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青い閃光、赤い疾風




 異形の兵士がブロンウィンを捕らえようとその醜悪な鱗で覆われた腕を伸ばしたその時、一筋の青い閃光が煌めいた。


 異形の兵士の腕が斬られ、そこから紫色の血が吹き出した。人間の……否、全ての生きとし生けるものの血の色では無い。


 シーグは、戒めを解かれ、異形の兵士達に剣を振るっているアーレフを見て心底安堵し、弛緩した神経が再び研ぎ澄まされるのを感じる。


 ―今だ。今が“その時だ”―


 シーグは、アーレフに加勢しようと、武器になるものを探すが、剣のひとつも落ちていない。肌身離さず身に付けているいるあの短剣では、刃渡りが無さすぎて不安だ。途方に暮れていると、聞き覚えのある声がシーグを呼んだ。


 「若!若の剣ならここに!」


 マルテンの声がした方を向いたが、マルテンが居ない。


 代わりに、首斬り人がシーグの長剣を差し出している。


 驚くシーグに、首斬り人は、己れの頭巾を取って見せた。


 「マルテン…!そうか…!そういう事だったのか!」


 シーグは長剣を受け取ると、異形の兵士達に斬りかかっていった。


 「アーレフ!加勢するぜ!」


 「ここは良い!王女を安全な場所へ!」


 「わかった!」


 シーグはブロンウィンの手を取ると、異形の兵士をなぎはらいながら刑場の外へ走った。

 さながらそれは、赤い疾風。


 「シーグリンデお姉さま?」


 ふと、刑場の外へ出たあたりで、ブロンウィンが呟いた。

 シーグはブロンウィンの顔を見た。


 いつか宿屋の鏡で見た、自分の顔がそこにはあった。

 初めて見る、双子の片割れ。もうひとりの自分。



 「お姉さま!危ない!」


 ブロンウィンが叫ぶ。

 うかつだった……先回りしていた異形の兵士が、斬りかかって来たのだ。


 ―もう、躱せない―


 そう思ったシーグは、固く目を閉じブロンウィンをかばった。








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