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すっかり太陽が沈み始め、もう夕方になっていた。
「はあ、そろそろ片付け始めないとな……おーい! そこのお子様とポンコツ! 川遊びしてないで手伝ってくれー」
「またお子様って言いましたね!? もう私は十四歳です! お子様ではありません!」
「いーや! 俺からしたら、まだお前はお子ちゃまだ!」
「な、何をー! 言わせておけば! この男! タイガだって、まだ十五歳で私と一歳しか変わらないじゃないですか!」
「そうよ! ルミネルの言う通りよ! 私のこと、ポンコツと言ったことを謝罪してちょうだい!」
ルクスがまあまあと仲裁に入り、カグラは横で片付けをしている。
「あ、そういえば今日の日課を忘れていましたよ!」
ルミネルがそう言った。
なんか……嫌な予感がする。
「な、なあ、ルミネル? 一応聞いておくんだけどさ。もしかして、ラディ――――」
俺が言い切る前にルミネルは唱え始めた。
「光よ集い、力と成れ――」
あ、予想通りだ。
「――ラディアント・バースト!」
遠くに見える小高い丘が丸々消え去った。爆風はこちらまで届いている。
「おお! 今日もすごいねえ!」
「ああ、今日はいつもよりも強めだな。」
ルクスとカグラが口々に言う。
「いつも……?」
「「あ……」」
――
「――つまり、お前らは毎日ルミネルの日課とやらに付き合ってたってことで間違いないな?」
「「はい……」」
「で、ルミネルよ。お前はなぜ毎日ぶっ放していたんだ?」
「そ、それは……体の中の魔力を放出しないと死ぬからです!」
「そうかそうか、死ぬのか……それは大変だ――てなるか! 嘘つくならもっとマシな嘘をつけ!」
「は、はい……」
ルミネルは魔力を使い果たしたので、動けない。
「はあ、これで荷物が一つ増えたな……」
「その荷物とは誰のことか教えてもらおうか!」
ルミネルがそう言い、怒っているが……まあ、動けてないので全く恐ろしくない。
そのとき、後ろから誰かが走ってくる音が聞こえた。
「ん?」
振り向くと、そこにはルミネルよりも小さく、フードに身を包んだ少女がいた。
「あ、あの! た、助けてください!」
風が止まった。
――え?




