22-1
「あ、起きた。」
「んー……ルクスかおはよう……それじゃあ、おやすみ――」
頭がまだぼーっとしている。
「タイガ、もうお昼前だぞ?」
「……ままま、まじかよ!」
一気に目が覚めた。
「カグラっ! ば、馬車の予約は!?」
「タイガ、帰るのは明日だぞ?」
「それにしてもタイガ、何かうなされてましたけど大丈夫でしたか?」
「ルミネルにもそう見えた? 実は僕にもそう見えたんだよねー」
「なんか……嫌な夢を――見てた気がする。」
「……夢?」
夢を見た。何かに怯える子を見た気がした……
――怯えるあの背中はどこかで見覚えがあった気がした……いや、そんなわけないか。
「今日はカグラも一日暇だろ! 観光行くぞ!」
「もちろん――と言いたいところなのだがな、レイが……」
カグラの視線の先には――
「……さあ、タイガ――私のことを崇めなさい……ぐがあ……」
「……」
今回は俺も寝坊してるし――文句言えない……
「タイガ、起こしてやれ。」
「いや……俺も寝坊してるし――」
「お前以外に誰がいるんだ?」
「……」
ルミネルも、ルクスも、モルティナも――俺を見て頷いた。
「仕方ないなあ……」
俺は深呼吸をして言った――
「起きろおおおおおっ!」
「――ん、何よ。うるっさいわねー」
「流石タイガですね。」
「うんうん、やっぱりタイガくんじゃないと起こせないよね!」
「うむ、流石だ。」
「はい! やっぱり、タイガさんじゃないとそんな芸当できませんよ!」
「あのなあ……」
そんなこんなで旅行二日目が始まった!




