最終話 神官、今後もラガシャ教を発展させるぞと誓う
お城から戻ってきた翌日。
俺は初めてラガシャ教の教会のベッドで目を覚ました。
「あっ、そうか。宿屋じゃないから朝食も用意しないといけないんだよな」
事前に持ち込んでいたパンをかじる。町まで出てもいいが、それだと本末転倒なので、しばらくはやせ我慢でもこの教会で朝食は食べたほうがいい。
外に出ると、滝の水量が明らかにこれまでと比べて多くなっている。
ラガシャ教ができたことで水量が増えるということはないだろうから、上流で雨でも降ったか、微妙に川の流れでも変わったんだろうか。
「せっかくだし、滝行でもしてみるか」
俺は滝の中に入る。
当たり前だが、冷たい! これはきつい! 気温が極端に低いわけでもないのに、それでもつらい!
ダメだ、もう出よう――と思ったら、ラガシャとナタタがやってきていた。
「おっ! 滝行をしてるですね! 感心、感心なのです!」
「終わりづらくなったな! タイミング悪いんだよ!」
「朝からお疲れ様っス。神殿もできたことだし、朝から神官らしいことしないと格好つかないと思って、こっちに来たっス」
たしかにいい神殿が建ったのに、全然仕事してないって思われるとつらいよな。
「多分、ろくなもの、こっちになかったっスよね。料理を宿の人に作ってもらって持ってきたっス」
「助かる! ぜひ食わせてくれ!」
「じゃあ、あと3分は滝行をするのです。滝に祀られている朕の神官なのだから、それぐらいはやるのです」
「なんで、滝行してない奴が決めるんだよ。じゃあ、お前もやれ」
「いいのです。やってやるのです」
ラガシャは意外と自主的に滝のほうにやってきた。
神なので水に濡れるのか冷たく感じるのか謎だけど、やる気は買う。
ラガシャは俺の横に立った。どうやら髪の毛は濡れてないように見える。
「どうだ、冷たいか?」
「ぶっちゃけ、良くも悪くもないのです。苦痛はないけど、その分張り合いも達成感もないのです」
「まあ、それはそうかもな」
俺は先に滝から出た。ちゃんと体が冷える。
「また、何か次の目標を作らないといけないのです。神殿もできたし、ちょっと領地も手に入ったのです」
「じゃあさ、滝の水量増やすっていうのはどうだ? 上流の川に行けばやれなくもないだろ」
「そうですね。悪くないのです」
ナタタがタオルを投げてくれた。ありがたく使わせてもらう。
「せっかくだし、神殿の中でみんなで食べるっス。お供えすれば、食べられるんスよね?」
「そうなのです。朕も食べるのです!」
俺たちは神殿の中に入る。
神殿というか家だ。長らく、帰るべき場所がなかったけど、ちゃんとその場所ができた。
「やけにニヤニヤしていて気持ち悪いのです」
「神殿を作っていただいたことに感謝してるだけだよ」
「もっとこっちにも感謝するのです」
「だな。ラガシャに出会えてなきゃ、こんな神殿で寝泊まりもできなかった。ありがとな」
ちょっと、ラガシャは横を向いて言った。
「そ、それはこっちのセリフでもあるのです……」
俺はわしゃわしゃとラガシャの髪をいじった。照れ隠しだ。
「髪をいじるのはただのイヤガラセなのです! 神官がやることじゃないのです!」
「すまん、うれしいって言うの恥ずかしかった」
「そこはうれしいって言うのです!」
後ろでナタタが笑っていた。
まだまだラガシャ教、発展させていくぞ!
◆終わり◆
今回で完結です! ここまで読んでいただき、ありがとうございました!




