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17-1

――あの日から三日後


「よ! モルティナ来たぞー」


「あ! タイガさん、お待ちしましたよ! 傷のほうは塞がりましたか?」


「ああ! バッチリだ!」


「じゃあ、始めましょうか――」


 モルティナに連れられ、俺は店の地下へと入った。


「この店……地下があったのか。」


 薄暗く、少しジメジメした空間。棚には薬草や魔導器が並び、壁の紋章が淡く光っている。

 ひんやりとした空気が肌を撫でる。


「あちらです……」


 彼女が指差す先には――猫。


「え? あれって……モルティナの飼ってる猫の、たしか――」


「ミゼルですね! あれは違います……そろそろ"人の状態"に戻ってくださいよ!」


「この姿のほうが動きやすいのだがなあ……契約者であるモルティナ様が言うのだ――仕方あるまいな」


 骨が軋むような音が響き、猫の影が人の形を作っていく。


「貴様が――エンドウ・タイガだな? はじめまして。吾輩は――カリュシオ。偉大で崇高なる悪魔であるぞ。」


「決まった――みたいなポーズと顔やめてくださいよ!」


「何を言うか、モルティナ! 吾輩の最高にかっこいいポーズにいちゃもんをつけるとは!」


 包帯で両目を覆い、黒の執事服を着た長身の男。

 猫のような口元で笑うその姿は――どこか不思議な存在感を放っていた。


「貴様がここに来ることは、実は見えていたのだ! 何を隠そう、吾輩は――――」


「少し先の未来が見えて、相手の心が読めるんですよね!」


「も、モルティナ……吾輩のセリフを奪うな! まあ良い。タイガ、貴様の特訓に付き合えとのことだ。言っておくが吾輩は――かーなーり! 強いぞ?」


 その言葉には、不思議な説得力があった。


「ああ、よろしく頼む!」


「あと、吾輩のことは"カシオ"とでも読んでくれ。カリュシオは呼びにくいであろう?」


 笑っているのに、どこか底の見えない気配があった。

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