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1.5(後):召喚術者

召喚術者の一人称を私→ワシに変更。

 

 ワシは遺跡内の使った召喚陣を処理し、青年を運ぶため、腰の高さ程のゴーレムを二体作った。

 青年を土で包んだまま、ゴーレムに運ばせ外へ出る。

 入り口付近でワシは、形の違う石を三つほど拾い、それを土で覆い、大きな丸、小さい丸、楕円形と作り、大小楕円と繋げる。

 葉で生い茂った木の枝を取り、大きな丸の正面に短く尖らせた枝を、楕円形の左右に葉のついた木の枝、下の部分には短い枝を二本刺す。

 楕円の正面に小さな魔石をつけて不恰好ながら鳥の形にする。

 完成した土の鳥に触れながら、呪文を唱え、魔石に魔力を込める。


「【ロックバード】」


 バサバサ


 すると、土の鳥が動き出す。

 木の枝の足に小さなメモを括りつけ命令を出す。


「ふもとの領主館じゃ。」


 鳥は首を傾げたあと、夜空の空へと飛び立つ。


 バサバサバサ 


「頼んだぞ。」


 ワシのその呟きは暗い森へと消えていった。


 数時間後


 ガサガサ


 遠くで風ではない葉のこすれる音がしたので探知してみる。

 反応を見ると三つの人型がいた、この付近には人型の魔物は出ないので十中八九ワシが呼んだ者達だろう。


「(来たか、意外と早かったの。)」


 しばらくすると探知で確認した人型、男達が目視出来る位置まで来て止まる。

 右側に立っていた皮鎧を着た男が尋ねてくる。


「王都魔法師団の副団長殿でございますか?」

「そうじゃよ。」


 そう言い証のメダルを見せる。


「お主達は?」

「ハッ!戦士団特別収容所所属、看守アルートです。」

「同じくティッスです。」

「拷問官レイルです。」


 アルート、ティッスは敬礼しながら答える。

 ワシはそんな二人に挟まれた、手枷をはめられているレイルと名乗った男をチラリと見る。


「(こやつが・・・)」

「ところで、その男が重要人物でありましょうか?」


 アルートが二体のゴーレムに担がれている青年を指差す。


「そうじゃ。」


 ワシは頷く。


「場所は遺跡内の部屋を使おう、そこでこやつが何者なのかも説明する。ついて来なさい。」


 そう言いワシは遺跡内に三人を案内する。


 部屋に着いたワシ達は青年を部屋の隅へと下ろす、その際役目を終えたゴーレムから魔石を外し、ゴーレムを崩す。

 ワシは振り向き、部屋に入った三人にこの青年が、敵国の王族であること、この遺跡で何かしていたこと、ワシがそれを阻止しようと戦闘になったことを伝えた。


「この事はくれぐれも内密にな、お主達がここに来ることは他に誰が知っている?」

「ここに来る事は看守長の命令でしたので、看守長しか知らないはずであります。」

「そうか、そちらにはワシが伝えておこう。」

「あの・・・。」


 そこで今まで黙っていたレイルが声を上げる。


「なんじゃね?」

「拷問方法はどうしますか?」

「ふむ、顔の原形を保つように、それ以外は何でもかまわん、君の好きなようにやりたまえ。」


 ワシのその言葉にレイルの瞳に歓喜の色が浮かぶ。


「わかりました、所持品はどうしますか?」

「処分したまえ、どこで情報が漏れるか分からん、首があれば十分じゃろうて。」

「情報を言わない、もしくは、壊れてしまった場合は?」

「相手は王族、口が堅いのは承知の上、その場合処分してかまわん。」

「わかりました、聞きたかった事は以上です。」

「うむ、報告は看守長経由で頼む。」


 そこでワシは思い出す、青年がワシに向けて魔法を放とうとしていたことを。


「ああ、それとコイツは魔法師じゃ、対策が無いなら喋れないようにしといたほうがいいじゃろう。」


 今後の方針は決まった、ワシは青年を覆っていた土を開放する。


「ではな、あとは頼んだぞ。」

「ハッ!おまかせください、お疲れ様でした!」


 ワシは敬礼に見送られながら部屋を出た。


 あれから一週間ほどたった。

 遺跡から出たあの後、収容所へ赴き看守長と話をつけ、今回の件については他言しないと契約をした。

 王都に帰還した日から、何度も何度も召喚陣を見比べ直し、文章も再度解読してみたがどこも間違ってないことが分かり完全に煮詰まっていた。

 何故巨大な召喚陣からドラゴンやオーガなどの巨体を持ったものではなく、人が出てきたのか分からなかった。

 ワシが原本の召喚陣と書き写した二枚の羊皮紙を机の上に出し、ため息をついていると。


 ガチャンガチャンガチャン

 ガチャンガチャンガチャン 


 廊下で鎧を着た兵士の走る音が聞こえる。

 他にもなにやら城全体が騒がしい。


「何じゃ、今日はやけに城が騒がしいのう。」


 そう言っていると。


 コンコン


 ドアが叩かれる。

 おそらく、城が騒がしい理由の説明だろう。

 ワシは机の引出しに3枚の羊皮紙を入れ、ノックに答える。


「誰じゃ?開いとるよ。」

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