3:終わらぬ悪夢
残酷描写あり
バシャッ
「ぐっ・・・。」
頭から水をかけられて目を開けると、目の前に桶を持った昨日の男が立っていた。
どうやら夢ではなくここが現実らしい、最悪の目覚めだった。
平常通りの体の状態に違和感を覚える、そう、昨日散々皮膚が剥けるほど打たれたにもかかわらずに。
昨日受けた傷は不思議と痛まない、目を向けると傷跡は残っているものの、腫れは引いていた。
「****************。」
男が昨日と同じく何か言っている。
相変わらず何を言っているか分からなかった。
下手に反応できないため半目で男を睨みつける。
男は俺のその様子に肩をくすめ、机から昨日と同じ細い棒を取り、そのままこちらに近づいてくる。
男は昨日と同じように棒を振り上げ、
ピシンッ
振り下ろす。
俺は昨日の痛みを思い出し、目を瞑り痛みに備える。
だがしかし、
「(あれ?)」
慣れなのか感覚が麻痺っているのか、チクッとする程度で昨日ほどの痛みは無い。
何回か男が打ち付けるが、やはり昨日ほどの痛みは無かった。
男は反応を示さなくなった俺を見て不快そうな表情をしている。
最後に八つ当たり気味に男が棒を打ちつけ、机へ移動し手に持っていた棒を置く。
「(きょ、今日はもう気分が乗らないとか?)」
そんな淡い期待はすぐに裏切られる。
男は机から、先端が平べったい長い棒を暖炉に入れ、アイスピックのような針を持ち、俺にゆっくりと近づいて来た。
男は俺に目の前に立ち、見せ付けるように針を左右に動かす。
左右に振られる針に自然と釘付けになる俺の目。
そんな俺の反応を楽しんだのか、男はゆっくりと針を下におろし、俺の脇腹辺りに針を突き立てる。
「ん”-!(や、やめ)」
男が力を込め、針を俺の脇腹に突き刺す。
ズチュ
「ン”---!」
ガチャン!ガチャン!ガチャン!
目を見開き叫ぶ俺、針は突き刺さったままだ。
俺が叫んでいる間に男は暖炉に入れていた長い棒を持ってきた。
男が針を引き抜く。
ヌチュ
「ン”--!」
針を抜いた場所から止め処なく血が流れる。
男は針を刺した場所に熱した棒を当てた。
ジュッ
ジュゥゥゥゥゥ
「ン”------!!」
痛みに耐え切れず涙ながらに叫び、自分の肌と肉が焼ける音を聞きながら、俺の意識は落ちた。
バシャ
「ぐっ・・・。」
水をかけられて強制的に起こされる。
意識が落ちる前に刺された場所がまだ激しく痛んだ。
目の前に立ってる男はまた、あの針を、持っていた。
今度は別の場所に針を突き立て刺していく。
拷問方法が棒から針に変わった最初の日だった。
バシャ
いつものように水をかけられ目を覚ます。
窓の無い部屋で時間間隔が無い・・・俺がこの部屋に連れてこられてどれくらいたったのかわからない。
拷問の何回目からか常に空腹感が纏わりつくようになり、前髪が目にかかるくらいに伸びていた。
数日間以上たっているはずなのになぜ生きているのか、俺自身不思議で仕方なかった。
「(今日も針なんだろうか。)」
男が机に向かうのを見て、そう思う。
針に変わってから何回も刺され焼かれていた。
焼かれるたびに気絶する、それの繰り返しだった。
「**********。」
男はいつもと同じように何かを話す。
いつものように反応をせず、男を見る俺。
肩をすくめる男、拷問前のいつものやり取りだった。
だが、男が肩をすくめた際、手に持っていた物に目が向かう。
男は針ではなく、小ぶりなナイフを持っていた。
「(今度はそれで刺すのか・・・)」
そう思っていると、男は左手で俺の頭を掴んできた。
俺は振りほどこうと首に力を入れる、が衰弱のせいかビクともしない。
ゆっくりと左目に近づいてくるナイフ。
「んーんー。」
上げる声も弱弱しく、抵抗らしい抵抗も出来ぬまま、ナイフが左目に突き刺さった。
グチュ
「ン”-!ン”--!ン”---!」
ここ数日間出したことのないような悲鳴を上げる俺。
男がナイフを引き抜き、頭を掴んでいた左手を離す。
俺は激痛に耐え切れずそのまま意識を手放した。
スキルの取得条件が解除されました。
スキル【痛覚麻痺】
を入手しました。