11-1
「えっと……まあお茶でも飲みなよ。」
――連れて帰ってきてしまった。幼女を。
「なあ、ルミネル。これって誘拐罪とかにならないよな?」
「き、きっと大丈夫ですよ……たぶん!」
どうしてこんなことになったか……
――それは数時間前に遡る。
俺たちはピクニックを終えて帰ろうとしていた。
そこにこの幼女はやってきたのだ。
「助けてください!」
俺たちは彼女にそう言われた。
身につけている服は泥がついていたので、これはただ事ではないと思い連れて帰ってきたのだが……
フードを下ろした彼女は柔らかく淡いアクアブルーのような髪に、サファイアやアクアマリンを思わせる宝石のような瞳をしていた。
「あっ……あの、その……お茶、ありがとうございます! す、すごーくおいしいですっ!」
なんか……和むなあ……
「ところでキミはどこから来たの?」
ルクスが優しく尋ねた。
「あの……実は! 家出してきたんですっ!」
「家出……?」
「私の家はすごーく厳しい家なんですっ! だから、自分の力で生きてみたかったんですっ! けど……」
彼女の顔が曇った。
「山賊? とかいう人たちにお金とか取られちゃって……もうダメだ、と思ったときに――あの大爆発を見たんですっ! そこまで走ったら、皆さんがいて……」
訳ありって感じだな……屋敷も広いし……ま、いっか――
「よし! いいぞー、満足するまでここで寝泊まりしな! 帰りたくなったら、俺たちが家まで送ってやるよ!」
彼女は輝くような笑顔になった。そして――
「ありがとうございますっ! 名前はえっと……リア! リアですっ!」
こうして、俺たちはリアをしばらく屋敷に置いておくことになった。




