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第8話 リスターとシステア

町に着いたアリスはシステアの泊まっている宿に向かって歩いていた。


ちなみにグゥは首にリードのような細めの鎖を付けて一緒に歩いている。


町ではしっかりと鎖さえ着ければよほど凶暴な魔物ではない限り入れるのだが、グゥは普段嫌がって決して鎖を着けさせない、だが今回は仕方が無いのでグゥも大人しくアリスの言うことを聞いた。


今いるのは市場のような所で、色々な食材が売られてる、あっちこっちで商品を売る威勢の良い声が響いていた。


そんな色々な店が立ち並ぶ通りの向こうから良く見知った顔が近づいてくる、ティオとレスターだ。


向こうもこちらに気付いたようで近づいてくる。


レスター「ようアリス、買い物か?」


ティオ「おはようアリス、グゥも連れてるなんて珍しいわね?」


アリス「おはよう二人とも、ちょっと宿に用事があってね」


レスター「ふーん、あ!そういえば昨日かなりでかいレッグベアが出たそうだな、お前大丈夫だったか?」


アリス「ああ・・・うん、この通りなんとか怪我はなかったよ」


ティオ「え!?出くわしたの!?よく無事だったね?」


レスター「なんか自警団が話してるのを聞いたんだけど腕と首がばっさり切り落とされてたらしいな、なんか知ってるか?」


レスターによると森の様子を見に行った自警団が道の真ん中辺り倒れているレッグベアを発見して誰がやったのか調べているらしい。


その時、ついでに死体も回収したようだ。


道理で道にいなかったはずだ。


そのことを聞いたアリスは、システアが名乗り出ていないのなら勝手に言わない方が良いかとも思ったが、この二人なら大丈夫だろうと、あまり他の人に話さないように釘を打って昨日のことを話した。


レスター「へえ、あのローブの奴そんな強かったのか、まあ・・・お前に怪我がなくてよかったぜ、とこでなんか荷物が多いけどどっかいくのか?」


アリス「うん、その・・・」


アリスは言うべきか一瞬悩んだが、ここまできたら今更黙っているようなことではないと思い直し、その人と旅に出ることを伝えた。


ティオ「旅に・・・」


レスター「出る!?」


一瞬驚いた声を上げた二人だがすぐに捲し立てるようにアリスに話しかける。


ティオ「いつまで!?なんの目的で!?」


レスター「旅ってどこに行くんだよ!?大体、昨日今日あった奴と二人でなんて危険すぎるだろ!?」


自分を心配してくれる優しい友人二人を宥めつつアリスはその人は多分信用できると思っていること


と、自分の決心が揺るがないことを二人に伝える。


アリス「私、どうしても世界を見て回りたい。多分今日行かなかったとしてもいつか絶対旅に出ることになると思う、それなら信用できそうで強そうな人と一緒に回るほうが絶対に安全だと思うから」


アリスがそう言うとティオはなんとかわかってくれたようだった。


だがリスターは納得できないという顔をしている。


ティオ「まあ、アリスがそこまで言うならその人は信用できるのかも、昔から人を見る目だけは確かだしね」


リスター「俺は認めねえぞ、そんなに言うならそいつの所に連れて行け!俺が信用できるかどうか直接確かめてやる!!」


アリスは迷ったが、リスターは昔からこうなると絶対に譲らない頑固な所があるため仕方なく3人で宿に向かうことにした。


3人は宿に着いたので早速システアのことをフロントの人に聞いてみた。


するとついさっき教会に向かったと言われたためアランにも用があったアリスはちょうど良いので3人


で教会に行くことにした。


教会に着くとフードを深く被ったシステアが礼拝堂の入り口の扉の所でアランと話をしていた。


アリスを先頭に3人はシステアに近づき話しかけた。


アリス「システアさん!」


システア「ん?おお、アリスか、決心はついたのか」


アリスが返事をしようとするとそれを遮るようにリスターが割って入った。


リスター「あんただな、アリスをそそのかして旅に連れ出そうとしてるのは」


システア「そそのかす?何のことだ?」


ティオ「ちょっとリスター、やめなさいよ」


ティオが宥めようとするがリスターは聞かない


リスター「ティオは黙っててくれ、あんたシステアとか言ったな?もしアリスを旅に連れ出すなら俺を倒してからにしろ、魔道師なんだからそれくらい簡単だよな?」


この会話でシステアはある程度のことを理解した。


システア(なるほどな、まあ、この手の子供は一度やり合わないとまず納得しないか)


そしてあえてその挑発に乗ることにした。


システア「威勢がいいな?そういう奴は嫌いじゃない、いいだろう、相手してやる」


そこまで黙って事の成り行きを見守っていたアリスはここにきてやっと口を開いた。


アリス「あの・・・ごめんなさい、でも言っても聞かなくて・・・ほどほどに相手をお願いします」


アリスもリスターの性格を良く分かってるので止めることはしない、ティオも同様だ。


だがさすがにレッグベアを2発で仕留めるような実力者だ。


リスターの身が心配になる、そんなアリスにシステアは軽く手を振って答える。


システア「まあ、構わんさ、子供相手に本気は出さないし、私もこういう奴は嫌いじゃない、そこで見ているといい」


リスター「子供子供って言ってくれるな・・・吠え面かくなよ?」


アラン「ふむ、なんだかよく分かりませんが、勝負なら教会の裏でお願いしますよ?」


アリス(止めないんですね、アラン神父・・・)


と、アリスは一瞬思ったが、自分も止めてはいないので口に出すことはなかった。


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