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この異世界は、ヒーローでありふれている!  作者: やまぬこもち
第29話『口下手の向こう側』
119/121

29-3

「そ、そんなことないですから!」

 

「えー、絶対にルミネルちゃんってタイガのこと――あ、起きた。」


「よお、寝坊助!」


 目を開くと、ギルとルミネルを背負ったコットンがいた。

 そして、何故だかルミネルの顔が赤かった。


「タイガ、大丈夫ですか?」


「ああ、問題な――いっ、いででででで!!」


 体が勝手にルミネルへ引き寄せられる。

 この感覚……まさか――!


「――あのクソ女神っっ!!」


 その瞬間、頭の中にフェアリーの声が響いた。


〔ごめーん! 私の悪戯ってね――“心の距離と身体の距離が連動する”仕様なんだよねー! ……あれ? 言ってなかったっけ?」


 いやいやいやいや、言われてねえよ!?

 どこから俺の思考に介入してんの!?


〔加護を与えた女神は、与えた相手の心にいつでもアクセスできるの。ボーナス特典! ボーナス特典!〕


 最もいらない……最悪の、特典だ。


〔あとね! さっき悪戯が発動しなかったのはね?ルミネルちゃんがタイガくんを“突き放してた”からだよ。でも今は――ふふん!」


 ……黙れ。


「ルミネル……どうやら俺たち――しばらく離れられないらしい!」


「……へっ? え? む、むりむりむりむり無理です無理です無理です!!」

 

「違うんだって! 勝手に体が――!」


「ちょっと!? なんでタイガがこっちへ来てるの!? 近い近い近い! いやあああああ!!」


 コットンがルミネルを背負ったまま、爆速で逃げる。


「違う! 本気で違う! コットン……頼む、話を聞いて――! 引き寄せられてるから!」


「言い訳無用! 《ウィング》!!」


 コットンの風魔法が直撃する。


「ぐおおっ!? 危ねええ!!」


「そこ動かないで! タイガにルミネルは渡さない!」


「何その言い方!? 誤解だってばァァァ!!」


 コットンが冷めた目で俺を見る。


「ねえ……タイガってさ、もしかしなくても――変態?」


「ちっがああああう!!」


 この誤解は痛い。痛すぎる。

 全部……全部フェアリーのせいだ……!


〔あはははははははっ!! 死ぬ、笑い死ぬ……!!〕


 頭の中に最悪な笑い声が響き続ける。


「フェアリー!! お、お前えええ――なんとかしろおおおおおっ!」


 俺の叫びが、平原に虚しくこだました。

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