表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この異世界は、ヒーローでありふれている!  作者: やまぬこもち
【EX】この光は、まだヒーローを知らない。〜ルミネルの番!〜
65/125

EX.1『ラディアント・バースト ー少女を魅せた魔法ー』

 私には誰にも言えない秘密がある。それはメイラにすら言えない。


「――また失敗か……」


 秘密とは家の裏にある森で毎晩毎晩、魔法の特訓をしていることだ。魔法は知ってる、魔法を覚えるためのスキルポイントも足りてる…それなのに、魔法の名前は光らない。


 今日もいつものように森で特訓をしていた。

 そのとき、森の奥が激しく光った気がした。


「――今のは何?」


 私はその"光"に興味と少しの恐怖を持った。


 その光に導かれるように辿り着いた先には、角の生えた女性がいた。


「ハア……しつこいわね! ――て、アビスの子ども?」


 その女性は、舌で唇を舐める。


「ねえ、あなた――いい魔力持ってるじゃないの。」


 「え?」


 驚いた。だって、あの女性の風貌は"魔族"のそれだった。それに、魔族は"魔力を多く持つ子ども"……もっとも、女子を好んで食糧にすると言われていた。


「あなた、何か悩んでる顔ね……私でよければ、話を聞かせてくれない?」


 私は、魔族のことを信じられなかった。

 それでも……この女性に話したら、楽になれる――何かが変わる気がした。


「――なるほどね、魔法が覚えられないの……もしかしたら、あなたの体に魔法の属性が合ってないのかもしれないわね。これが魔法石……触れてみなさい。」


 私は紅く輝く石に触れた。


「……あれ?」


 その石は輝きを失ってしまった。


「他にも触れてみなさい……」


 私は、様々な色に輝く石に触れていく。それでも、輝きを失っていってしまう。

 そして、最後に触れようとした優しい純白に輝く石に触れる。すると――その石は輝きを増したのだった。


「やっぱりね……たまにいるのよ、こんな感じの子が。」


「え……? こんな感じってどういうことなんですか?」


「あなたは、光の魔法以外は使えないの。」


「え?」


「たまにいるのよ、特定の属性魔法しか使えない子……そんな子達を、"特異点"って呼ぶのよ。」


「特異点……? 私が?」


「そうよ。あなたは光魔法を使う魔法使いの中では――"最強"よ。」


 最強……その言葉に思わず、息を呑む。

 私がそんな存在になれるのだろうか?


「光魔法は使い手が少ないの。だから、あなたがこの魔法を覚えれば、間違いなく、"最強"になれる。――あなたは、"最強の魔法使い"になる覚悟はかしら?」


「なります! 絶対に――なってみせます!」


「じゃあ、この魔法を見なさい……」


 女性の髪が逆立つ。


「漆黒を裂く断罪の白、崩壊を孕む黎明よ。我が右手に集い、万象を焼き尽くせ――」


 すごい……私も――


「――《ラディアント・バースト》。」


 森の木々が轟音を立てて、薙ぎ倒れる。森中のモンスターが逃げるように駆け出す。

 そして、森には眩い光が残っていた。


 ――こんな魔法を使いたい! 絶対に使ってみせる!


「……どう? あなたも――覚えたい?」


「……」


 もうすでに答えは決まっていた。


「――はい! 私に――その魔法を教えてください!」


 女性はにこやかに微笑んだ。


「わかったわ……私があなたを"最強"にしてあげる。私の名前は、アスターよ。」


「私は、ルミネルです! よろしくお願いします!」


 私の運命が動き始めた気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