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買い物して修練して買い物

1の鐘が鳴った。宿の裏庭で型を反復していた俺は、硬く絞ったタオルで汗をふき取ると食堂に向かった。

「おはよございますタケルさん。好きな所に座ってお待ちください」

「おはよーアリアちゃん」

俺が席に着くと。

アリアちゃんがいい笑顔で朝食を運んでくれた。

「おーうまそうだ」

さっそく食べ始める俺に向かって

「美しいシルビアさんが運んだわけじゃないけど食べてくれますか?」

「むーーー」

思わず料理を喉に料理を喉に詰まらせそうになった俺は水と一緒になんとか呑みこんだ。

「アリアちゃん聞いてたのか?」

「あたしが運んだ料理だと喉に詰まらせちゃうのかー。あたしお母さんにそっくりって、よく言われるんだけどなー。タケルさんって、年上が好みなの?」

「え!シルビアさんってアリアちゃんのお母さんだったのか?」

「そうだよ。なんだと思ってたの?」

「少し歳の離れたお姉さんかと思ってた」

「お母さん若く見えるもんねー、でもね、ああ見えて」

「アリアー、タケルさんが朝ごはん食べられないでしょー」

アリアちゃんは飛び上がるほどビックリして振り返った。

釣られて俺もそちらを見ると。

笑顔のシルビアさんが腰に手をあててこちらを見ている。笑顔だけど、笑顔なんだけど。

「お、おはようございます。シルビアさん」

緊張する、ムチャクチャ緊張する。

「あ、あたし用事があったんだー」

棒読みするとアリアちゃんは食堂をすべるように出て行った。

「まったくー、ごめんなさいねー朝からうるさくって、ここって、職人街が近いからあまり宿泊客がいないし、食堂はそこそこ流行ってるんだけど、あの子と同じくらいの歳の子が来ることなんかあまりなくてー、タケルさんが泊まってくれてはしゃいじゃって、ふふふ」

「いや、アリアちゃんと話すの楽しいよ、あんな可愛い子と話せるなら大歓迎だ」

「あら、タケルさんは年上女性がお好きだとばかり思ってましたよ―」

「え?」

たしかにシルビアさんはすごく好みだ。

「アシャさんお綺麗ですもんねー」

「えええ?」

俺が絶句していると。

「では、ごゆっくりー」

笑顔を残して厨房に戻って行った。

「ふう」

俺は朝飯を食べた。少しさめてしまったが、アリアちゃんの出してくれた料理は美味かった。

常宿ここにしちゃおう。



朝飯を食べた俺は、街を歩いていた。

「さて、まずは武器屋からだなー、えーと。あ、ここだここだ」

ギルドが発行している街の簡単な地図を頼りに......これは地図とは言わないか。道とギルドとギルド提携の店が載ってるだけだもんな。こいつに自分で書き込んで地図を完成させるしかない。何だかイベントみたいで楽しいかもしれない。


