24-4
「――ハア、ハア……」
魔力が底をつきそうだ。
もう、強化装甲を維持するので精一杯だ――
「や、やるじゃねえか……」
ベルフェゴールが笑う。
神社の近くはすでに何も残っていない。
ただ、火の海と瓦礫の山が広がるだけだった。
熱風が吹き荒れ、息を吸うだけで肺が焼ける。
「タイガ……まだだ……まだやらなければ――」
カグラが血を吐きながら立ち上がる。
その鎖鉄球は、すでに半分溶けかけていた。
「いや――今しかない……」
ベルフェゴールの動きが鈍い。
あの巨体も、さすがに限界が近い。
「ルミネル! 魔法のほうは!?」
「……あと少し……狙いを定めるまで――あと、十秒ください!」
彼女の声が風に掻き消されそうになる。
崩れ落ちた鳥居の影で、光の魔法陣がゆっくりと拡大していた。
「十秒……か――」
「十秒だと? ――なら、その十秒、命懸けで稼ぐしかあるまい!」
「上等だ……いくぜ、あんちゃんたち!」
ベルフェゴールの拳が赤熱し、再び炎が蠢く。
地が震え、炎が唸りを上げる。
神社の鐘が崩れ、鉄の音が響く――。
「十秒……十秒だけでいい! もってくれ、俺の身体!」
俺は自分を鼓舞するように叫びながら、再び剣を構えた。
「ルクス!」
「わかった! 行くよ――」
「「《アクセルブレイク》!」」
俺とルクスでどうにかしてアイツの体勢を崩せ――!
「《鎖乱舞》!」
カグラの鎖鉄球と、俺たちがベルフェゴールの周りを旋回する。
「《ゴッド・ストライク》!」
レイが光の槍を放ち続ける。
「――聞け、滅びの鼓動を! 世界が息絶えようとも、我が心はなお燃えている……」
ルミネルが杖を構え、詠唱を始める。
「ならばこの命、光と化して砕け散れ! 我が名において、破滅を貫く閃光と成れ――」
杖に光が集う。
「……あの魔法は――」
ベルフェゴールが空へと羽ばたく。
「――逃すかよ! ミリアさん……チカラを貸してください!」
《ソフィアフォーム》で羽を落とす! このチカラは、魔力消費が多い――もって十秒……が限界だ。
「レイ! 《フィーバー》だ!」
「わかったわ! 《フィーバー》!」
オーロギアを弓に変形させ、ベルフェゴールの両羽を狙う。そして――
「墜ちろ――《ブラスト・ショット》!」
ベルフェゴールの両羽に命中し、矢が炸裂した。
「くっ……ここまでか――」
「今だ! ルミネル――!」
「《ラディアント・バースト》っっっっ!!!!」




