25-1
――馬車のりば
焦げ跡の残る街を背に、俺たちは帰りの馬車に乗り込もうとしていた。
「旅行のはずがこんなにトラブルに巻き込まれるとはな……」
「ホントですよ! 全く休まった気がしません……」
「そうね、ルミネル。だからね、私は――家に帰ったら、ゴロゴロダラダラするわ!」
「レイ……それはいつも通りじゃないか?」
「あああ! カグラが今、言っちゃダメなこと言ったあああっ!」
「ほらほら、荷物は積み終わったの!?」
ルクスがちょっとお母さんみたいになってる……
「――レイ様!」
この声は……
「――また、お前か……」
「またとはなんだ! またとは!」
「えっと……この方は?」
「あ、モルティナは知らなかったか? こいつは、ユウリ=……ハルマキだ。」
「そうそう、あのパリパリでおいし――って! ハルマキじゃない! ハルサメだ!」
「そうだったか? てか、お前――こんな大変なときに何してたんだよ。」
「き、貴様アアアアッ! 刀を貴様に折られたから参加できなかったのだ!」
「いや、折ったのは――自滅だったろ……そうだよな?」
ルミネルたちが静かに頷く。
「レイ様! この男のせいでしたよね!?」
「……ねえ、タイガさん。この人やっぱりムカつくんだけど――」
「ぬあっっ――」
レイのその言葉を聞いて、ユウリは倒れた。
「えっと……このまま放置でいいのかな?」
「いいんじゃないですか? きっと、すぐ復活しますよ。」
ルクスとルミネルのそんな話を聞きながら、空を見上げた。
もうすぐ朝日が昇りきる。
焦げた街に差し込む光が、"新たな始まり"を告げているように見えた気がした。




