表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この異世界は、ヒーローでありふれている!  作者: やまぬこもち
第29話『口下手の向こう側』
120/125

29-4

 夜遅く。屋敷へ続く石畳を、レイたちが歩いていた。

 

「ねえ、三人とも! タイガとルミネルに悪戯でもするのはどうかしら!」


「レイ……もう夜は遅い。それに、あの二人は寝てるかもしれないだろ。」


「カグラの言う通りだよ! 絶対に――起こしちゃダメだよ……!」


「そう言ってる、ルクスさんの声も大きいと思いますよ?」


 メイラの冷静なツッコミに、ルクスが「あっ」と口を押さえる。


「それにしても、クエストが早く終わってよかったわね!」


「レイの飲み屋からの借金がなかったら――あんなことにはならなかったのだがな……。」


「えっと……何があったの?」


「まあ――色々とな……」


 カグラが遠い目をする。

 それだけでルクスとメイラには察したらしい。


「カグラさんも、大変だったんですね……」


「ああ。ところで、ルクスとメイラはどうだったんだ?」


「盗賊ギルドの定例会? いつも通り、つまらなかったよ。メイラちゃんは……実家でしょ?」


「はい! ウィザードガーデンの実家に行ってきたんですけど……特に変わってなかったので、一泊して帰りました!」


 話しながら、屋敷へたどり着く。


「ただまー!」


「だからレイ! 寝てるかもしれないと言ってるだろ!?」


「まあまあ、カグラ落ち着いて!」


 ルクスが慌ててなだめ、メイラがリビングの扉をそっと開ける。


「寝てたら……ごめんなさ――え?」


「メイラ? どうしたの? ちょ……え? えええええ!!?」


 レイの叫びに、ルクスとカグラも慌ててリビングを覗く。


「どうしたのだ二人とも――っ!?」


「そんなことある!? な、なにこれ、何があったの!?」


 そこには――ソファの上で、くっついて、ぐっすり眠るタイガとルミネルの姿があった。


「……僕たちがいない間に、何が……?」


「ルクス、落ち着け! 二人は寝ているのだ……よし、邪魔しないように……そう、静かに、静かに……!」


「カグラさんが一番うるさいです! ルミネル……何があっても、私は親友だからね……!」


「こんなに早く進展するとは思わなかったけど……女神レイから祝福を!」


 レイがそっと両手を掲げ――


「――えいっ!」


 小さな光の粒が舞い落ちた。


 タイガとルミネルは気づくことなく、穏やかな寝息を立て続けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