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「……うえあ!?」
そんな情け無い声をあげたのはスケルトンキングだった。
「え? わしのゴーレム壊されちゃった!? 嘘でしょ? ねえ、嘘だよね!?」
モルティナに聞いておいてよかった。スケルトンキングが少し腰を引いてるから、弱いんじゃないかと思っていたのだ。モルティナに聞いてみたら、スケルトンは基本的に近接戦に弱いから、遠距離や魔道具に頼る……と言っていたので試してみたが本当だった。
「やった! やりましたよ、レイ様ー!」
「ふん! 今のは女神の奇跡よ! まあアンタもやるじゃないの! ネクロマンサーの癖に!」
と言い合うと、二人でワイワイ喜んでいる。
「…宝は全部くれてやるから見逃してくれ。」
本当に情け無い。どこかのポンコツ女神が、ちゃんと女神に見えるくらいには情け無い。その上、こいつはまだ威張り続ける。
モルティナが近づいてきた。
「……あなた、人を何人殺しましたか?」
モルティナは淡々とスケルトンキングに聞いた。
「二十くらい……」
「その内……冒険者じゃない人は?」
彼女は鎌を握りしめる。
「三人です……」
なんだ……モルティナから異様な空気が出ている。さっきまでのモルティナとは何か違う。
「冒険者の方々は仕方がありません。冒険者だって、アンデットを倒しているのですから。冒険者じゃない人を殺したアンデットを私は許しません――」
「いやだ…死にたくない! 嫌だ、まだ死ぬのは……」
「あなたが殺した一般人たちは武器を持っていましたか…? あなたに危害を加えましたか…?」
その声は氷のように澄み、周辺の空気を凍らせた。
スケルトンキングは首を怯えるように小刻みに振る。
そして、モルティナは鎌を振り上げた……そして
「ご、ごめんなさい! も、もう人を殺しません……なので、どうか!」
「言いたいことは――それだけですか。」
スケルトンキングの命乞いは虚しく、空気を裂く音が響いた。鎌が振り下ろされる瞬間、空気が凍った。
そして……次の瞬間には、スケルトンキングは灰となって消滅していた。
「さ! 行きましょ!」
スケルトンキングへ向けられたモルティナの目は普段の優しく、慈悲深い目ではなく、冷徹な目……そんな気がした。
【あとがき】
ついにダンジョン攻略が終わった!って感じです。
さて皆さん今ごろ、ルミネルは何して待ってるんでしょうか…魔力がないから動けなくて、暇を持て余していることでしょう。
ではまた次回!