「こんちは―」

武器屋に入ってみた。

店の中には、武器や防具が所狭しと並んでいる。

「おう、いらっしゃい!」

ここは魚屋かなにかか?威勢のいい挨拶が返ってきた。

「見ない顔だな?若いし新人冒険者ってところか?」

「ああ、昨日登録したんだ、今日は武器と防具を買いに来た」

「どんな物が欲しいんだ?」

「武器は鋼のバスタードソードを、それから革の防具って中古品扱ってるかい?」

「良く分かってるじゃねーか。革の防具ならちゃんと整備された中古の方が使いやすいからな」

「ちょっと待ってろ」

そう言って店の奥に入って行った。そして直ぐに戻ってきて

「昨日整備が終わったもんだ、サイズはちょうどだな、これでどうだ?」

胸当、腰当、手甲に脛当てアリステアで使ってた物と同じような感じだ。

「いくらだい?」

「そうだなーあんまり金を持ってるようにゃー見えねえからな。15000イェンってところだな」

何気に失礼なオヤジだな。もっとも、昨日ブラッドグリズリー倒してなきゃ買えないけど。

「ちなみに新品で買うといくら?」

「新品なら、25000イェンだな」

「おー大分安くしてくれるんだな」

「将来性を見込んでってところだな。剣はー、これでどうだ?バランス調整すると明日渡しになるが?12000イェンだ。合わせて30000イェンだな」

「ばらで買ったほうが安いのかよ!」

俺が突っ込むと。

「ほー、算術が得意なのか。がははは。冗談だ」

「ふう、調整はいいから今もらえるかい?」

「ばかやろー!!早死にしてーのか!武器ってのはな命を預けるもんなんだぞ。おろそかにするんじゃねー!帰れ!!」

「ちょっと待ってくれよ。これを見てくれ、俺が普通のショートソードを改造したもんだ」

腰のなんちゃって日本刀を鞘ごと渡すと。オヤジは鞘から抜いて。

「初めて見る形だな?カットラスともサーベルとも違うな?これをお前さんが改造したのか?」

「ああ、モデリングってスキルがあってね。俺が修行した剣術だとこっちの方が使いやすいんだ」

「お前、モデリングが使えるのか。それなら冒険者なんかやらずに鍛冶屋になりゃ.....ま、人それぞれ事情ってやつがあるからな。ほれ、こいつでどうだ」

俺は受け取ったバスタードソードの刃の部分を拳で叩いてみる。いい感じだ、鍛冶スキルのおかげでこんなこともわかるようになった。

「いい感じだこれにするよ」

俺は金を払うとさっそくモデリングを使って太刀の形に変形させていく。少し鋼の量が多かったので、棒手裏剣も5本ほど一緒に作った。

「んー、美しい剣だな。裏庭で試し切りしていくか?」

「ああ、頼むよ」

店の裏庭には傷ついた太い木の杭が数本立っている。

鞘ごと腰にさし直径15cmくらいの杭に向かって歩いて行きながら、居合抜きの要領で太刀を抜きざま切りつけた。居合抜きなんて太刀でやるもんじゃないけど、強化されたステータスのおかげで杭は見事に輪切りになった。

「よし、刃こぼれ一つしないな。良い鋼だ」

「お前さんすげーな、その若さでどんな修行してきたんだ」

「祖父ちゃんがとんでもねー人だったんだよ。もう死んじまったがね」

「そうか、達人だったんだな、爺さんは」

「いやーいいもん見せてもらったよ。言い忘れてたが俺の名前はゴルダートだ、これからも贔屓にしてくれると楽しみが増える」

「タケルだ、またよろしく頼む」

「ところで、ソードストッパーってあるかい?」

「あるにはあるが、ありゃー使い方が難しいぞ」

「使い慣れてるんだよ1つもらうよ」

「4000イェンになるがいいか?」

「ああ」

俺は金を払い防具を装備すると太刀を腰にさして店を出た。



魔道具屋に行ってみたが見つからなかったので仕方なく冒険者ギルドに行くことにした、修練場があるらしいので新しい道具に慣れるため太刀を振ろうと思う。


カウンターのお姉さんに挨拶を済ませ、修練場を使うことを告げ、奥に入って行く修練場では数人の冒険者達が運動や模擬戦を行っている。命が掛かってるから皆真剣だ。

俺は、筋を伸ばした後に初伝から型を反復していく。初伝は対刀を想定した戦いの基本動作になる。1段目から最後までを納得いくまで10数回繰り返しやってから中伝に移る。中伝は槍や弓果ては銃までも相手に想定した動作になる。想像上の相手の攻撃を受け、流し、返す。これをやはり10数回納得できるまで行う。そして奥伝だがうちの奥伝には型がない。自分の五感をひたすら研ぎ澄まし周りの気配を察知する。視覚だけでなく風や音やにおいまで自分の周りの全ての気配を呑むんだそうだが。俺は2段目までしか修めていない。...はずなんだが、ここで今までとの違いに気が付いた。アルトガイストに来る時に上げたステータスのせいなのか、それとも、アリステアで討伐を行ったせいなのか、日本にいたころより感覚が鋭敏になったような気がする。どこにも集中せず全てに集中し......。あ、アシャさん?アシャさんのいるほうを振り向いた。

そこには真剣な眼差しで俺を見ているアシャさんがいた。

「こんにちは!アシャさん!」

アシャさんに走り寄った。

「こんにちはタケルさん」

アシャさんは今日も綺麗だ!素敵だ!

