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「――あ、貰ってきてくれましたか?」
「ああ、ほら。」
俺はしぼったタオルをルミネルに渡す。
「これで、安静にしておけば……きっと大丈夫です。」
ルクスを布団に寝かせて、俺たちは部屋をあとにした。
彼女の寝顔は穏やかで――けれど、どこか苦しそうでもあった。
「それにしても、急にどうしたんでしょうね。」
「そうね、あれはお湯にトラウマがあるような気がするわ!」
「いや、それはあれを見れば、わかってることなんだよ……」
「ルクスは自分のことは語ろうとしませんからね……」
「カグラ……アイツなら何か知ってるんじゃないか?」
「たしかに……ルクスとカグラは親友同士ですしね! 知ってるかもしれませんね!」
「なら、あのネクロマンサーも何か知ってるんじゃないかしら! あの二人、あだ名で呼び合うくらいには仲良いみたいよ?」
「レイ……お前――"たまには"やるじゃんか!」
「そうでしょ、そうでしょ!? もっと褒めてくれてもいいのよ?」
「ああ、本当に"たまには"! 冴えてるな!」
もしかして――明日、大雪でも降るんじゃないか?




