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この異世界は、ヒーローでありふれている!  作者: やまぬこもち
第09話『女神クッキング』
26/121

9-1

 ルクスとカグラがパーティーに入ってから一週間経った頃、それはポンコツ女神様のひょんな一言から始まった。

 

「私、お料理がしたいの!」


「……は?」


「だから、私も料理をしようと思うの!」


 すでに嫌な予感しかしない。


「なんのために料理するんだ?」


「みんなに完璧なディナーを食べてもらうためよ! 女神の従者たるもの、料理は完璧なものを食べてもらいたいの!」


 勝手に従者にされたのはアレだが……まあ、仲間を想ってのことなら、たまには手伝ってやるか。


「ちなみに何を作るつもりなんだ……?」


 レイは顎に手を置いて考える。


「まあ、まずはカルパッチョね! 名前の響きが面白いし!」


 なるほど、謎すぎる理由だ。


「ちなみになんだけどさ、食品は?」


「チッチッチッ、甘いね、タイガくん。今日の私はいつもと一味違うの。なんと、もう食品は用意してあります!」


 これは驚いた。今日の女神は本気みたいだ。

 てっきり、いつもみたいに、『あ、材料忘れた!』とかのオチかと思っていたが、違うみたいだ。


「ほら、見て!」

 

 ドンッ、とレイが台所のテーブルの上に並べたのは――


「……なあ、これ、魚か?」

 

 それは、青く発光している魚のような"何か"だった。尾が二本あり、時々ピクピクと動いている。


「そうよ! ルミナスフィッシュっていうの! 新鮮なほうが美味しいって聞いたから、泳いでるのをそのまま持ってきたわ!」


 あまりにも新鮮すぎる!

 

「ん? なんか……視線を感じるんだが?」


 魚の瞳が、ギョロリと動いた。


「……おい、レイ。これ、生きてね?」


「大丈夫! 神聖魔法で"しっかり消毒"してあるから!」


「もしかして、消毒と蘇生の魔法、間違えたんじゃないか!?」


 ――次の瞬間、魚が光り輝き、台所が一瞬で水浸しになった。


「か、カルパッチョが泳いでるううう!!!」


「んなわけあるかあ!」


「な、何事だ!」


 外から帰ってきたカグラが走ってきた。


「魚が! 魚があ!」


 レイが喚く。


「た、頼んだ!」


「ま、任せてくれ!」


 グオン!

 カグラの鉄球による一撃でお魚さんは息を引き取った。


「カグラはあっちに行っててちょうだい!」


 こいつ、助けてもらったくせに最低だ。


「何をやろうとしてるのかはわからないが……わかった。自室にでも篭ることしよう。まあ頑張ってくれ。」


 カグラが立ち去ると、レイは魚へと手を向けて――


「次はちゃんとかけてやるわ! 神聖魔法で無菌にしてあげる!」


 すると、魚が光り輝き…………ぱっ、と消滅した。


「魚ごと消滅したんだが?」


「それはきっと、近くのドブ川で獲ってきたやつだからね!」


 ──その説明で全部合点がいくのがまた何とも言えない。

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