「いつからここに?」

「少し前からですよ。タケルさんが色々な動きを繰り返しているのを見てました。とても真剣だったのと綺麗な動きだったので見とれていたらその後しばらく動きを止めて何か考えてるようだったので.....」

「え?そんな前から、退屈だったでしょ?」

「いいえ退屈じゃなかったですよ、そう言えば動きが止まった後なんだか不思議な感じでしたね、何と表現したらいいか分からないですけど。そして急に気配が変わったと思ったらタケルさんが振り向いたんですよ」

「あー周りの気配を呑んでいたらアシャさんを感じて、雰囲気と言うか匂いというか.....」

「え?わたし臭いますか?どうしよう」

アシャさんは頬に両手をあててアタアタしている。

とーっても可愛い。こんな仕草もするんだなー。

「いや、そうじゃなくてですね、五感を研ぎ澄まして周りの気配を感じ取る修練をしていたんだ。そうしたらアシャさんを感じて振り向いた」

「え、そんなこと分かるんですか?」

「普段は個人を特定できるほど俺は鋭くないんだけど、今はアシャさんだって確信したな」

「普段はわからない....、そんな訓練を日ごろからやってるんですか?」

「地味でしょ」

「その積み重ねがあの強さのにつながってるんですね」

にこにこしてる。嬉しい。

「全然動かないから、シルビアさんのことを考えてるんだと思ってました。ふふふ」

「は?」

俺は固まった。なんだか、空気が少し冷えたような気がする。気のせいだろうが。

「んなわけないよ」

アシャさんはほほ笑みながら。

「ところで、タケルさん装備を買ったんですね。カッコイイですよ」

と言ってくれた。

「さっき武器屋で買ってきました」

「めずらしい形の剣ですね、サーベルとも違うみたいですけど、綺麗ですね」

「俺は前からこの型の剣を使ってるんです。モデリングで改造しました。今は新しい装備に慣れるために修練してました」

「あ、そう言えば、訓練中だったんですよね、お邪魔しちゃいましたね」

「あー、そろそろ終わりにします。これから買いものあるんだよ」

「何を買うんですか?お店分かりますか?」

「服が無いので何着か買おうと思って、あとは日用品と冒険者の装備かな」

「この街のこと分からないんでしょ?案内しする?」

「良いんですか?」

俺の内心では飛び上がりたいほど喜んだ。

「じゃーおねがいします。ちょっと、汗拭いてくる」

「はい、ロビーで待ってますね」

アシャさんはロビーのほうに消えた。俺は、ロッカー室で汗をぬぐってからロビーに向かった。


ロビーでキザな男にナンパされてるアシャさんを連れ出そうとして男ともめる。なんて言うベタな展開も無く。俺達は買いものに行った。まず、魔道具屋から回ったんだが、地図に書いてある道が1本間違っていた。これじゃ明日も見つからなかっただろう。ここはアシャさんも利用しているらしい。木片を買って魔道具屋を出るとちょうど4の鐘が鳴った。アシャさんが。

「あ、お昼ですね、どこかで御飯にしましょうか」

アシャさんと一緒にお昼が食べられる。俺はかなりワクワクしてきた。

「俺は街に詳しくないんで、アシャさんのお薦めの店ってありますか?買い物に付き合ってくれたお礼に御馳走します!」

「そうねー、こういう時は素直にごちそうになっちゃおうかな」

「うんうん、そうして」

「さーて、タケルさんのお財布を空にしちゃうぞー。ふふ」

「.....お手柔らかにお願いします」

「ふふふ」


アシャさんが案内してくれた店は、ちょっと小洒落た感じのレストランだった。

今まで、日本も含めて女の人と2人で食事なんかしたことが無い俺は、がちがちに緊張していた。まわりの客にチラチラ見られている。おそらくアシャさんみたいな綺麗な大人の女性と一緒の男が俺みたいんじゃ不釣り合いだと思ってるんだろう。俺もまったくその意見に賛成だ。

