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この異世界は、ヒーローでありふれている!  作者: やまぬこもち
第27話『再会の雷鳴と、恋の嵐』
109/125

27-3

 ルミネルとメイラが料理してる間、俺たちはリビングのテーブルで紅茶を飲んでいた。

 異世界に来る前は紅茶なんて大嫌いだったのだが……この世界に来てからは、よく飲むようになった。おそらく、日本と異世界のギャップによるストレスのせいもあるのだろう。

 ゆったりとした雰囲気の中――突然、レイが俺に話しかけた。

 

「ねえ、タイガ……」


「どうしたんだ?」


「――好きな子っている?」


「ぶーーーっ! ゴホッ……ガハッ……は、はあ!?!?」


 紅茶を盛大に吹き出した上に、変なところに入った気がする。

 横ではルクスとカグラも咽せていた。

 

「お、おいレイ! いきなり何言ってんだよ!」


「えー? ちょっと聞いてみたくなっただけよ!」


「そんな気まぐれで爆弾投げるな!」


「だって、タイガっていつも鈍感なんだもん。ほら、誰かのこと“特別”って思ってたりするんでしょ?」


「な、な、なに言ってんだお前は!?」


「図星?」


「違うわ! ……たぶん!」


 レイがニヤリと笑う。俺の紅茶は、もう味がしなかった。

 

「でも――最近、タイガってちょっと雰囲気変わった気がするのよね。」


「……は?」


「昔より優しくなったっていうか――ちゃんと“誰か”を見てる顔になってる気がするの。」


 そして、レイはいたずらっぽく笑い、紅茶を一口すすった。

 本当にいきなりどうしたんだ――。


「急にびっくりしたなあ……」


「あ、ああ……」


 そう言いながら、ルクスとカグラが再び紅茶を飲もうとした――その瞬間、台所からドゴォン!という音が響いた。

 ルクスとカグラがまたも紅茶を吹き出した。


「……うちの台所、よく爆発するな……」


「――タイガ、そんな呑気なこと言ってる場合か!?」


 カグラの言うことはごもっともだが――うちの台所は定期的に爆発する。

 レイが手で煙をはらいながら言った。


「ねえ、すごく焦げ臭いんですけど……」


「また、いつも通り――燃えたんじゃね?」


「……また燃えたのね。」


「お前も燃やしたことあるけどな……?」


「そ、そんなこともあったわねー」


「いや、慣れたらダメでしょ! 二人とも!」


「ああ、ルクスの言う通りだ! タイガ、レイ! 確認に行くぞ!」


 ――台所は黒煙が立ち込めていた。


「おーい、二人とも生きてるかー?」


「なんとか生きてます……」


「ほんっと、ごめんね! ルミネル……調味料間違えちゃって――」


 調味料間違えただけでこんなことになるか……普通。いや、待て――ここは異世界だ。


「爆発する調味料ってのもあるんだなあ……」


 全員が可哀想なものを見る目で俺を見つめる。


「タイガ……何を言っている。そんな調味料があるわけないだろ……」


 この世界の常識に歩み寄った瞬間――この仕打ちかよ!

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