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――スウェリア近辺の小高い丘
「セレナ様……ベルフェゴールは倒されましたよ……」
「アルフォンス様! お下がりを!」
アルフォンスの横から現れた黒い影たちが、彼を守るように前に立ち塞がる。
「……アルフォンス様でしたか!」
桜のような色をした髪が揺れていた。
黒装束に、白い上着、そして――腰に剣を携えた青年がそこには立っていた。
「――剣聖……シリウス様!」
「アルフォンス様……改めて、私の祖母であり、五十代目当主にして、先々代剣聖――セレナ・アークレインの墓を守ってくださること……感謝します。」
「いえいえ……生前のセレナ様にはお世話になりましたからね……」
「ところで、アルフォンス様。ベルフェゴールが討伐されたというのは本当ですか?」
「もしや、王都にはまだ情報が来ていないのですか?」
「ええ……」
「また誰かの情報操作ですか……貴族に王族、それに騎士までもが――どこも陰謀ばかりで……疲れますな。」
「……そうですね。まだ捜査中ですが、それでも! 剣聖として……必ず後ろで動いている闇を――照らす刃となります。」
「心強いです。」
「本当は祖母の仇を討ってくれた人たちに会いたいのですが……なにぶん忙しいもので――失礼します。」
次の瞬間、シリウスは消えていた。小さな砂埃を残して……
「……セレナ様。貴女の遺した想いは、今も確かに息づいていますよ。」
風が吹き抜け、丘の上の花が一斉に揺れた。
その光景は――かつての剣聖が微笑んだようだった。
【あとがき】
アルフォンス・リーベルトは表も裏もない圧倒的聖人です!
異世界作品の貴族といえば……悪徳が多いイメージがあったので、こんなキャラいたら面白いなと思い出したキャラクターです。
それでは、また次回!