「タケルさん何にする?」

テーブルの向いに座ったアシャさんがメニューを見せてくれる。

「このメニューならどんなお料理か分かると思うわよ。昨日と違ってねふふふ」

美女の笑顔っていいなーと思いながらメニューを見てパスタ料理を注文する。アシャさんも同じ物を注文した。

料理が来るまで色々なことを話した。アシャさんは話題が豊富で俺はもっぱら聞き役だ。俺から振った話題と言えば冒険者に必要な装備のこととかを尋ねるくらいで、女の人と2人で食事なんかしたことのない俺は面白い話の一つも出来ない。そうこうしているうちに料理が出てきた。大皿に乗ったパスタを取りわけながらアシャさんが。

「美しいシルビアさんじゃないけど美味しく食べられるかな?ふふ」

ってそれはやってるのか?

「今朝アリアちゃんにもそれ言われたよ」

って言ったら。笑いながらもアシャさんの目が光ったような気がした。

「へー、アリアちゃん可愛いものねー、歳も近いしお似合いかもね」

「よしてよ。あんな可愛い子が俺なんか相手にしてくれるわけないよ」

「あらそうかしら?」

俺はパスタを食べ始めた。

「あ、このパスタ美味い」

「良かった。このお店ヴァイオラとも来るんだけど、あの子も好きなのよ。でも若い男の子はお肉がメインの方がいいかな?」

「そんなことないよ、好き嫌いはないからね」

美味しい料理にその後の会話も弾んだ。と思っているのは俺だけじゃないよな?

「タケルさんごちそうさまでした」

「いえいえ、このくらいならいつでも来いです」

「この次は私が御馳走しなきゃね」

「また一緒にご飯食べてくれるの?」

「ええタケルさんさえ良かったらね、でもヴァイオラも一緒になっちゃうかなー。あの子もタケルさんに興味あるみたいだから」

「良いですよ、みんなでいきましょうよ」

「あの子はお肉も好きよ」

「俺は何でも食べますよ。何を食べるかより誰と食べるかのほうが、良い雰囲気で食べるほうが大事だよね」

「ほんと、そうね」


その後は服や生活雑貨に冒険者用の装備などを見て回った。途中で中央広場の噴水に並んで座って果実水を飲んだりもした。今は、買い物も終わって今は5の鐘と6の鐘のちょうど中間くらいだ.....面倒くさいな5時頃だ。

「今日は付き合ってくれてありがとう。たすかたよ」

「役に立てたんならよかったわ」

そこに

「アシャ、昨日の今日でもうデートか?デートなんだな?」

ヴァイオラが通り掛かった。

「ちがうよ、俺の買いものに付き合ってもらっただけだよ」

両手の大荷物を持ち上げて見せる。

「ヴァイオラ、そうよタケルさんこの街に慣れてないから」

「ほー、買いものだけかね?それだけの荷物を買いこんだんなら、途中で食事やお茶したんじゃないのかね?」

アシャさんは、少し頬を赤くしながら。

「ヴァイオラ、見てたの?」

「なーんだ、やっぱりデートじゃないか!」

「タケル、美しいシルビアさんと一緒じゃない食事でも美味しかった?」

「かんべんしてくれ、今日はそれ3回目だ」

「あははは、もう買い物は終わったのかい?」

「ああ、アシャさんのおかげで、明日からクエストが受けられるよ」

「ほーいよいよかー頑張ってね。じゃー、アシャは貰って行くよ。アシャには聞きたいことが山ほどあるからね」

「タケルさんまたね」

「今日はありがとう、また」

「なんか2人とも良い雰囲気じゃない?タケル今度はあたしとデートしようねー」

「だからデートじゃねーって」


2人と分かれて宿に戻った。ちょうど夕食の時間だったので晩飯にした。かなり込み合っていてシルビアさんもアリアちゃんも忙しそうに動き回っていた。


風呂を済ませた俺は、ブラッドグリズリーの魔核を見つめていた。

「まずは、記述魔法で魔結晶を作らなきゃいけないわけだが.....。魔結晶作成の魔法陣なー」

普段から魔法紋を多く使うせいか、ステータスの知力を上げたせいなのか、魔結晶作成の魔法陣が完全じゃないような気がする。魔結晶は無属性の中級魔法で作るんだけどもっと効率化すれば、より完全な魔結晶になると思うんだよなー。

