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「じゃあ、俺とレイ、あとルクスで荷物とか準備しておくな。」
「ああ、弁当は私とルミネルに任せておいてくれ。」
「とっておきのおいしいやつを用意して差し上げますよ!」
「それは期待大だなあ! 僕、楽しみだよ!」
「タイガー、ルクスー! 早くしてー!」
「はいはい、全く調子のいいやつだな。」
「いやあ、それにしても今日はいい天気だねえ! ほんとピクニック日和だよ!」
庭で荷物を整理しながらルクスが言った。
「久しぶりのクエストですか?」
「いや、今日はクエストじゃなくて、ピクニックに行く――て、いつも勝手に入ってくるよな……モルティナ」
「いいですね! ピクニックなんて、私ほとんど行けませんよ……」
「アンタも来たら?」
「――レイ様っ!!」
レイのその言葉にモルティナがときめいている。
「残念ですが……私、今日はどうして外せない用事があって……みなさん楽しんできてくださいね!」
「そうなのか……まあ楽しんでくるよ!」
それにしても、本当に雲ひとつない青空だ。
「なんか……今日はいいことが起こりそうだ――――なあ!?」
そのとき、台所のほうが爆発した。
「おい! な、何があったんだ!?」
ルミネルとカグラは真っ黒に染まっている。
「いえ、何もなかったですよ……はい。」
「そ、そうだぞ。ルミネルの言う通りだ!」
「そ、そうかー。じゃあ、頑張ってくれよー」
俺とレイ、そしてルクスは壁に耳を当てて様子を伺うことにした。
「やはり、ここの味付けは優しくすべきだと思うのだ。」
「いえ! ここはこのスパイスをぶち込むべきです!」
「あ、こら! よせ、ルミネ――」
壁を揺らすような爆発と轟音。
「おい! お前ら、何やってんだあ!!」
「す、すみません!」
「す、すまない……」
そこにレイが出てきて、胸を張ってから言った――
「私が料理するわ!!」
「「「いえ、それは結構です。」」」
「レイさん……どんまい」
「ルクスう!」
レイの泣き声が屋敷に響いた。




