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祟り神と俺  作者: 神たん
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【第一部】2話

「はぁ・・」


もはや溜息しかでない。

うちは神社だぞ?

邪悪な物が近くにある訳ないじゃんかよ。


ふと腕時計に目をやると20:30とデジタル表示している。


「もうこんな時間かよ!」


街のイルミネーションが明る過ぎて気付かなかったが、

1時間近く占い師と一緒にいたみたいだ。


「まぁ帰るか。」


1日停めても500円のコインパーキングまで俺は戻った。


そこには黒く輝くインテグラが停めてある。


俺の愛車だ。


なぜか車は大好きで整備師に一時期は真剣になろうと

考えた程だ。


まぁこの性格上、整備士資格を取る為の学校だったり試験だったりが

めんどくさく感じて断念したんだがな。


精算機に薄く痩せ細った財布から500円を取り出し

入れる。


レバーが下がります。とアナウンスを受けて愛車に乗りこんだ。


「車に乗ってる時が一番落ち着くなぁ」


「明日洗車してやっからな」


もはやアホだなとわかりつつも車の事になると、

周りが見えなくなってしまう。


ヘッドライトを付けて、ローギアにセットし、

低音を響かせながら家へと向かう。


運転中にふと占い師の言っていた邪悪な物というのが気に掛かった。


実は俺が小さい頃にに1度だけ嫌なオーラというのか、見ただけで気持ち悪くなった事がある。

それは、うちの神社の奥に祭られてある刀を見た時だ。

まだ俺が小さい頃、祭事の時に特別に見せて貰ったんだが、

その刀を中心に五本の杭のような物が刺さっていて、まさに何かを

封印してるような光景だった。



「今まであの刀について聞いた事なかったけど、帰ったら一度聞いてみるかな」



そんな事を思いながら帰宅した。



「ただいまー」


玄関を開けると同時におかんの声が聞こえてくる


「おかえりーどら息子」


まぁいつもの事だから反論しないがね。


リビングに行くと親父と長兄とおかんが夕飯を食べていた。


「あれ?次兄は?」


俺がそう聞くと、おかんが


「大学病院で泊まり込みの実習だから当分帰ってこないわよ」


と言ってきた。


そう。次兄は六年生の医大に通っている。


まぁ医者の卵ってやつだ。


次兄は医者、兄貴は親父の後を継いで住職。


俺はフリーター。


どう見ても出来損ないの俺。


まぁいいけどな。


親父と長兄はというとテーブルの上に空になった5本のビールの缶を

見て相当酔ってるのが伺える。


そんな事を考えていると親父が


「翔もこっちにきて飯食え。どうせ何も食ってないんだろ」


そうそう。俺の名前は翔って言うんだよ。

在り来たりな名前だろ?


「おう。」


席に着くと早速おかんがカレーライスを出してくれた。

ただ飯を食う前にビールが飲みたい。


「おかんビール頂戴」


おもむろにおかんに言うと、


「就職したらね」

と返ってきた。


もはや反論できない。

しぶしぶ目の前に出されたカレーライスを食べ始めた。

そこで今日の出来事を話してみた。




────────。





占い師の話を一通り話終えるとおかんが言ったきた。



「水晶玉にヒビが入るなんて不吉ねー。気をつけなさいよ」


それと刀について親父に聞いてみた。


「そういや親父さぁ、神社の奥に祭られてる刀ってなんなん?」


そう言った瞬間、親父と長兄が固まった。


何かまずい事聞いちまったか?と不安になったが

少しの沈黙の後、親父が口を開いた。


「そうか、お前覚えていたのか。まだ小さい頃に見せただけだから

忘れてしまったと思っていたがな。でも、あれについては息子のお前でも

教える事はできん。あれは代々この神社を受け継ぐ物に語り継ぐ掟なんだ。」


そう言うと親父は続けて話し始めた。


「いいか。絶対にあの刀に興味を持つな。近づいてもいかんし、口外もするな。忘れろ。」


そう言い終わると親父はリビングを出て行ってしまった。


親父があんな真顔で言うとはよほどの事なんだろうな、と理解した。

ふと、長兄に視線を向けた。


「長兄はもう知っているのか?」


すると長兄が、


「あぁ。知っている。それ以上聞くな」


なんだか、一気に重い雰囲気になってしまった。

俺の中でもう気にしないよう心に決めた。


その後は無言のままカレーライスを食べ終わり、

静かに自室へ向かった。


「なんか今日はもう疲れたなぁ」


そう呟きながら部屋にある目覚ましに使っている時計を

見ると23:00と表示されている。


「もう寝るか。」


夜は0℃近くまでなる為暖房を付けたまま布団に潜り眠りについた。




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