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「……ん、んん――」
朝日がカーテンの隙間から部屋に入り込んでいた。
鳥のさえずりが聞こえていた。
「ん? タイガか、こんなに早く目覚めるとは珍しいな。」
カグラが荷造りをしていた。
「まあ、今日はスウェリアに帰る日だしな。」
「うむ、たしかにそうだな。」
「あれ? ルミネルとルクスはどこ行ったんだ?」
「あの二人ならこの街に来てからの日課をやりに行くと言っていたな……」
「日課ってまさか!? ラディるんじゃないだろうな?」
「いや、朝の入浴に行ってるみたいだぞ。」
「そうか……なら、よかった。」
――それでも、胸の奥がざわついていた。
昨日の赤い光が、妙に頭から離れなかった。
『――早くこの街から出ることをおすすめします。』
昨日の“あの女”の声が、耳の奥で蘇る。
「あ、起きてたんですね。おはようございます!」
「おはよー!」
ルミネルとルクスが戻ってきた。
「ああ、二人ともおはよう。あとは、レイだけだな……」
そのときだった――
大きな轟音とともに、建物が揺れた。
「な、なんだ!?」
「……かなり揺れてるな。地震か――?」
ルクスが窓の外を指差す。
「あ、あれを見て! 火事……かな?」
……近い。それに――昨日の女の言葉を思い出す。
「……無関係、ってわけないよな……」
「どうしたんですか?」
「あ、ああ、何でもない……行くぞ!」
「レイ様は私が起こして、連れて行きますね!」
「ああ、頼んだ!」
レイのことはモルティナに任せて、俺たちは現場へと向かった……




