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最強のFランク

戦闘シーンはうまく描写出来ないですね。基本的に会話シーンと装備などの説明シーンが好きです。今回短めです。

「アイン、そろそろ次行くぞ!」

『オーケー』

俺とアインは2人並んで走っていた。背後からは大量のゴブリンが追いかけてくる。俺は木片を取り出すとモデリングで魔法紋を描き魔力を込めてから後ろに放り投げた。背後をうかがいながらタイミングを計ると。

「ファイアーウォール」

俺はキーワードを告げる。すると、ゴブリンの集団の先頭15匹程の後ろに炎の壁が立ちあがる。先頭グループから少し離れていた後ろの連中は目の前の炎を見て急停止をせざるをえない。

「アイン!」

さすがのアインもこのタイミングでは黒板は使かわず、右手を上げて了解の合図をした。

俺達は振り向きざまに後続と切り離されたゴブリン達に襲いかかった。俺たちにとって15匹のゴブリン討伐など作業でしかない、瞬殺だ。倒し終わるとちょうど、炎の壁が治まるところだった。炎を左右に回り込もうとした奴らもいたが、治まる方が早かったようだ。壁の厚さと幅飛び越えられない程度の高さを確保するために炎の維持時間は十数秒だ。

「掛かってきやがれ!」

俺とアインが中指を立て舌を出すと、ゴブリン達は怒りも新たに俺達に向かってくる。俺達は振り返ると、またゴブリン達を引き連れて走り始めた。


なぜ、こんなことをしているかと言えば、数十分前のことだ。丘を降りながら俺はアインに話しかけていた。

「2対500かー、まー勝負になんねーよな。ゴブリンとなら1対1を500回やったって負けやしないが、いくらなんでも、500匹に囲まれて1度に襲いかかられ、のし掛かられたらどうしようもない。何もできずにやられちまう」

俺は移動を始めたゴブリンの最後尾に回り込みながら作戦を説明することにする。

「そこでだ、俺達が瞬殺できるゴーレムの数ってどれくらいだろう?」

『マスタートアインデ20匹マデ』

「だよな?そこでだ、2対20を25回繰り返せばいいと思うわけさ。これからとりあえずゴブリン達を後ろから襲う。剣と爪以外に魔法も使って派手にぶっ飛ばす。おそらくゴブリン達は混乱するだろう?反撃される前に、できるだけ数を減らす。相手が落ち着いてきて俺達に襲いかかろうとしたら、逃げ出す」

『アインガオトリニナル』

「いやいや、アインは俺と一緒に逃げ出してくれ。俺達が走るスピードはゴブリンより早いだろ?距離を調節しながら大きく蛇行して走る。討伐隊が来るんだから、あまりこの周辺から動かないほうがいいからな」

討伐をせずに街の防御を固める方法を取ることも考えられるが、その時はその時だ。

「そうして少し長い隊列を作らせてから、ファイアーウォールを先頭から20匹くらいのところで発動させて先頭グループを後ろから切り離す。そこで振り返って2人で20匹に襲いかかる。炎の壁が消えるまでに倒し切り、また逃げ出す。これで残りは480匹ってわけだ。逃げ出す時にあいつらをからかえれば、よけい頭に血が上って追いかけて来てくれるだろうさ。ゴブリンがどれだけ頭が悪いかが勝負の分かれ目だ」

『マスターアタマハイイケドセイカクワルイ』

「ほっとけ!2対500をひっくり返すには他の手が見つからねえんだよ。ゴブリンジェネラルに率いられている集団だ統制も取れてるだろうし、いくら数を減らしても逃げ出したりしないだろう。もう少し数が少なければ2対5くらいの数に調節したいところだけど、それだと、俺の体力やアインの魔力が持つかどうかわからん」

『アインノマリョクハドレクライモツノ?』

「やってみなけりゃ分からん!もし魔力が切れそうになったらその場に転がっていろ。体を維持出来る程の魔力さえあれば、あいつらの武器じゃお前は壊せない。それに、俺を追いかけるのに必死のはずだ、俺の体力はこっちの世界に来てかなり上がってる。」

『ウン!ワカッタ』

「シルビアさんやアリアちゃん達が暮らす街、アシャさんたち蒼穹の翼が守りたい街だ、少し頑張ってみようか」

『アイン、アリアトシルビアトアシャトヴァイオラダイスキ』

「そうだな」

俺達は移動を始めたゴブリン達の隊列を後ろから襲った。


体力任せの荒っぽい作戦だがゴブリンには効果的だった。ゴブリンジェネラルに率いられて少しは統率されていたようだが、そのジェネラルも頭に血が上っているようで、連携や作戦などなくただ追いかけて来るだけだ。

1時間がたつ頃には残ったゴブリンはチーフが8匹、ジェネラルが1匹だ。チーフは身長が160cmくらいと普通のゴーレムよりも少し大きく角は1本だが大きい、武器は全員ショートソードだ。ジェネラルは大きな2本の角で身長は200cmを軽く超え右手にはツーハンデッドソードを持っている。木片はだいぶ前に使い切ってしまったから、この前みたいに小銀貨を使ってエクスプロージョンを発動。チーフ3匹を吹き飛ばし、俺は棒手裏剣を飛ばしけん制すると、アインが残りのチーフに襲いかかった。俺はもう1度エクスプロージョンを使って2匹吹き飛ばす。

そこにジェネラルが俺に向かって剣を振りおろしてきた。俺はソードストッパーの魔石に魔力を流し強度を上げてから剣を受け止める。かなり早い!俺は刀で切りつけるが奴は素早く引いて間合いを取る。

「早いな、.....でも、俺の祖父ちゃんの方がもっと早かった!」

一度も祖父ちゃんに当てられなかったけど!森田さんにも当てられないけど!!

