8-3
俺は玄関を開けた。
「あ、タイガさんたち! おかえりなさい!」
家の中に何故か……モルティナがいた。
「なあ、なんでいるんだ?」
「以前、お化けの一件があったでしょう? だから、除霊に来てたんですよ! で、そのお化けだったんですけど――」
「へ、へえ……ところで、どこから入ったんだ?」
モルティナの言葉を遮るように言った。
「ネクロマンサースキルさえ使えば、入れますよ!」
ネクロマンサースキルにはプライバシーもクソもないみたいだ。
「あれ? ルクスさんにカグラさんじゃないですか! どうしてここに?」
「僕たちもタイガくんたちのパーティーに入ることになったんだよ!」
「ああ! そうなんですね!」
「二人は知り合いなのか?」
「んー、そこそこ古い知り合いかな? だよね、カグラ!」
「ああ、そんなところだな。」
「まあ二人とも、好きな部屋を使ってくれ!」
俺は自分の部屋へと入る。
……自分の家なのに、自分の家じゃないような――そんな感覚だ。
「はあ……くつろげるのは自室だけか――」
「うわああ!」
一階から泣き喚く声が聞こえた……どうせ、レイだろうな。仕方ない、様子を見に行くか。
リビングに入ると、レイとルミネルが謎のボードゲームをやっていた。
見た目は……オセロっぽい。だが、盤面の上に魔法陣が浮いている。
「お前ら、何やってんだ?」
「あ、タイガもやりますか? 《オセロン・クラッシュ》を!」
「普通のオセロじゃないのか?」
「いえ、これは――」
「ちょっとルミネル! 早くしてちょうだい!」
「あ、すみません! これでどうですか!」
ルミネルが黒を置いた途端に、挟まれていたレイの白がひっくり返り……
ドカン! と爆発した。
「ふっふっふっ! 私の勝ちです!」
……え?
「あああ! ルミネル、ズルしたわね!?」
「いいえ! 私の勝利です!」
……オセロって――なんだっけ?
ああ、なんか今のでドッと疲れた気がする。……風呂でも入ろうか。
風呂に入るときは入り口に『入浴中』と書かれた看板を置くのがルールになっている。
俺はしっかりと入浴中の看板を置いたことを確認して風呂へと入った。




