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「――ハアハア……」
「うむ。一日目でこの成長……上出来だ。」
カシオがニヤリと笑う。
「……ん? タイガ、少し先の未来が見えたのだがな……レイとかいう女神が――――」
「わかった! わかったぞー! 何も言わないでくれ!」
「いや、貴様の快気祝いをしようとしている。」
「……え?」
「ただ……色々と問題ありだからな。リアクションをちゃんとしてやれ。」
「お前って、なんだかんだで優しいよな……」
「いや、貴様には見返りとして、吾輩の夢のために付き合ってもらうぞ。」
「夢?」
「そうだ。吾輩の夢はな、モルティナの店を繁盛させることなのだ。」
「契約だから……か?」
「あいつへの恩返しのためだ。あれでも、あいつは命の恩人でな。」
カシオは小さく笑った。
「悪魔にしては、おかしな夢だろう?」
「……いや、悪くないと思うよ。」
そのとき初めて、俺は“悪魔”という存在を少しだけ信じられた気がした。




