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この異世界は、ヒーローでありふれている!  作者: やまぬこもち
第19話『旅行にトラブルはつきもの』
73/111

19-3

「な、なんなんだああ! この――クソゲーは!」


「いやー、タイガ弱いですね!」


「ルミネル、本当のこと言うのは、やめてあげなさいよ!」


 今日の野営での夕飯を作る担当は俺だったはずだ。よし、この二人は飯抜きにしてやろう!


「それにしても、なんなんだよ。このゲーム」


「トランプだぞ?」


「それは知ってるけどさ……」


 明らかに――俺の知ってるトランプではない。

 ババ抜きなはずなのに……なぜか、カードごとに役職が割り振られているし……ジョーカーを出すと勝てるし……おかしすぎるだろ。


「お客さん、ちょっと。」


 運転手のおっちゃんが手招きした。


「どうしたんですか?」


「ほら、あれを見てくださいな。そこそこ珍しいのが見えますよ!」


 おっちゃんの指さす先には、黒い鳥が飛んでいた。


「あれは?」


「あれは――"ワリガラス"と言われるモンスターだな。」


 カグラが答えた。


「ガラス……? カラスじゃなくて?」


「そのカラスとだかは、よくわからないが……あの鳥は、ガラスに集まってくるらしいぞ。」


 へえ……だから、ガラスなのかもな――ん?


「……あいつらこっちに迫ってきてないか?」


「いやあ、お客さん。縁起でもないこと言わないでくださいよ。それに、ここを通る馬車は、ガラスの物は乗せませんから。」


「そうですか! なら、安心ですね!」


 そんな話をしている横で、ルミネルは“綺麗なものは綺麗にしておかないと気持ちよくなれない”とか訳の分からないことを言いながら、杖を磨いていた。


 そして、もう一度外を見ると――ん?


「やっぱり、こっちに来てませんか?」


「いやあ……そんなわけないでしょー! わっはっはっ! にいちゃん、心配しすぎなんだよ!」


 このメンツですよ? 心配しない方が無理です。


「なあ……誰か――ガラスの物持ってるやついるよな?」


「僕はそんな感じのものは特に何も持ってきてないな……」


「なるほど……ルクスは違うと。カグラも違いそうだし――ルミネルの杖についてる結晶みたいなのは?」


「これは魔鉱石ですよ! ガラスではありません!」


「ルミネルも違うか……モルティナは?」


 モルティナは自身の持ち物を漁り始めた。


「ガラスっぽいものは特には……」


 残るは――レイだ。


「レイは何か持ってたりし――ましたか。」


 レイは大事そうに水晶玉を磨いていた。


「それって――ガラスだよ、な?」


「何言ってんのよ! これは、行商人から買った神器よ!」


「行商人が神器をぽんぽん売っててたまるか!」


「お、お客さん! こっちに飛んできてまっせ!」


 でしょうね!


「わ、私の水晶玉はガラスじゃないわよ!?」


「お、お前かああああああ!」


 こんな時はどうする!? そうだ――


「ルミネル!」


「ふっふっふっ! 言われなくても分かっています! 全てを蹂躙すればいいのですね!」


「全ては蹂躙すんな!」


「ならば、ここは私の魔法であの鳥を焼き鳥にしてしんぜよう!」


「よくわからないけど、頼んだ! あいつらを一箇所にまとめないとな……カグラ、頼んだ。」


「なるほどな、そういうことか。」


 カグラはレイへと近づく。


「ん? どうしたの?」


「その水晶玉借りるぞ。」


「ふえ?」


「借りるぞ。」


「ちょ、ちょっと待って! それは神器よ!?」


「じゃあ、それにはどんな能力があるのだ……?」


「……」


 この女神やっぱりポンコツだ……


「レイ、水晶玉とかなら、また買ってやるから! 今はアイツらを!」


「もー、仕方ないわねー……やっぱりみんな――私の手助けがないと何もできないみたいね!」


「「「「……」」」」


「みんなして黙ってどうしたの?」


「よーしっ! お前らー!」


 全員の視線が俺に集まる――


「――やるぞ!」

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