6-3
女子と密室で二人きり……誰もが一度は憧れるかもしれないシチュエーションだ。
この部屋の外が……あんな状態じゃなかったらの話だけども。
「ルミネル? 大丈夫か?」
「はい、大丈夫ですよ! タイガこそ大丈夫なんですか?」
「俺は大丈夫に決まってんだろ!」
それを聞いて、ルミネルはイタズラっぽく笑う。
「タイガって、いつも人の心配が先ですよね。」
「え?」
急にどうしたのだろうか。まさか……ここで俺の恋愛イベントが始まるのか!? と期待してしまう。
「ルミネル?」
彼女は自分の胸元を見ていた。少し気まずかったが、好奇心で見てみると
「それ、俺があげた指輪か?」
そこには、今日俺がプレゼントした指輪がネックレスのようにして掛けられていた。
「私……人からプレゼントを貰うの、初めてみたいなものです。私のローブは親友がくれたものなんですけど、ある意味では餞別みたいなものなので。だから、プレゼントとして貰ったのは、タイガが初めてで……嬉しくてたまらなかったんです。」
「……なんか、照れるな。」
「ふふふ、タイガ。この世界で男性が女性に指輪をプレゼントするということの意味を教えてあげましょうか?」
「ああ、頼んだ。」
「婚約や結婚という意味があるんですよ?」
「……え? まじで!? だから、あのとき慌ててたのか!?」
「そ、そうですよ!? 悪いですか!?」
俺たちは笑い合った。
「私は別にいいんですよ?」
「何が?」
「それは――」
そして、彼女は口元に手を当て、いたずらっぽく笑いながら言った。
「ヒミツです!」




