休み時間は――
『とあるとこの、とある少年たちのなんでもない日常
休み時間は――』
キーンコーンカーンコーン……
無機質な機械のチャイムが鳴り響く。
ふぅ、やっと五時間目が終わった。
これで後は六時間目のみ。寝ていればすぐにでも終わる。
五時間目の科目であった数学の教科書、ノートをカバンの中に入れる。
そのほうが早く下校の準備ができる。
もっともノートに書いたのは、前半半分のとこだけだが。後半からは寝たし。
カバンの中に突っ込んだとき、横から声をかけられた。
ややハスキーがかった声……委員長の橘か?
俺は顔をあげ、声をかけてきた奴の顔を見る。
うむ。俺の予想通りに橘だった。
「なんだ橘。俺になんの用?」
「今日はバイトなんだろ。だったら一緒に帰らない?」
橘魅那――俺のバイト先でもある酒店の娘さんだ。
もっともそこのバイトを始めるまでクラスメートだと言うことも知らなかったが。
ちなみに近所の空手道場、剣道道場に通っていて、喧嘩慣れもしてる。
身長も百七十センチ近くあるし、最初は少し面食らったね。
「ああ、そだな。うん、たまに一緒に帰るのもいいか」
「じゃ、そうしよう。しかし、授業中に居眠りは、委員長から見れば許しがたいな」
うぎ……こいつ、席が俺の斜め後ろだからって居眠りを見てたとは。
こいつはそーゆーとこが目ざとい。まさに委員長の鑑だな。
「いや、なんて言うのか。ほらあれだ。もう目の前の春の陽気に眠りの園にな」
「そんな、よく見苦しい嘘がつけるな。大方、彼女の弁当だけでは足らず、食堂でまた食ったんだろう。
それによって、満腹感が眠気を起こして、居眠りしたんだろう」
うぐぅ。流石にそれを言わずにいられない。
見事にドンピシャに言い当てられた。弁解の余地もねぇ。
いや、どんなことでも逃げ道はあるはず! とりあえず、弁解をトライだ。
「俺は今、育ち盛りでさ。一杯食わないと駄目なんだよ」
「そうか、大きくなることを祈るよ。まぁ、それは置いといて。
今は学年末試験一週間前だと言うのに、よく居眠りが出来るな。
お前、前回の試験相当ヤバカッタのだろう。挽回しようとか思わないのか」
うぎゃー、これ以上過去の汚れを呼び起こすなぁ~。
「そーゆー橘はどーなんだよ? 俺に話しかける余裕があるってか」
「一応、クラスでは十位以内に入ってる。クラス委員長としてこれぐらいはな」
ガはッ! むしろ、自分の傷を広げてしまったか。
なにかないか……こいつを致命的欠点は……。
それは……あった。俺として恥ずかしくなるとこだ。
こんなにも致命的欠点を見逃してしまうことにな。
「いや、橘…………お前は一つ、委員長として致命的欠点がある」
「……ふぅん。じゃあ、なにか言ってくれないか」
クククク……これで俺の勝ちは決まった!
言ってやるぜ! お前の委員長として致命的欠点をなぁ!
「それは……」
橘は、静かに俺の言葉を待つ。
「それは……眼鏡がな、ゴゲピャ!」
突然、世界が暗くなってくる……
周りの喧騒が遠くなっていく……誰かが俺の身体を揺らしている。
大丈夫かと聞いてくるが、答えられない。
てか、橘の音速パンチを喰らって平気ならボクシング日本チャンピオンになれるぜ。
俺の意識はそこで途絶えた……
そして、俺は六時間目を保健室のベッドの上で居眠りと言うことになった。
THE・END