節の付き方や、曲がり方を筋肉の付いていた時を思い出しながらじっくりと観察する。さらに、関節部分にナイフを入ればらした骨一本一本の形を見ていく。一通り見終わると、今度は、俺が倒した方の解体に掛かる。骨を観察したことをふまえてもう一度筋肉の付き方を見ることにする。筋肉を部位毎に剥がしながら丹念に観察していき、骨の状態にしてからもう一度骨を観察する。

「やっぱり、走ってるところを見ただけじゃ分からない部分ってのは多いな。やっぱり解体して良かったってことか。完全再現とは行かないだろうが、馬に近い動きは出来るはずだ」

俺達は、魔核を回収して帰ることにする。



冒険者ギルドに戻り依頼の完了報告をした。ロビーに行くとケーナが1人で待っていた。俺達3人は一緒にシルビアの宿に向かって歩いている。

「ケーナ、お疲れ」

「タケル兄ちゃんもね。討伐はどうだった?」

「ああ、アインのおかげでバッチリだ。ケーナはアインがいなくて平気だったか?」

「もちろんさ! と言いたいところだけど、完了したクエストはいつもより少ないよ、おれ、いつもアインに頼ってるってことだよな」

「それで、良いんじゃねーかアインも家族だ、協力してもらって悪いってことはないさ」

『アインハ、オネエチャンダカラ、タヨッテイイヨ』

「そうだね、アインこれからもよろしくな」

『マカセナサイ』

「ところで、ケーナ。今日はバイコーンの肉があるんだ。持ちきれないから全部は持ってこれなかったけどな。シルビアさんに料理してもらおうぜ」

「バイコーンの肉かー、おれ、食ったことないぞ。どんな味がするんだろうなー。美味しいのかな」

ケーナは涎が出そうな顔をしながら、バイコーンの肉の味を想像しているようだ。

「俺も食ったことないけど、シルビアさん料理上手だからな、きっと美味い料理作ってくれるぞ」

「うん、そうだね! シルビアさんの料理大好きだよ、おれ」

「俺だって大好きだよ」

『マスタータチダケ、ズルイゾ』

「アインには感想を聞かせてやるよ。なあ、ケーナ?」

「ごめんなアイン。おれたちだけ美味しいもの食べて」

『ケーナハイイコダナ、マスターオボエテロヨ』

「あははは、冗談だよ。むくれるなよ」

そんなことを言いながら俺達は宿に戻った。

「「シルビアさん、ただいま」」

俺達が、挨拶すると。シルビアさんも。

「ケーナちゃん、タケルさんお帰りなさい」

と挨拶を返してくれた。俺はシルビアさんに。

「これ、今日狩ったバイコーンの肉なんだけど、少ししか持ってこれなかったんで俺達の夕食にしたいんだけどいいかな?」

シルビアさんは。

「あら、バイコーンの肉ですか。下ごしらえさえちゃんとすれば今日食べても美味しく食べられますよ。少し熟成させても美味しいですけどねー」

「2人前以上は有ると思うから、残りはシルビアさん達にお土産ってことで、良かったら食べてください」

「ありがとうございます。では、遠慮なくいただきますね。ところで、タケルさんたち2人でこれを討伐したんですかー。凶暴な魔物なんでしょ? ケーナちゃん平気だった?」

「おれは行ってないよ。タケル兄ちゃんたちの足手まといになっちゃうからな。でも、いつまでもお手伝いクエストのままじゃいないよ」

「そうね、でも、ケーナちゃんもタケルさんも無理はだめよ」

「もちろんですよ。臆病なんですよ俺は」

「臆病なくらいがちょうどいいんじゃない? タケルさんのことはアリアも心配してるのよ」

「はい、自分を心配してくれる人がいるってことを忘れないようにします」

「ええ、そうしてね」

会話を終えて俺達は一度部屋に戻った。


バイコーンの肉はかなり美味かった。ケーナは今日もハムスターのように頬を膨らませて美味そうに食べていた。



今朝もケーナと一緒に修練をした。今日からは型だけじゃなく打ち込みもさせてみた。少しずつ上達している。

今日は、店の引き渡しの日だ。設備一式付けてくれるってことなので、後で、鍛冶ギルドでインゴット買ってこないとな。ケーナとアインはいつもの通りお手伝いクエストに行った。俺は約束の時間より少し前に店に付いた。ちょうど同じタイミングでモローと職人風の男がやってきた。

「おはようございます、モローさん」

「おはようございます、タケルさん。こちらは、店の設備を整えていただいた親方のダンカンさまです」

俺は、ダンカンさんに挨拶した。

「おはようございます、タケルと言いますよろしくお願いします。お世話になりました。ありがとうございます」

「ダンカンだ、なーに。タケルさんには街を救ってもらった恩があるんだ。うちの奴らも喜んで仕事をしてくれたぜ。それに、この職人街に店を出すんだこれからは、仲間ってことで敬語は無しにしようぜ」

「この街には守りたい人たちがるからな。それに、みんなに感謝されて嬉しかったんだ。それから、俺のことはタケルと呼び捨ててくれ。そっちの方が慣れてるんだ」

「わかった、タケルこれからよろしく頼むぜ」

「ああ、鍛冶もやるから職人の道具なんかも作るつもりだ。試しに作らせてくれるとありがたいな。腕を確かめてくれ」

「おう、店を始めたら寄らせてもらおう」

ダンカンに店を案内してもらい設備の説明を受け、モローから鍵と権利書を受け取ってこの店が正式に俺の物になった。モローにザナッシュへの礼を言付けると。モローからは、落ち着いたらザナッシュに太刀を一振り作るようにとの注文をもらった。2人が帰った後に、俺は鍛冶ギルドに行き、店を出すつもりであることを告げ、オリハルコンとミスリルそれに鋼のインゴットそして燃料となる石炭を注文した。すぐに納品してくれるそうだ。鍛冶ギルド仕事はえーなと思ったが、ギルド員の店に急な注文をする客は以外と多いそうで、品物の納品は在庫が有る限り即納しているらしく、俺が帰る時に一緒にゴーレムホースの引く馬車で運んでくれた。