「と言うことで、魔法紋で作ってみるか!」

俺は、床に魔力で直接魔法紋を描き始めた。魔法紋ができるまでに1時間くらいの時間がかかったが、納得の出来になった。

「さて、やってみようか」

魔法紋の上に魔核を置いて魔力を注ぎこんだ。すると、不透明だった魔核が激しく輝いて透明になった。魔結晶が出来上がったとしよう。魔結晶なんて見たことないからこれで成功かどうかなんてわかるわけないよなー。

「さて、完成したはずの魔結晶が1つ。まずはゴーレムを作ることにしよう」

魔結晶を見つめながらゴーレムの核をつくろうと集中すると様々な情報が頭の中に浮かんでくる。LVを3までしか上げなかったが、結論から言うとLVが上がるとより短い記述で複雑な動きを制御できるようになるため、ゴーレムの核に多くの制御式を刻めるだけで、単純な記述文でも構文が増えるだけで同じ制御は出来るみたいだ。ただし、魔結晶の大きさが決まってるんだから短い記述の方が良いことは間違いない。

「んー、直径15cmの魔結晶じゃたいしたことはできないかな?........」

しばらく悩んだが、LVが上がるにしても経験を積まなきゃ上がらないはずだから修行的なものはいるわけで、将来のための投資は必要経費だ。

「ん?まてよ、モデリングで記述するんだから、集中すればマイクロ文字より細かい文字だって刻めるんじゃないか?モデリングはLV7だぞ。別に俺が読めなくたってゴーレムを制御出来るんじゃないか?それに、制御式ってコンピューターのプログラムに似てるよな。これは、AIプログラム参考にしていけるんじゃないか?」

最近読み込んでいたAIプログラムの本の内容を思い出してみると、本を読んでいたころには理解したつもりになっていたことが本当につもりだけだったことを思い知った。知力ステータスを50まで上げたことが効いてるんだろう。本の作者が本来やりたかったであろうことまで推測できる。.....気がする。ははは。俺は夢中で制御文を刻み始めた。モデリングを使えば後から手直しだって出来ないわけじゃないだろうし、まずは気軽にやってみよう。



「ふー」

深夜になってやっと制御式は刻み終わった。コンピューターのプログラムに比べかなりアバウトな命令でも平気なため思ったより時間はかからないが、なにぶん刻みたい制御式が多く直ぐに完成とはいかなかったい。もちろんAIのプログラムの考え方は参考になったし、この知識が無ければ単純なことしかできないゴーレムになったことだろう。

ゴーレム術でやらなきゃならないことは、まず、制御用の核を作ること。それから体の素材を用意すること。体の素材は石や金属などを使って、自分がイメージしたものを魔結晶の魔力で構成することも可能だし、あらかじめゴーレムの体を作っておいて体を核で制御することも可能だ。素材から作るほうがお手軽だが、イメージした形を取りそのことの制御にも魔力を必要とするためゴーレムを動かすために使える魔力が減ってしまう。

今回はお手軽な方法で行こうと思う。体を用意するのが難しいのだ、いずれちゃんとした材料を使ってモデリングしようとは思うが、鍛冶でより良い素材を作り出したいので工房や作業場が無い今は我慢することにした。

魔力量の心配はあるが、そこはサイズを小さくし、より多くの魔力を動かすことのほうに回すことにする。

ベッドに寝転がって、でき上がったゴーレムの核をながめているうちにいつの間にか寝てしまった。


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