16-3
――某所
「数ヶ月ほど前に、あの街に落ちた神聖な光……あれは間違いなく女神のもので間違いないな……」
「そうであろうな。だが、なぜこの地に女神の力が……?」
黒い霧が流れる部屋の中。魔法陣の淡い赤光が、静かに二人の影を照らしていた。
「神がこの世界に直接干渉するなど、"あのとき以来"のことだ。何か――あるな。」
「デリウス殿、どうなされたのだ?」
「いえ、先ほど……面白い"原石"を見つけまして。」
「原石?」
「ええ。僕の――最高傑作になれるかもしれません。」
デリウスの紅い瞳が、ゆらりと光を宿す。
まるで“芸術の完成”を夢見る狂気の画家のように。
「またお会いしたいものです……。それでは、僕はこの辺で――」
赤い霧が部屋を包み、デリウスの姿が消える。
残された男がぽつりと呟いた。
「――紅血のデリウスが動き出した。魔王陛下に報告せねばなるまいな。」
「うむ……約二千年前、停滞した情勢が――再び動き始めるのだ。我らが魔王様に忠義を示す時代が――また来るのだ。」
そして、静寂の中に響く低い笑い声。
――世界が、再び動き出そうとしていた。
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