8-4
ああ、極楽だ。やはり、お風呂は偉大だと改めて思う。
しばらく、ゆっくりして行こうか――
「カグラ! 早く早く!」
え?
「ああ、わかったわかった。」
ガチャッ、と浴室の扉が開く……
「「「え?」」」
銀色の髪を下ろしたルクスと、あれほどの鉄球を振り回しているとは思えない腕の細さをしたカグラのお二人さんが風呂へと入ってきた。
「き、貴様! 何故ここにいるのだ!」
「ちょ、ちょっと! タイガくん!?」
二人は顔を赤らめて、驚いたように叫んだ。
「ご、誤解だ! というか、入り口に『入浴中』って書いた看板置いておいただろ!?」
しっかり確認したのだから、間違いないはずだ。
「ああ、確かに看板は置いてあったな……」
「でも、私たちの読める言葉じゃなかったし……」
ま、まさか……異世界語表記にするの――忘れてた!
「お、俺が悪いから、風呂上がるよ……」
「いや、先に入っていたのはタイガの方だ。私たちが出よう。」
「うん! なんか、ごめんねー!」
……いや、これはチャンスだ。異世界に来てから、いいことはほぼなかったし、幸いにも俺はタオルを巻いている――
「お二人とも、俺のいた国には――混浴という文化がある。……な、なんて、冗談だよ!? 冗談!! 鉄球振り上げないでカグラ!? カグラさーん!」
その後、轟音とともに俺の悲鳴が屋敷に響いた。




