詩小説へのはるかな道 第48話 自分に返ってくる街
原詩: もしも世界が自分を映す鏡になったなら ー ままならない詩
もしも世界が
自分を映す鏡になったなら
人を押しのけて乗った電車の席は
次の日 自分が座ろうとした瞬間に
誰かにすっと奪われてしまうでしょう
いらだちをぶつけて 誰かのSNSを炎上させたら
次の日 あなたのSNSは
顔の見えない悪意のメッセージであふれるでしょう
重たい荷物を持つ人に そっと手を添えたなら
次の朝 見知らぬ人が
ドアを開けて待っていてくれるでしょう
落ち葉を掃く老人に ひとこと「お疲れさま」と声をかけたなら
その夕暮れ 帰り道で
子どもが笑顔で「こんにちは」と手を振ってくれるでしょう
悪意には悪意が 優しさには優しさが
返ってくる世界をどんなに望んでも
理不尽は世の常
この世はままならぬもの
だけど だけど
その日のうちではないけれど
次の日でもないけれど
いつか返ってくる世界になっていたとしたら
わたしは怖がりなの
悪意が返ってくるのを恐れる
いつか返ってくる世界かもしれないから
だから わたしは優しさを選びましょう
あなたは わたしほど怖がりじゃないのかしら
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詩小説: 自分に返ってくる街
その街には、不思議な噂があった。
「ここでは、したことが必ず返ってくる」
人々は半信半疑だったが、ある日、青年は電車で老人を押しのけて席に座った。
翌朝、彼が座ろうとした瞬間、別の乗客にすっと奪われた。青年は思わず立ち尽くした。
別の女性は、苛立ちから誰かのSNSを炎上させた。
次の日、彼女のアカウントには見知らぬ悪意の言葉が溢れ、眠れぬ夜を過ごした。
同じ街で、重い荷物を持つ人に手を添えた青年は、翌朝、見知らぬ人がドアを開けて待っていてくれるという体験した。
落ち葉を掃く老人に「お疲れさま」と声をかけた人は、その夕暮れ、帰り道で子どもに笑顔で「こんにちは」と手を振られた。
人々は気づき始めた。
悪意には悪意が、優しさには優しさが返ってくる。
けれど、それは必ずしもすぐではない。
時には忘れたころに返ってくることもあった。
それでも、街の噂は少しずつ広がった。
「この街は、いつか必ず返ってくる世界かもしれない」
噂を信じない者たちもいた。
将来なんか知るものか。
今が良ければいい。
自分が良ければいい。
声の大きなものたちの周りに、返ってくる世界を信じない者たちが集まった。
街は鏡のように、静かに人々を映し続けていた。
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わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。
連作短歌:自分に返ってくる街
噂あり したこと必ず 返る街
半信半疑の 人ら集まり
老人を 押しのけ座る 若き人
翌朝すっと 席奪われぬ
苛立ちに 炎上させし その指に
翌夜返るは 眠れぬ言葉
重き荷に そっと手添えし その青年
翌朝ドアを 開けて待たる
落ち葉掃く 老に声かけ 「お疲れさま」
夕暮れ道に 子らの笑顔
悪意には 悪意返りて 優しさは
忘れしころに 静かに届く
信じぬ者 声高らかに 今をのみ
街は鏡に 影を映せり
詩をショートショートにする試みです。
詩小説と呼ぶことにしました。
その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。




