第22話 小さな同行者
町から結構歩き、森の途中の道
アリス「森まであとどれくらいですか?」
リック「もう半分は来ました。あと少しですよ」
ミナ「少し疲れちゃった?」
アリス「いえ、大丈夫です。これくらいで疲れていたら旅なんて出来ないですから!」
ミナ「おお、言うね~、でも本番でへばらないように気をつけてね!」
リック「姉さんこそ雑魚に大技使い過ぎて本番で倒れないでくださいね」
ミナ「わかってるよ!お姉さんに任せなさい!」
リック「(安心できないな、暴走しないよう見張ってないと)」
システア「さて」
前を歩いていたシステアが急に歩みを止めた、そのため後ろを歩いていたアリスたちの歩みも当然止まる。
アリス「どうかしたんですか?」
ミナ「お腹空いたの?」
リック「そんなわけ無いでしょう・・・」
システア「後ろから誰かがつけてきて来ている」
アリス「え?」
リック「ん、確かに」
ミナ「言われてみれば」
システア「だが気配がまったく消せていない、小さいから動物かと思ったが、ずっと後ろについている、おそらく子供だ。そうだな?グゥ」
グゥ「ウォン」
システア「だが敵意は無い、そうだな?」
グゥ「ウォン」
システア「どうせ知っているならもっと早く合図くらいしろ」
グゥ「クゥ~ン」
システア「よし、そこの木に隠れている君、おとなしく出て来なさい」
そう呼びかけると同時に後ろの木から小さな人影が現れる
ルーシー「み、見つかっちゃった・・・」
アリス「ルーシーちゃん?」
リック「この子は・・・」
ミナ「誰?」
システア「私達が泊まっている宿の管理人の親戚だ」
リック「なんでそんな子がここに?」
システア「さあな、本人に聞くのが一番早いだろう」
ルーシー「えっと・・・私も一緒に行ったらだめですか?」
リック「はぁ!?」アリス「へ!?」ミナ「はい!?」
システア「理由は?」
ルーシー「・・・」
システア「言えないなら帰ってもらう」
ルーシー「お、お父さんに会うためです!!」
システア「可能な限り簡潔に説明しろ」
ルーシー「え!?えっと、旅に出たお父さんがおばさんのお手伝いをいっぱいすれば早く帰ってきてくれるって言ったからです!だからおばさんが欲しがっている山菜を届けたいんです!!」
システア「よし、小さいのによく言えたな、理由はわかった。ついてこい」
ルーシー「わーい!」
リック「ちょっと待った!だめに決まっているでしょう!これから魔物退治に行くんですよ!?」
ミナ「さすがにそんな理由でこんな小さい子を連れて行くのはまずいんじゃないかな?」
アリス「私も、気持ちは分かりますけど・・・」
システア「そうか?私がこの子位の年の時はもう実践経験済みだったぞ?」
リック「いや、そういうことではなくて、貴方と違って彼女じゃ足手まといにしか・・・あ」
ルーシー「やっぱり、駄目ですよね、グズ・・・」
そこでルーシーの目に涙が溜まる
アリス「あー」
ミナ「泣かした~」
システア「ひどい男だな、君は」
グゥ「フッ」
リック「二人とも寝返るの早い!僕が悪いんですか!?てかグゥは今笑ったよね!?」
結局、色々あったが、全員で話し合いの末、森の安全地帯でルーシーに保険をかけて待機させるここで、リックも連れて行くことに渋々同意した。
それから一行はしばらく歩き、ついに目的の森に到着した。
この森は一応真ん中に道が作られているが中ほどまで行くと途切れており、被害はその途切れた道の先、多くの薬草や山菜が取れる場所で集中している。
一行はさらに、森の中の道を進み、少し開けた広場のようなところに出た
リック「この先が被害多発現場ですが数日前から魔物の姿は確認されていません。したがって場所を移動した可能性もあるため簡単には見つからないかもしれません。」
システア「ターゲットはアーベルだったな」
アリス「アーベルってどんな魔物なんですか?」
ミナ「お尻に毒針を持った空飛ぶ虫だよ、大きさは成人男性の頭位、毒の効果は体が痺れて動けなくなるの、毒をもらって3時間処置しなかったらまず死ぬから気をつけてね、その上に集団で襲ってくるから面倒なんだよね~」
アリス「すごく危険じゃないですか!」
ミナ「大丈夫でしょ、動きはそんな早くない上に羽音がうるさいからまず後手に回ることはないし、解毒薬もリッ君が用意してあるみたいだし」
リック「まあ、一応ありますが、5回分だけです。最近は薬草も取れない上被害も増えていたため余分に入手は難しかったんです。」
そう言ってリックは懐から5つの小瓶を取り出す
システア「それだけあれば十分だろう、ではルーシー、このお守りを持ってここで待て、何かあったらこのお守りを地面に叩きつけろ」
ルーシー「これは?」
ミナ「へえ、それが保険か、自作の人形札?」
システア「まあな、これは使用した者を一定時間守る使い魔を呼び出す札だ。ピンチになったらそれを使えばその札の中の魔力が無くなるまでは守ってくれる上、常に居場所を私に知らせ続けるからな」
ルーシー「わかりました」
システア「では行くか、もし時間が掛かりそうなら一度出直すことも考えて、油断せずに行こう」
リック「了解です」アリス「はい!」ミナ「は~い」グゥ「ウォン!」
そして、一行はついに、森の中へと足を踏み入れた。
教えて!システア先生~!!
システア「やあ、皆元気かな?いきなり何なんだ?と思われるのも無理はない、実は今回、作品内で分かりにくい所などを説明するため、実験的にこのコーナーで説明することになった。普通に説明しても味気ないからな、もしいらない、普通に説明して欲しいという要望があればこのコーナーはすぐに取りやめる、それでは、今回本編に出てきた人形札について説明しよう、人形札とは地面に叩きつけることにより一瞬で人型となり敵の注意を向けさせる言わばデコイだな、これ自体は割りとどこでも置いているマジックアイテムだが、正直市販のはゴミだな、カカシが手をバタバタ振り回すだけと考えてもらえば分かりやすい、おまけにすぐ消えるし、それに引き換え、私くらいの大魔道師になればそれに実用的な攻撃能力や防御能力、使用者を守れなどの簡単な意思を持たせるのも容易い。・・・すまない、少し図に乗ったな。さて、説明はこんな所か、今回はこれ位だな、なに?これだけかって?あくまでも説明だからな、もし他にもこんなことがしてほしい、と言う意見があれば是非感想にお願いしたい。以上、第一回教えて、システア先生は終了だ。また見てくれ」
おしまい