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24-2

「……は? 話が違うだろおお!!」


 目の前には――建物サイズのゴーレム。

 スモールゴーレムたちが、まるでスライムみたいにうねりながら集まり……ひとつに融合していく。


「ちょ、ちょっと待て! スモールって言ってたよな!? どこが“小”だよ!」


 思わずツッコミを入れながら、俺は剣を構える。


「これでどうだ――《ブラストスラッシュ》!」


 斬撃と爆風が交錯する――が、響いたのは金属を叩くような甲高い音。


 ガキィィィンッ!


「か、硬すぎるだろ……!」


 剣が弾かれ、腕が痺れる。

 しかも、このデカブツ……全くびくともしねえ!


「これ――完全に無理ゲーじゃないですか!?」


 いや、こんなこともあろうかと――俺には新たな隠し技が――

 ……そんなものはない!


 俺の持ってるスキル?

 ルクスから教わった盗賊スキルに、大道芸人から教わったブラスト。

 ――はい、どっちも今まったく役に立たねえっ!!


 打開できるスキルがない……完全に詰みだ。


『カシオさんから箱が――』


  ……そうだ。あれがあった!

 モルティナを通じて届いた、謎の支援物資――!


「頼むぜ、カシオ!!」


 箱を開ける――


 一瞬、光が漏れた。中には何か……!?


 ……『スカ』と書かれた紙が一枚。


「あの――クソ悪魔があああああっ!」


 次の瞬間――轟音。

 建物サイズの拳が、空気を裂いて降り下ろされる。


「は、はは……これ無理だ。死んだな、俺……」


 ――ドガァァァンッ!!!


 衝撃波で地面が抉れ、視界が白く弾け飛ぶ。

 終わった、そう思った瞬間――


「ハハハハハ! 非常に絶品な“驚き”の感情であったぞ――小僧。」


 低く響く声。

 恐る恐る目を開くと、巨大な拳が目の前で止まっていた。


 その拳を――カシオが小指一本で受け止めていた。


「貴様の世界では、これを“ドッキリ”というのであろう? ならば――」


 カシオが笑みを浮かべ、指を弾く。


「ドッキリ大成功だ!」


 ――ゴゴゴッ!

 ゴーレムが轟音を立てて崩れ落ち、風圧で周囲の建物が揺れる。


「カシオ……どうやって来たんだ?」


「あの『スカ』と書いた紙に、召喚の術式を施しておいたのだ。」


「さすが悪魔……なんでもありだな。」


「ふはは、さて――ここは吾輩に任せてもらおうか。」


「でも、あと五体もデカブツが――」


「心配ご無用、なんせ吾輩は強いからな。」


 カシオがニヤリと笑い、目の包帯をわずかにずらす。

 包帯の隙間から覗いた片目が、金色に妖しく輝いた。


「ハハハハハ! 絶好調! 絶好調! さあ、タイガ――行け!」


「……ああ、任せた!」


 カシオは背を向け、豪炎を背負いながら言った。


「任せたぞ――」


 その声は、いつもより少しだけ優しかった気がした。

何を言ったのかは聞こえなかったが――きっと、俺の背中を押してくれていた。

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