祭り特派員 2
「いってきまーす」
ある一軒家、その玄関で一人の少年が家の中に居る人へ声をかけた。
「あー、ちょい待ちちょい待って」
すると家の中から、一人の女性が少年を止めた。
「ついでで良いから、帰りに八百屋でスイカ買ってきて」
「ついでなのは当たり前だけど、スイカな。半分か?」
「四分の一カットので良いよ」
「はいはい。じゃ、いってきまーす」
「いってらー」
玄関を出た少年は、手に持っていた帽子を被って歩き出した。
待ち合わせの定番で有名な時計台前、そこで帽子の少年は人を待っていた。
「お待たせー」
「いいや、そこまで待ってないよ」
「遅いな……」
隣で待っていた人の待ち人は来たが、少年は集合時間を五分過ぎた今でも、待ち人は来ず、ただ立ち尽くしていた。
「帽子があって正解だったな」
雲の無い青空が拡がり、日は地面に容赦なく降り注いでいる。
すると、
「あれ? 何やってんだこんなところで」
呼ばれた帽子の少年の元へ、茶髪の少年が歩いてきた。
「待ち合わせだ、見て分かるだろ」
「あ、そりゃそうか」
茶髪の少年は当たり前だよな、と納得した。
「待ち合わせって誰とだ?」
「あたし」
「うぉ!?」
茶髪の少年は急に真後ろから聞こえた声に振り返ると、眼鏡をかけた少女がその驚いた姿を見てニヤニヤと笑っていた。
「待たせたね」
「五分遅れだ」
「そんくらい多めに見てよー」
「……はぁ、いいからさっさと行くぞ」
「はいはーい」
「はー、相変わらず仲良いね、お二人さんは」
二人を交互に見て、茶髪の少年は呟いた。
「集合時間五分過ぎてるけどな」
「そんくらい待ってやれよ、女ってのは準備に時間が必要なんだぜ」
「お前が女の何を知ってるんだって感じだが……春物あさりの何に準備がいる?」
「え、えーっと、バーゲン品のバトルに対抗出来るだけの体力作りとか?」
「当日に付け始めるわけないだろ」
「そーそー、てかセールに行くわけじゃないから別に体力はいらないの。さ、時間迫ってるからさくさく行こー」
遅れたのはそっちなのに……
少年達の心のツッコミは、知らぬ内に被っていた。
「いやー、買った買った」
「買いすぎだろ」
少年少女の両手に、紙袋を二つずつ、一人計四つ累計八つの荷物を持って商店街を歩いていた。
「悪いねー、持たせちゃって」
「どうせ元々それが目的で呼んだのは分かってた」
「理解が早くて助かるー」
「もう買い物は終わりだよな」
「うん、さすがにこれ以上は差し支えるからね」
「なら、さっさと帰……あ」
「ん?」
「姉貴に頼まれたんだ、スイカ四分の一カット」
「じゃあ八百屋か、おけおけ、付き合う」
二人は進路を八百屋へと変更して、歩き始めた。
その時、
「あのー、そこのお二人、少しお時間よろしいでしょうか?」
二人の後ろから、声をかける人物の姿があった。
op その1