16-4
「――やっと帰って来れた……」
玄関の扉を開ける腕が重い。
「ソファーは私のものよ!」
一目散に走っていく女神が一匹。
「レイ! 先に手を洗ってください!」
正論パンチを繰り出す魔法少女が一人。
「まあまあ、落ち着いて……」
常識人の盗賊が一人。
「レイ、今回はルミネルの言い分のほうが正しいぞ。」
喧嘩の仲裁をしてくれる鬼族が一人。
「……ま、いっか。」
俺は苦笑して肩をすくめた。
どこにでもある、だけど俺たちにしかない“いつもの日常”。
体はまだ本調子じゃないけど――
「こんにちは! 今日も賑やかですね!」
「モルティナ……って、ほんといつでも入ってくるよな。」
「細かいことはいいじゃないですか! ――ん? あれ?」
「どうしたんだ?」
モルティナが俺の体をじろじろと見る。
「もしかして――タイガさんって……先ほど一回死にました?」
「……なんで、わかるんだ?」
「それは私がネクロマンサーだからですよ?」
「さすがだな……ところで、ちょっといいか?」
俺はモルティナに耳打ちした。
「――なるほど。わかりました! 傷が塞がったら、私のお店に来てくださいね!」
「ああ……頼んだ。」
「それじゃあ、また今度!」
モルティナがふわりと霧のように消えていった。
「どうしたのだ、タイガ。」
「カグラか……というか、お前の回復速度おかしいな……」
「普通じゃないか? むしろ、タイガが弱すぎるのだ。」
「弱い……ね。ま、それもそうか……」
「タイガー! 今日の夕飯は外でいいかしらー!」
「仕方ないなあ……今日は俺が奢ってやるよ!」
「やたー!」
「タイガがそんなこと言うなんて珍しいですね……明日は季節外れの大雪でしょうか?」
「ルミネル……お、お前なあ……」
――俺たちの日常が、再び始まろうとしていた。
【あとがき】
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
章分けをするとしたら、第十六話……
つまり、今回までが第一章です!
さて、二章からはどんな展開になるのでしょうか……!?
タイガが特訓する? ルミネルの親友が現れる?
新たな街が出てくる?
もしかしたら、恋愛が加速するかも……しれません
ぜひぜひ、お楽しみにしていただけると嬉しいです!
それでは! またー! 次回っ!
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