18-3
「ふわああ……」
今日も疲れた、と屋敷の門へと歩きながら思う。
体の芯がまだ熱を帯びている。今までのカシオとの訓練が、思った以上に効いてる。そして、今日でトドメが入ったのかもしれない。
「あら? タイガじゃないの! どうしたの?」
後ろからレイの声がした。振り返ると、レイとルクスがいた。
「なんか、お疲れの様子だねー?」
「さすが、ルクス……バレてるか。二人は何してたんだ?」
「僕たちは、晩御飯のお買い物に行ってたんだよ!」
「そうよ! 私が腕によりをかけて料理を――」
「遠慮しておこうかな。」
「ちょっと! なんでよおお!」
「おや、外でみんな揃ってるとはな……」
カグラがやってきた。背中には――ルミネルを背負っていた。
髪は砂だらけで、まるで砂漠帰りの冒険者のようだ。
「二人は何してたの?」
レイが聞く。
カグラの答えを聞く前に、俺にはわかった――砂埃をかぶっていて、疲れているルミネル……そこから考えられるのは――アレしかない。
「私は、ルミネルの日課の――」
「言わなくていい! なんとなくわかるから、言わなくていいぞー?」
「そ、そうか?」
どうせ、ルミネルの日課『一日一回ラディアント・バーストを放つ会』だろうな。
「どうせ、またラディったんだろ?」
「日課だから仕方ないじゃないですか……」
「……」
俺は無言でルミネルの頬を引っ張った。
「しゅ、しゅみましぇん! しましぇんから!」
「本当に?」
「はい! 私は嘘は言いませんよ!?」
「なら、よし……」
「……たぶん」
ルミネルさん? 小声で言ったつもりなのだろうが、はっきりと聞こえてるぞ?
「ところで……明日の早朝に出発だが――準備は終わっているのか?」
「私は終わってますよ? ルクスと一緒に準備したので、ルクスも終わっているはずです!」
「うん! そうだね! レイさんは……」
「もちろん! 終わってないわよ!」
「胸張ることですか!?」
「ルミネルと違って、私は忙しいのよ!」
「毎日、家でゴロゴロしているだけじゃないですか!」
「ルミネルは毎日、ラディってるだけじゃないの!」
すっかり、ルミネルの『ラディアント・バーストを放つこと』が『ラディってる』呼びで定着してしまったな……
「きっと、タイガは準備は終わっているだろう?」
あ、カグラさん――すみません……
「俺は――まだ準備! 終わってないです! あはー」
カシオとの特訓だったり、ミリアから加護もらったり……で、すっかり忘れていた。
はああ、今日の夜は準備だな……
「星が――綺麗だな。」
「誤魔化そうとしているのか? まだ夕焼けだが?」
カグラの冷静なツッコミがいつもより心に響いた気がした。
【あとがき】
次回からは旅行編となっています!
そこでの出会いがこのパーティーの成長にどんな影響を及ぼすのか!? ぜひぜひ、楽しみにしていただけると嬉しいです!
次回もお楽しみに!
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近日! ルミネルの外伝兼今作の前日譚を全五話ほどを公開予定です! お楽しみに!