ゴーレムホースは見れば見るほど何か間違ってると思うんだよな。



店に戻った俺は、倉庫にインゴットを納品させると、さっそく炉に火を入れた。そしてオリハルコンのインゴットを溶かしている間に、店の設備を確認していった。金床をはじめとする鍛冶道具は一通りそろっておりふいごは魔道具だ。作業場には作業机が設置されて万力なども付いている。オリハルコンのインゴットが黄色くなったところで鍛錬を開始する。形の成型はモデリングで出来るので、とにかく必要な量をひたすら鍛錬していく。俺の構想では、オリハルコンで骨格とサスペンションとダンパーを作り、ミスリルでアクチュエーターと魔力伝達装置を作る。鋼は装甲を作ることにしようと思う。これは、オリハルコンは鋼より硬く弾性は同程度であるが重量がかさむこと、ミスリルは鋼より軽く、しかも魔力の流れが良いため魔力で動く部品を作るのに適していることから選んだ。ただし、両方とも高価な金属であるため、1番量が必要になる装甲には鋼を使うことにした。

まずは、骨格を作ることにする。バイコーンの骨の形を参考にモデリングを行うが、関節部分にスプリングとダンパーを使おうと思っているので、それを固定する部分を追加していく。骨格のパーツがすべて出来上がると、今度は、スプリングだ。コイルスプリングを手作業で作りすべての品質を揃えるのはかなり困難だが、そこは、モデリングや鍛冶スキルがかなりの高レベルであることが役に立った。作り方が頭の中に浮かんでくるのは気持ちがいい物ではないが、ここは我慢するしかない。近所の木工の工房に行って、材料を買ってきた。必要な道具を作りモデリングで巻き付けていく。鍛冶スキルで焼き鈍しを行い必要なテンションを得る。ダンパーはオイルダンパーを作ることにする。こいつはオートマトンのスキルで作り方が浮かんできた。

「モデリングすげーな。本当なら工作機械がなきゃ作れない物ばかりだもんな」

さらに、ネジやピンなどを作り部品が完成した。これから組み立てに入る訳だが、組み上げる為には台座が必要になる。それをベースにして骨格を組み上げていくのだ。こいつもオートマトンのスキルだ。出来上がった台座に骨格のパーツを組み上げていく。スプリングを組み付けるのに特別な道具が必要だがそれもスキルのおかげで問題とはならなかった。

「しかし、よくこのスキル選んだよな。5つ全部そろってなければこうはいかないよな」

鍛冶、モデリング、オートマトン、ゴーレム、記述魔法と、こちらに来るときに取得した5つのスキルを

全て使かわないとゴーレムホースを作ることは出来ないと思う。鍛冶とモデリングでパーツを作り、オートマトンで機構を決め、ゴーレムで動きを制御し、記述魔法を使って関節や装甲の強化をする。ゴーレムで制御するのは四肢の動きではなくアクチュエーターの動きになるわけだが、OSもないのに制御が可能であると俺の頭には浮かんでくる。ファンタジー? って言うことか。

「しかし、これって、正確に言うとゴーレムとは言えねえのか? でも、オートマトンって言うのもなんかなー」

この世界のオートマトンとは、自動人形のことだけでなく、機械のことも指すのだが、オートマトンは機械式の動力で動かす物のことを指し、人形は見せ物小屋で見ることが出来るような物しか一般の人間の目に触れることはない。俺がスキルで持っているのだからこの世界の技術水準はそれなりに高いのだろうが、過去の技術者が閉鎖的で、少数の弟子に技術を伝えているみたいだ。一般に広がっていないからゴーレムギルドとのトラブルを避けるにはゴーレムホースとして登録するのが手っ取り早いのだが、それはそれで嫌な予感もする。

「まあ、ゴーレムギルドとトラブルとすれば、俺のゴーレムホースの出来が良いってことだから、トラブル大歓迎と言ったところか」


骨格が完成し手で関節の具合を確かめてみる。

「んー、よくわからんが、スキルがこれで正解と言っている気がする。便利だな」

そろそろ、夕方になるケーナ達が迎えにくるころか。ケーナがくるまでミスリルの鍛錬を出来るだけやっておくことにする。


迎えに来たケーナ達と一緒に宿に戻った俺は、夕食後に風呂に入り自分の部屋でゴーレムホースの核について考えていた。

「やっぱり、Dクラスの魔物の魔核から出来た魔結晶で作ったゴーレム核だけだと魔力が足らないか? Cクラスのも持ってはいるけどなー。制御式書き込むだけならCクラスのサイズはいらねえよな」

Cクラスの魔結晶は結構値が張る。それに、自分で結晶にしたほうが良い物が出来るようだ。とは言っても。魔核は自分で使うのでなければ冒険者ギルドに売るのがルールだ。ここでCクラスの物を使うのはもったいない。

「魔力のバッテリーとしてDクラスの魔結晶を追加で付けてみるか。Dクラスの物は結構持ってるからな大きなロボを作るときの参考になるから試験的にやってみるか」

俺は、Dクラスの魔核を取り出すと、魔結晶を作りゴーレムの制御式を刻んでいく。一度アインでやっているから慣れた物だ。AIについてもアインの物を参考に組み上げた。

「よし、こんなもんかな」

さらに、魔石を取り出すと、動作試験用の制御式を刻んでいく。一通り出来上がる頃には夜もかなり遅くなっていた。






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