俺は素早く1歩踏み込むと右から腹を横薙ぎにしようと振りぬく。奴は少し引いてそれを交わすと上段から剣を振り下ろした。その場でソードストッパーで剣を受けとめると、左に振りぬいた刀を返しながらジェネラルが剣を持つ手に切り付けた。数本の指と一緒に剣を吹き飛ばした俺は、唸り声を上げるジェネラルの懐に入り奴の左肩から袈裟切りに切り付けた。奴は大きく飛びのいた。驚いたことに傷が見る間にふさがっていく。指のあとも膨らんでくるようだ。

「驚いた奴だな。だけど!」

俺は間を置かずに、襲いかった。なぐりかかってくるジェネラルの左腕をよけながら背後に回ると右の裏拳が襲ってくる。ギリギリでかわし隙のできた奴の右側から首に切り付けた。

「首が取れても再生するのか?」

首を落とされたジェネラルは膝から崩れ落ちた。

アインは、3匹残っていたチーフのうち1匹を倒していたが、残る2匹の連携の取れた動きに攻撃の決め手がつかめないようだ。俺は、1匹の後ろから首を切り落とした。すると、残り1匹の腹にアインの貫手が決まり勝負が付いた。

「よう、アインお疲れ」

『マスターモオツカレー』

「本当に疲れたよ、しばらく走るのは嫌だね」

「しかし、良くもまあ、生き残ったもんだな」

辺り一面のゴブリンの死骸を見渡して俺は言った。

ふと俺達が見張りをしていた丘の上に目をやると、そこには十数人の人間がこちらを見つめて立ち尽くしていた。中には、蒼穹の翼の5人もいるようだ。

俺達がそこに向かって歩き出すと。皆はあわてて走り寄ってきた。

「まさか、本当に全滅させちまうとは」

スナフが信じられないといった口調で話しかけてきた。

「あれから半刻(1時間)くらい監視してたら。ゴブリンジェネラルが大声で吠えてさ、ゴブリン達が街に向かって進み始めたんだよ。万が一の時は全滅させるって言ったろ?」

俺が言うと、蒼穹の翼と一緒に来ていたおっさんが。

「お前さん一人でこれをやったのか。凄まじい腕だな。一つ訂正させてもらうが、お前さんが相手にしていた魔物はゴブリンジェネラルではなく、オーガだ」

「このおっさんだれ?」

俺がバトロスに聞くと。

「ガーゼルの冒険者ギルドの副ギルド長だ。討伐隊と防衛隊を組織しながらも先行偵察隊を集めて駆け付けたんだ。ゴブリンの規模と、進行ルートを確認するために急いだんだが、良い意味で無駄になったようだ。他のメンバーはギルド専属の戦闘部隊だ」

「俺はバッカス冒険者ギルドの副ギルド長なんて仕事をやってる」

「タケルだ、冒険者ランクはFになったばっかりだ。ところで、オーガってゴブリンを率いるもんなのか?」

「ゴブリンはFクラス、ゴブリンチーフはEクラス、そしてゴブリンジェネラルはDクラスそのジェネラルが率いた500匹規模の群れはAクラスのクエスト相当になる。そして、稀にオーガが率いるゴブリンの群れが1000匹規模になることがある。それが災害級Fだ、領主軍と冒険者ギルドが協力してやっと街を防衛できるレベルだ」

バッカスが教えてくれた。

「タケルさん」

アシャさんが俺の目の前に進み出た。アシャさんの目が潤んでるなと思ったら涙がこぼれ出した。

「アシャさん....」

アシャさんの右手が上がると思いっきり振り下ろされた。

『バシッ!!』

俺の頬が大きな音を立てた。

今日初めて受けた打撃は疲れがたまっていた俺の意識を容易に刈り取った。

「無理はしないって言いましたよね!なにが、「全滅させてもかまわないんだろ」ですか!ケガどころか死んでしまうかも知れなかったんですよ!災害級クエストなんて1人でどうにかできるものじゃないんですよ!それなのに、それなのに.....」

「アシャ、タケルもう聞えてないよ?ゴブリンとの戦闘で頭でも打ってたのかな?倒れたままだね、大丈夫かな?」

「え?お兄ちゃん!!」

.........

「フン、最強のFランクってやつか、副ギルド長としちゃ大事に育てたいところだな」

.........

『アインハゴブリンタチカラソザイハギトリデキナイヨ』

俺が気絶している間に、街への伝令を出し、残った皆で討伐証明とチーフやオーガの素材や魔核を採集したそうだ。ご苦労様でした。


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