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10-4

「あ、タイガ! それに、ルクスとカグラまで! どこに行ってたんですか! もう全部食べちゃいますよ!?」


 口いっぱいに食べ物を詰め込みながらルミネルが言った。


「飲み込んでから喋ろうな? ちょっと話してただけだよ、お子様にはわからないような!」


「誰がお子様ですか!? 力の差というものをですね、見せつけてやりましょうか!?」


 ルミネルがムキになって怒った。


「いや、ルミネル。私とルクスは、タイガがまたお風呂を覗きに来ないように言っていたんだ。」


「うん! そうだよ! この前なんて、僕がお風呂に入ろうとしたら覗きに来たんだもんね!」


「ご、誤解だ! そ、そんなことはしてない! だから、そんな目で見ないでくれ!」


 ルミネルの視線が痛い……。


 


「いやー、食べた食べた! お腹いっぱいだよー!」


 ルクスが満足そうにお腹を叩く。


「たまにはこういうのも悪くないですね!」

 

 ルミネルも笑顔だ。


「ふう……たしかに、平和な日も悪くない。」

 

 カグラが珍しく微笑む。


 みんなの表情を見ながら、俺は思う。

 ――たまにはこういう日もいいな、と。


 そのとき、レイが立ち上がった。


「みんな! ちょっと待って! 女神としての威厳を取り戻す時が来たのよ!」


 ……嫌な予感しかしない。


「見なさい! これが新しく覚えたスキル――《エンター・テイナー》!」


 バシュウウウン!!


 レイの背中から光の羽根が広がり、空中に小さな光球がぽんぽんと浮かび上がる。

 一見きれいだが、なぜか音が――「パーン!」とか「ドンチャン!」とか――うるさい。


「な、なんだこれ!? 爆竹みたいな音がしてるけど!?」


「ふっふっふっ! 女神流の宴会芸よ!」


「宴会芸って言った!? 神聖さどこいった!?」


 ルミネルが苦笑し、ルクスが手を叩いて笑っている。


「すごいねレイさん! 空が派手だよ! あ、でも――ちょっと火がついてない?」


「ふえ?」


 光球の一つが爆発した。


「ひゃああああ!! また爆発したあああ!!」


「だから言っただろうがああああ!!」


「お、自称女神が自爆した……」

 

 カグラが呆れたようにため息をつく。


 ――空に上がる光の花火。

 それはまるで本物の打ち上げ花火のようだった。


「タイガ……みんな笑ってるわよ……!」


「……うん、たぶん爆発する自称女神様が滑稽で面白いんだろうな。」


「自称じゃないから! 本当に女神だからああ!」


 レイが涙目で喚く。

 その背後で、もう一発「ドカーン」と爆発音が響いた。

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